ひろの映画見たまま

映画にワクワク

日本映画「その夜の侍」、妻を殺された男の復讐劇です。

2012-11-30 15:25:45 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆
     映画ファン ☆☆☆☆

時代劇ではありません。

冒頭、必死な顔をした汗だくの男が、誰かを追っているよう、手にしたビニール袋から刃物が落ちる。

5年前、男が軽々しく車を運転、突然ぶつかる音が、見ると自転車に乗った女が倒れている。血は出ていない模様、同乗者は救急車を呼ぼうとするが男は「血は出ていない」と無視。

ひき逃げされた女性の夫。鉄工所経営、でもさえない。ぷりん好き、酔って糖尿病患者。5年前、妻からの電話が記録されていた、その電話を繰り返し聞く。それだけ愛情が深かったのか。

この映画は、こうやってストーリーを追いかけても、その良さは分からない。

出てくる二人の登場人物、加害者は、刑務所から出所、でもその行動パターンは、刹那的な暴力、自己保身のための行動、だが、そんな彼に寄り添う人間がいる。これって、尼崎事件のような悪に引き寄せられる人間のことか?

一方、妻の死を執拗に追いかけ、妻の命日に「殺す」という脅迫状を送り続ける被害者。妻の兄は嫁さんを紹介しようとする。だが、「私はあなたにふさわしくありません」と逃げる被害者。彼はまた、ラブホで売春婦とひと時を。

二人の日常に接する人たちは普通の人たち。

この異常とふつうの交差する現代の中で、なぜか、孤独とさみしさがわいてくる。

この日常的な光景なのに、なぜか次の展開を求めて見入ってしまう。

見事な演出。

ラスト近くで、二人は対決する。雨の中、このシーンは、なぜか侍の決闘シーンを思わせる。雨が降り泥沼、二人は泥だらけになりながら格闘する。そして、コンビニの買い物リストの読み上げ。

訳の分からないシーンだが、実に心に突き刺さる。

剣もピストルもはては、ワイヤによるアクションでもない。ただただ、絡み合う二人。それは復讐のはずなのだが。

久しぶりに映画らしい映画を見た気がする。
コメント
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