イギリスの大人気警察小説シリーズ、デントン署のフロスト警部もいよいよ最後である。いや、とっくに終わっているんだけど、長大な作品は翻訳が出るまでに時間がかかる。今回、創元推理文庫から「フロスト始末」上下2冊が刊行された。全部、芹沢恵訳の読みやすくこなれた(こなれ過ぎた?)名訳で、スラスラ読める。でも長い。全部面白い。もっともこの作品が一番じゃないだろうけど。
ここでミステリーを紹介しても、ほとんど反応がないんだけど、それは何故なんだろう?映画ファンはミステリーファンと共通点が多く、歴史ファンもミステリー好きが多いはずなんだけど。なんて書いても仕方ないけど、まあフロスト警部のことは書いておかないと。そのぐらい登場した時はぶっ飛んでいたし、その個性は際立っていた。でも、どうもそのまま歳を取ってしまい、なんだかむさ苦しさと下品さが前面に出てきてしまったかの感じもしてしまうのだが…。
ちょっと今までのシリーズを振り返ると、
①クリスマスのフロスト(1984、翻訳1994 このミス1位)
②フロスト日和(1987 翻訳1997 このミス1位)
③夜のフロスト(1992 翻訳2001 このミス2位)
④フロスト気質(1995 翻訳2008 このミス2位)
⑤冬のフロスト(1999 翻訳2013 このミス3位)
⑥フロスト始末(2009 翻訳2017 )
作者はR・D・ウィングフィールド(1928~2007)で、もうとっくに亡くなっているから新作はない。他の人が遡って若い時代のフロストを書いているらしいけど、それはそれで興味深いけど違うものだろう。没年を見れば判るように、今回の「フロスト始末」は没後の刊行だった。それまでに比べて間が空いているけど、この間闘病生活を送っていたようだ。もともとテレビの脚本などを書きながら、ようやくフロスト警部もので認められた人で、ミステリー作家としては遅咲き、異色の作家だった。
フロスト警部は、全然「名探偵」ではない。失敗の方が多い。それに何故か事件がいくつも重なる。そこで悪戦苦闘しながら、ほとんど寝る間もなく駆けずり回り、そしてうまく行かない。けど、なんかツキに恵まれ、最後には何とか全部それなりの解決をみることになる。と言った展開が共通している。上司はとんでもない無理難題ばかり言うし、フロストの口汚さ、下品さはちょっとミステリー史上類がない。こんな小説を書いてしまっていいのか。それをまた女性の翻訳家が訳しちゃったんだから面白い。
子ども相手の卑劣な犯罪が出てくることも大体共通している。そこでフロストは慨嘆する。今は面倒で行けない。「古き良き昔」なら、証拠を置いてきちゃったのに…。実にトンデモナイ奴でしょう。そして、法的に見ればどうもいけない行動を今回も何度かしている。だけど、それが捜査を現実に進めていくんだから…。つまり、シロのものを冤罪にするわけではもちろんなく、どう見てもクロのものから真相を突き止めたいということなんだけど…。
僕はこのフロスト警部ものを一種の「学校小説」とも思って読んできた。いろんな事件が立て続けに起こり、不可思議極まりない経過をたどる。上司は報告と連絡としつこく言うけど、いちいち面倒くさいことだらけ。書類仕事ばかり増えてきて…「昔は良かった」、一発ぶん殴ってやれば収まったのに…なんていう先生はいっぱい知っている気がする。それじゃあダメでしょうと思いつつ、共感する部分もある。そういう部分がフロスト警部にも共通しているんじゃないか。
ということで、メチャクチャ面白いシリーズなんだけど、今回の「フロスト始末」はどうも頂けない部分もある。どうも矛盾があるような気がする。あまり触れることができないけど、「ビデオ送り付け」と「被害者の名前」の問題がこの「犯人」ではおかしいのではないかと思うんだけど…。まあ、それは置いといて、今度は強制的に異動させられそうになっていく件(くだり)など、やっぱり教員の身に迫る設定なんだなあ。
ここでミステリーを紹介しても、ほとんど反応がないんだけど、それは何故なんだろう?映画ファンはミステリーファンと共通点が多く、歴史ファンもミステリー好きが多いはずなんだけど。なんて書いても仕方ないけど、まあフロスト警部のことは書いておかないと。そのぐらい登場した時はぶっ飛んでいたし、その個性は際立っていた。でも、どうもそのまま歳を取ってしまい、なんだかむさ苦しさと下品さが前面に出てきてしまったかの感じもしてしまうのだが…。
ちょっと今までのシリーズを振り返ると、
①クリスマスのフロスト(1984、翻訳1994 このミス1位)
②フロスト日和(1987 翻訳1997 このミス1位)
③夜のフロスト(1992 翻訳2001 このミス2位)
④フロスト気質(1995 翻訳2008 このミス2位)
⑤冬のフロスト(1999 翻訳2013 このミス3位)
⑥フロスト始末(2009 翻訳2017 )
作者はR・D・ウィングフィールド(1928~2007)で、もうとっくに亡くなっているから新作はない。他の人が遡って若い時代のフロストを書いているらしいけど、それはそれで興味深いけど違うものだろう。没年を見れば判るように、今回の「フロスト始末」は没後の刊行だった。それまでに比べて間が空いているけど、この間闘病生活を送っていたようだ。もともとテレビの脚本などを書きながら、ようやくフロスト警部もので認められた人で、ミステリー作家としては遅咲き、異色の作家だった。
フロスト警部は、全然「名探偵」ではない。失敗の方が多い。それに何故か事件がいくつも重なる。そこで悪戦苦闘しながら、ほとんど寝る間もなく駆けずり回り、そしてうまく行かない。けど、なんかツキに恵まれ、最後には何とか全部それなりの解決をみることになる。と言った展開が共通している。上司はとんでもない無理難題ばかり言うし、フロストの口汚さ、下品さはちょっとミステリー史上類がない。こんな小説を書いてしまっていいのか。それをまた女性の翻訳家が訳しちゃったんだから面白い。
子ども相手の卑劣な犯罪が出てくることも大体共通している。そこでフロストは慨嘆する。今は面倒で行けない。「古き良き昔」なら、証拠を置いてきちゃったのに…。実にトンデモナイ奴でしょう。そして、法的に見ればどうもいけない行動を今回も何度かしている。だけど、それが捜査を現実に進めていくんだから…。つまり、シロのものを冤罪にするわけではもちろんなく、どう見てもクロのものから真相を突き止めたいということなんだけど…。
僕はこのフロスト警部ものを一種の「学校小説」とも思って読んできた。いろんな事件が立て続けに起こり、不可思議極まりない経過をたどる。上司は報告と連絡としつこく言うけど、いちいち面倒くさいことだらけ。書類仕事ばかり増えてきて…「昔は良かった」、一発ぶん殴ってやれば収まったのに…なんていう先生はいっぱい知っている気がする。それじゃあダメでしょうと思いつつ、共感する部分もある。そういう部分がフロスト警部にも共通しているんじゃないか。
ということで、メチャクチャ面白いシリーズなんだけど、今回の「フロスト始末」はどうも頂けない部分もある。どうも矛盾があるような気がする。あまり触れることができないけど、「ビデオ送り付け」と「被害者の名前」の問題がこの「犯人」ではおかしいのではないかと思うんだけど…。まあ、それは置いといて、今度は強制的に異動させられそうになっていく件(くだり)など、やっぱり教員の身に迫る設定なんだなあ。