2020年は年頭には思いもよらなかった「大災厄」の年になってしまった。単に新型コロナウイルスが世界でパンデミックを起こして、多くの人が感染して亡くなったということだけではない。誰も思いもかけなかった形で,ウイルスが人々の暮らしを変えてしまった。日本に止まらず、アメリカも中国もヨーロッパ諸国も大きく変わってしまった。「当面」という言葉で数年間を表すとすれば、アメリカ国内の「分断」、中国の強権政治や香港の弾圧体制が変化することはないだろう。
大みそかの東京では、ついに新規感染者が1300人を超えた。いずれ千人を超えると皆が言っていたが、大台を一気に300人も超えてしまった。どこで感染が続いているのか、僕には今ひとつ理解出来ないが、病院や福祉施設での「院内感染」ばかりでなく、思わぬところでも感染が起こっている。しかし、東京の重症者数は(東京は「独自基準」らしいが)、12月31日現在で89人である。日本全体では約700人となっている。
(31日の東京の感染者を伝えるテレビ)
新型コロナウイルスは無症状でも感染力が強いから、医療的対応は確かに大変だろう。でも、これだけの数で「医療崩壊が近い」のかとも思う。それは「医療体制が弱い」ということなのではないか。日本だけでなく、アメリカでもヨーロッパ諸国でも、「先進国」と言われる国は、多かれ少なかれ「新自由主義」というか、効率優先の社会を作り続けてきた。新型インフルエンザなど新たな感染症はいつか必ず襲ってくると言われていたと思う。「いつか起こるはずだったこと」が現実化したということなのではないか。
この「大災厄」で本当に困っているのは誰だろうか。2008年秋に「リーマンショック」が起こったときには、世界中で突然経済活動が大きくダウンしてしまった。日本の輸出産業では「派遣切り」が起こり、宿舎からも追い出された人が相次いだ。日比谷公園では「派遣村」が開かれた。今回も各地で「相談会」は開かれている。無料の食料配布なども行われている。しかし、そこでも「密」を避けるということで、大きな社会運動になりにくい。今回は特に飲食業に従事していた女性や若年層が多いようで、そのことも問題を見えにくくしている。
(日比谷で行われた相談会)
「ホームレス」の人々は「特定給付金」の10万円が届いていない人が多いらしい。「住所」宛てに送られた書類に「振込先の銀行口座」を書いて返送することで、給付金が振り込まれた。その方法だと「ホームレス」には届かない。全員に受給資格があったわけなのに、これで年を越えてしまって良いのだろうか。また「外国人労働者」も大変な状況に置かれている。
「下宿学生」の多くも大変だと思う。本人が多額の奨学金を背負っていて、飲食業のアルバイトをしていたがバイト先がつぶれてしまった。親の仕事も大変で子どもを支えられない。大学もオンライン授業、帰省もするなみたいな感じの学生も多いに違いない。学生街の飲食店も大変らしい。多くの飲食店は自営業で、もともと後継者難の店が多かった。行く末に見切りを付けて自ら店をたたむところも多いだろうが、それは「倒産」「失業」にカウントされない。
ハローワークに求職していない部門で「事実上の失業」が数字以上に多いのではないだろうか。親や配偶者に取りあえず「扶養」して貰える、あるいはコロナ終息まで貯金で食いつなぐという人は「失業」にならない。それに対して、寄りかかるものが少ない「シングルマザー」などが大変なのではないか。今でも倒産が多くなっているが、失業者数に入ってこないデータがあることを考えないといけない。しかし、コロナ禍で逆に仕事量が増えて大変になっている部門も多い。
病院、福祉施設、学校などでは、毎日のアルコール消毒などに追われている。医療や看護行為は資格がないと出来ないけれど、消毒作業はトレーニングすれば誰でも可能なはずである。だから仕事が無くなって困っている人を,行政が直接非常勤職員として雇用すればいいのではないか。地方自治体は多くの医療、福祉、教育施設を抱えているから、そういう場所に派遣して消毒、清掃、あるいは可能な事務作業などをやって貰うことは出来ないのだろうか。
いや、菅首相も病院の清掃などの下請けに補助を出すなどを検討すると言っていた。でも、それは多分こういうことだ。消毒を行う民間企業もある。そういうところに依頼するときに「補助金」を出す。そういう会社は直接雇わずに、増えた仕事を担当する人員は「派遣会社」に依頼する。だから、結局「派遣会社」の「ピンハネ」分が税金から支出される。病院も補助金申請の書類作業でかえって多忙になる。そういうことが予測されるのである。
労働者が派遣会社に登録するには、当然「住所」と「連絡先」(携帯電話)が必要になる。今は何の問題もないと思っていても、家賃が払えなくなって家を追い出される、あるいは電気代が払えなくなってスマホの充電が出来なくなる、という事態に陥る人がもうすぐ急増するのではないか。そうなると、派遣で働く以前に、働こうと動くこと自体が難しくなってしまう。
