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NHK山田洋次が選んだ日本映画100選 喜劇編 久松静児監督の「警察日記」

2012-11-28 14:32:00 | 日本映画
1955年作品。

終戦後、10年、東北会津の田舎町の警察を舞台にした人情劇。

警察といっても、近ごろの映画のような、ドンパチなどとても起こらない。

犯罪といえば、捨て子・身売り・万引き・無銭飲食などだ。はては、飲み屋での酔っ払いとか至って庶民的。

でも当時は、まだ政治家の時代、ご当地出身の通産大臣が来るとあっては、町中上を下への大騒ぎ。

一方で、人身売買の容疑の女を巡って、警察と労働基準局の縄張り争い、捨て子の養育については、役所をたらいまわしされ、保養所では鶏を飼っている有様。

なかで、光るのは、当時の映画で最も受けていた母ものの存在。

森繁久彌扮する巡査が、捨て子の姉弟(弟は赤ん坊)を、もてあぐね、赤ん坊を旅館に預け、娘は自宅で引き取る。そこには、同じような子供が5人もいた。だが、姉は弟のことが気がかりに、旅館へ弟を訪ねていく。弟と対面する姉。一方、母親は現れるが、子供たちを養う能力がない。そっと子供を見つめる母親。これらは、お涙頂戴シーンだが、演技・演出のうまさに泣かされる。

昭和30年の農村のありようが実に丁寧に、そして美しく描かれ、アンサンブルとしてよくまとまっている。

宍戸錠が、初演だそうだが、実に若々しく好青年を演じている。
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