ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「妻への家路」、チャンイーモウ監督の夫婦愛の物語

2015-03-21 15:29:23 | 中国映画
おススメ度 ☆☆☆

中国映画好き、夫婦愛映画好き ☆☆☆☆☆

文化大革命を題材にした中国映画。

文革時の中国の描写が、昔の中国映画を見るようで懐かしい。

舞踊シーンも、文革時のバレーそのもので、活気あふれキレイ。チャン監督の面目躍如。

でもこの映画はもっと奥深い。

文革時、反右派闘争で捕えられた夫、彼を父に持つ娘はバレーで技術的には優れていてもトップにはなれない。

そして、夫は文革の終わる3年前に逃亡、妻のいる家に帰るが、会えず、約束した駅で再開を待つが娘の密告でとらえられてしまう。

娘は3歳で別れているので、父を知らない、そして自分の人生に立ちはだかる、反革命分子。

彼らの家の写真から父の写真はすべてきりとられていた。

そして、文革終了後20年ぶりに帰郷する父。待ち受けていた妻は、認知症で、夫の顔が認知できないことであった。

向かいの家に住み、妻の意識の回復を試みる夫の並々ならぬ苦労。

だが、少しづつ近づくのだが、

それは、永遠の夫婦愛の試練であり、これこそが人生なのだ。

涙なくしては見られない傑作だ。

チェンダオミンとコンリー、中国のベテラン俳優が好演。チャンホウエンが新鮮。
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ピエール・ルメートルの「その女アレックス」を読む

2015-03-21 14:34:34 | 日記
文春ミステリーやこのミステリーがすごいで昨年度外国部門で断トツ一位だった本小説をやっと読み終えた。

本を読むスピードが極端に遅い私にとっては、文庫本でありながら500ぺーに近い本作は苦痛の部類に入るのだが、その物語の展開の素晴らしさと、二転三転のミステリーの王道を行く展開に魅せられてしまった。

当然、映画化は進んでいるというが、かなり残酷な描写の続く本作が、どんな展開をするのか興味のあるところである。

ただ、微に入り細に入る描写をどこまで映像で語りえるのか興味のあるところだ。

この小説が三部作になっているので映画も別れるのだろうか。

アレックスが、監禁され、鼠にかじられかかる、極限の恐怖、ホラーとしてもありうる展開だが。

一方で、薬品による死体の処理なども、映像的にどうとらえられるのだろうか。

園監督の映像に近いものなのだろうか。

一方、捜査陣のキャラは、かなり背の低い探偵が出てくるがキャスティングが問題だ。

期待に胸高まる思いだ。
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「ソロモンの偽証 前篇・事件」、宮部みゆきの渾身作の映画化

2015-03-20 19:05:17 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆☆

語り口がうまいので、グイグイ引き込まれます。

ただ、前後編に分かれているので、どうしても、中途半端な感じです。

前後に分かれてもいいから、同時に公開してほしいものです。

そういう意味では評価は難しいのですが、

前編は、事件の経過、後編は学校での裁判と、はっきり区分けしているので、その点ではこの映画はそれなりに見れるのではないでしょうか。

それにしても、「ソロモンの偽証」というタイトル、最初からだれかが嘘をついているというネタバレですが、只話が結構入り組んでいるので、その点は心配するほどのことはありません。

ちなみに、ソロモンは古代イスラエルの王で、賢い裁きをする人の象徴ですが、まあそんな偉い人が偽証するということです。

原作は、宮部みゆき、彼女の最高作というから、ストーリーは保証付きでしょう。何しろ構想15年、執筆に9年をかけて完成させたというから力の入れようが違います。

上村君事件があって、間もなしに見たおかげで、ちょっと、そのイメージが、ぐれた男と重なって。

それと主人公のそれこそ真面目そうな女学生が、強烈ないじめを見ながら、何も手助けせできず傍観していた事実がトラウマになるという学校裁判の嚆矢。

脇はベテラン俳優、中学生はオーディションで選んだ人たちを特訓。成島監督の腕の見せ所です。

一方で、膨大な大作であるこの作品を2部作とはいえ、かなり短くした脚本の力も大したものです。

まあ、大作としての貫録はじゅうぶんといえるでしょう。
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「ぶどうのなみだ」、大泉洋の北海道、ブドウ作りの映画です