「民間活力」に行き着く「現代資本主義」そのものに欠陥がある。今こそ大恐慌時代の「ニューディール政策」が世界に必要だ。「自助」ばかり言ってる首相ではなく、しっかり「公助」の「失業対策」を考えるべきだ。仕事がなくなって困っている人を、仕事が大変過ぎて困ってる部署に、地方行政が直接雇用して回す。いろんな仕組みを工夫して「補助金」などを作るよりも、ずっと簡単で安上がりでさえあると思うけれど…。
大みそかの東京では、ついに新規感染者が1300人を超えた。いずれ千人を超えると皆が言っていたが、大台を一気に300人も超えてしまった。どこで感染が続いているのか、僕には今ひとつ理解出来ないが、病院や福祉施設での「院内感染」ばかりでなく、思わぬところでも感染が起こっている。しかし、東京の重症者数は(東京は「独自基準」らしいが)、12月31日現在で89人である。日本全体では約700人となっている。
(31日の東京の感染者を伝えるテレビ)
新型コロナウイルスは無症状でも感染力が強いから、医療的対応は確かに大変だろう。でも、これだけの数で「医療崩壊が近い」のかとも思う。それは「医療体制が弱い」ということなのではないか。日本だけでなく、アメリカでもヨーロッパ諸国でも、「先進国」と言われる国は、多かれ少なかれ「新自由主義」というか、効率優先の社会を作り続けてきた。新型インフルエンザなど新たな感染症はいつか必ず襲ってくると言われていたと思う。「いつか起こるはずだったこと」が現実化したということなのではないか。
この「大災厄」で本当に困っているのは誰だろうか。2008年秋に「リーマンショック」が起こったときには、世界中で突然経済活動が大きくダウンしてしまった。日本の輸出産業では「派遣切り」が起こり、宿舎からも追い出された人が相次いだ。日比谷公園では「派遣村」が開かれた。今回も各地で「相談会」は開かれている。無料の食料配布なども行われている。しかし、そこでも「密」を避けるということで、大きな社会運動になりにくい。今回は特に飲食業に従事していた女性や若年層が多いようで、そのことも問題を見えにくくしている。
(日比谷で行われた相談会)
「ホームレス」の人々は「特定給付金」の10万円が届いていない人が多いらしい。「住所」宛てに送られた書類に「振込先の銀行口座」を書いて返送することで、給付金が振り込まれた。その方法だと「ホームレス」には届かない。全員に受給資格があったわけなのに、これで年を越えてしまって良いのだろうか。また「外国人労働者」も大変な状況に置かれている。
「下宿学生」の多くも大変だと思う。本人が多額の奨学金を背負っていて、飲食業のアルバイトをしていたがバイト先がつぶれてしまった。親の仕事も大変で子どもを支えられない。大学もオンライン授業、帰省もするなみたいな感じの学生も多いに違いない。学生街の飲食店も大変らしい。多くの飲食店は自営業で、もともと後継者難の店が多かった。行く末に見切りを付けて自ら店をたたむところも多いだろうが、それは「倒産」「失業」にカウントされない。
ハローワークに求職していない部門で「事実上の失業」が数字以上に多いのではないだろうか。親や配偶者に取りあえず「扶養」して貰える、あるいはコロナ終息まで貯金で食いつなぐという人は「失業」にならない。それに対して、寄りかかるものが少ない「シングルマザー」などが大変なのではないか。今でも倒産が多くなっているが、失業者数に入ってこないデータがあることを考えないといけない。しかし、コロナ禍で逆に仕事量が増えて大変になっている部門も多い。
病院、福祉施設、学校などでは、毎日のアルコール消毒などに追われている。医療や看護行為は資格がないと出来ないけれど、消毒作業はトレーニングすれば誰でも可能なはずである。だから仕事が無くなって困っている人を,行政が直接非常勤職員として雇用すればいいのではないか。地方自治体は多くの医療、福祉、教育施設を抱えているから、そういう場所に派遣して消毒、清掃、あるいは可能な事務作業などをやって貰うことは出来ないのだろうか。
いや、菅首相も病院の清掃などの下請けに補助を出すなどを検討すると言っていた。でも、それは多分こういうことだ。消毒を行う民間企業もある。そういうところに依頼するときに「補助金」を出す。そういう会社は直接雇わずに、増えた仕事を担当する人員は「派遣会社」に依頼する。だから、結局「派遣会社」の「ピンハネ」分が税金から支出される。病院も補助金申請の書類作業でかえって多忙になる。そういうことが予測されるのである。
労働者が派遣会社に登録するには、当然「住所」と「連絡先」(携帯電話)が必要になる。今は何の問題もないと思っていても、家賃が払えなくなって家を追い出される、あるいは電気代が払えなくなってスマホの充電が出来なくなる、という事態に陥る人がもうすぐ急増するのではないか。そうなると、派遣で働く以前に、働こうと動くこと自体が難しくなってしまう。
「民間活力」に行き着く「現代資本主義」そのものに欠陥がある。今こそ大恐慌時代の「ニューディール政策」が世界に必要だ。「自助」ばかり言ってる首相ではなく、しっかり「公助」の「失業対策」を考えるべきだ。仕事がなくなって困っている人を、仕事が大変過ぎて困ってる部署に、地方行政が直接雇用して回す。いろんな仕組みを工夫して「補助金」などを作るよりも、ずっと簡単で安上がりでさえあると思うけれど…。