おすすめ度 ☆☆☆☆
2012年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位の、横山秀夫原作の映画化。
骨太な作品で、1本の映画に収まらず、前・後編。映画界の事情で、ずらして公開という手法がとられている。
お陰で、一気に見ることができず、つらい思いも。
私は、原作を発売時に読んでいるので、映画が、かなり忠実に映画化され、目新しさは緩和される。
また、NHKでもすでに、ドラマ化されており、こちらも評判を得ているので、内容を知っている人は多いだろう。
ただこの映画、壮大な物語を、臆することなくまっ正面から描いていっるので、実に骨太な作品になっている。
昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件。少女は殺され、金は持ち逃げされる。警察のメンツ丸つぶれだ。
そして舞台は、時効を迎える平成14年。
当時刑事だった三上(佐藤浩市が好演)。今は、広報室という、やや特異な部署にいる。
で、匿名問題で、マスコミ対応に追われ、上からの命令と、マスコミのクレームに間に挟まった三上は、毎日がきりきり舞い。
この警察の内部を描くのがうまい横山秀夫(新聞記者として内部に詳しい)、その力点を、豪華な演技陣と、瀬々敬久監督のまっとうな演出でぐいぐいとひぱっていく。
サラリーマン社会をほうふつとさせる、職場環境を見事に描き、三上の心情を思うと胸がきりきりと痛む。
事件の伏線も巧みに張りながら、三上の家庭問題まで絡んでくる。
事件の解決が見られる後編が楽しみだ。