2015-03-19 17:50:31 | 日本映画
おススメ度 ☆☆

北海道大自然好き、葡萄酒好き、メルヘン好き ☆☆☆

『しあわせのパン』の監督三島有紀子が再び北海道でご当地映画を撮った。

場所は、空知、元炭鉱だが今は麦とブドウの村。

主人公のアオ、都会へ出て指揮者になったが、難聴で帰郷、父の跡を継いで葡萄酒作りに励む。

朝ドラの「まっさん」じゃないが、自然にできる収穫物も生き物、一筋縄ではいいものは作れない。

アオには、年の離れた弟ロクがいた。弟は麦作りに励むが、アオの手伝いもする。

そんな、二人の農場へ、トレーラーを引いた不思議な女性エリカが舞い込み、穴を掘りだす。後でわかるのだが、アンモナイト化石を収集していた。ちなみに、空知は、アンモナイトで有名なのだ。

この三人に、村の人たち、いずれもメルヘンチックで、音楽を親しみ、料理とワインに舌づつみを打つ。(人々の服装もユニーク)

そして広大な麦畑とブドウ畑、一本のブドウの大木が。

要は、北海道の自然とメルヘンを楽しむ仕掛けなのだ。

ただ、話に無理なところがあり、見ているほうは戸惑う。

ちょっと、大林宜彦っぽい作りになっている。

アオを大泉、ロクを染谷が演じ、エリカをシンガーソングライターの安藤裕子が演じ、不思議な味を出している。

風景がとってもきれいで「ぶどうのなみだ」は人の涙に通じる。
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「激戦 ハート・オブ・ファイト」、総合格闘技の映画ですが、実にハートウォーミングな映画です。

2015-03-18 17:45:35 | 中国映画
おススメ度 ☆☆☆☆

香港映画

こんなにいい映画なのに、上映館が少ないなどもったいない。

日本映画で、「百円の恋」がありましたが、そちらは、女性のボクサー。こちらは男性、でもスポ根としては同類です。

ヘラクレス以来、肉弾のぶつかり合いは、スポーツとして最高に面白い。

総合格闘技は、ボクシングの要素と柔道の要素など肉体のぶつかり合いとしては最高のもの。

元ボクサーだが、八百長試合にからんで、借金の取り立てに追われるファイ。

財閥の息子だが、父親の会社が倒産、すっかり落ちぶれた父親にもう一度笑顔を願うチー。

夫に愛人ができ、キッチンドランカーになってしまい、息子まで亡くしたクワンとその娘。

この不幸を背負った3人が、それぞれに回帰を願って、動き出す。

チーは、経験もないのに、総合格闘技に出て父親にやればできる姿を見せようと一念発起、訪れたジムでファイに出会い、トレーニングを積む。

まあスポコン映画はなんともさわやか。だが、父親に意志は通じるが、途中で大怪我をしてしまう。

一方、ファイも借金取りに追われ、クワンの娘に大けがをさせ、みんなバラバラに。

そこで、ファイが自ら試合に出ることを決意。猛特訓が始まる。

ラストは、うまくけりをつけて幕。

上海映画祭で、作品賞、男優賞、助演女優賞を獲得。東京国際映画祭でも上映される。

なかで、下宿屋のクワンとその娘に対するファイの行動が、ちょっとこわもての男がやさしい面を見せ、特に娘との交情は独特の雰囲気で泣かせる。

ファイをニックチョン(この男ほれぼれするね)、クワンの娘をクリスタルリーが演じ見事。

総合格闘技のシーンもなかなか魅せてくれる。
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「ミリオンダラーアーム」、インドから野球選手をスカウト。実話の映画化

2015-03-17 19:21:38 | アメリカ映画
おススメ度 ☆☆☆

インド好き、野球好き、スポ根好き ☆☆☆☆

この映画で初めて知った。インド人プロ野球選手がいることを。

大体、インド人は、スポーツがあまり得意でない。

だが、クリケットやホッケーなど、イギリス発祥のスポーツは盛んだが。

クリケットの選手の投球を見て、ひらめいて、どん底にあった野球エージェントが、選手を見出し磨きをかけるという賭けに出た。

そもそもが、金もうけのための方策だったのだが。

そして、インドでミリオンダラーというショーで、速球を投げられる逸材を探し、アメリカ本国で野球を仕込むという賭けに出る。

で、スポ根映画だが、本人たちもさりながら、エージェントの男が、インド人のためホテルを断られ、自宅に住まわせるなど、振り回される苦悩などが描かれる。

金のために考えた方策だが、人情と努力を要求されることとなる。一方で、これが契機で隣人の女性と仲良くなり、その面でもラッキーなのだ。

そして、選手とともにやってきた野球好きのインド人が、通訳兼任として助手を務めるが彼自身の跳躍にもなるという一石四鳥のラッキーなのだ。

ただ、そこまでの苦難をしっかりとドラマ化し、努力なしでは勝ち取れないことを教訓とするディズニーらしい映画だ。

エンドロールで、実際の選手たちの映像も挿入され、本物の強みを発揮する。

インドでのロケシーンも多く、インドを知るにもいい映画だ。
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「ポイント 45」、ミラ・ジョボビッチの小悪映画です。

2015-03-16 18:44:23 | アメリカ映画
おススメ度 ☆☆

2007年作品。

R+15

ミラ・ジョボビッチを中心に宣伝されていますが、かっこいいミラではありません。

途中、彼氏にぼこぼこにされるDVシーンがありますが、髪の毛を切られるかなり痛い映画です。

右側の目は、ぼこぼこに晴れ上がり、さすが、ミラもこの姿では魅力半減です。

「女の武器は45口径より危険!」が題名の由来ですが。ニューヨークの場末で、銃の故買。

男は、物はいいらしいのですが、暴力では仕方ない。アンガス・マクファーデンがそれなりのキャラで迫力はあります。

それで、女ともつるんだり、別の男とも、結構尻軽です。

でも、結局は、女の武器で自分の目的をちゃっかり達してしまう復讐劇ですが、話はしょぼい。

セックスシーンもたくさん出てきますが、特別なものはなく、乳首も一度だけ、サービス精神は薄い。

まあ、ミラの映画です。
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「ドライブイン蒲生」、姉と弟の父とのしがらみ

2015-03-16 10:30:15 | 日本映画
おススメ度 ☆☆

文学好き ☆☆☆☆

「八月の路上に捨てる」で第135回芥川賞を受賞した伊藤たかみの同名の小説の映画化。

監督は、ずっと撮影監督を務めてきた75歳のたむらまさき初演出。

街道沿いのさびれたドライブイン。

夫の暴力を逃れて娘を連れて、出戻りしてきたサキ。そこには母親と弟トシが住んでいた。

姉は、夫と話し合うため、娘を連れて夫の元へ、弟が同行。その道中、昔の二人と父の回想画面が挿入される。(話の重点は、回想画面にある)

姉弟の父は、自分の名前を冠したドライブインを経営していたが、客も少なくさびれていた。

そして周りからは「バカ一家」とさげすめられていた。

でも、父親には父親の生きざまがあり、弟は父を好いていた。

学生だった姉は、そんな父を嫌ってぐれていた。

父と姉弟のきれない家族が、淡々と生活、そして父はがんで死ぬ。

独特のカメラワークで、物語は進むが、長回しとアップ画面が多く、やや退屈。

そしてラスト、姉と夫との対決で、弟が割り込み幕。

姉を黒川芽以、弟を染谷将太が演じ、そこはかとない雰囲気を醸す。

ぐれた父親を永瀬正敏が演じ、貫録を見せる。

決して理想の親子像ではないが、いい雰囲気を見せる。
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「サスペクト 哀しき容疑者」、脱北者を巡る壮大なアクション。カーチェイス。

2015-03-14 19:49:00 | 韓国映画
おススメ度 ☆☆☆

韓国アクション映画好き ☆☆☆☆

韓国のアクション映画は侮れない。

今回は、脱北者という特殊技能者をテーマにすることによって、そのアクション、カーチェイスが壮絶な迫力をもって展開される。

北での特殊訓練というハードなトレーニングをこなした、ものたちは、その身体能力は素晴らしく、アクションの迫力を高めてくれる。

物語は、北支援機構が絡み、そのメガネに隠された秘密が一つの焦点になる、一方、金と出世をもくろむ警察上部と、現場のせめぎあいと、やや詰め込み過ぎの感があるが、

ヒロインの目的は、あくまで殺された妻の復讐であり、まだ見ぬ我が子の救出であるところに家族愛ものぞかせて、涙をそそる。

それにしても、「トガニ」のコンユの肉体改造はすさまじく、ほれぼれとする肉体美に、屋上をすいすいと渡り歩くアクション。ジェイソンの「ボーン」アクションに感化されたところはあるが、オリジナリティも見られ、カーアクションとともに出色の出来となっている。

更に相手役も、決して見劣りはせず、最後は敵ながら温情を見せるなどうれしい。

また、女性テレビ記者も絡んで、愛の片りんものぞかせ、幅広い。
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「愛して飲んで歌って」、91歳アランレネの遺作です

2015-03-13 18:56:57 | フランス映画
おススメ度 ☆☆☆

演劇好き ☆☆☆☆

2014年3月に他界したフランスの名匠アラン・レネの遺作。ベルリン国際映画祭では通常、革新的な若手監督に与えられるアルフレッド・バウアー賞(銀熊賞)を受賞。

イギリスの喜劇作家アラン・エイクボーンの戯曲の映画化。演劇的要素が強いが、そこには一ひねりも二ひねりも。軽妙洒脱。

車で移動する風景から、書割へ、そして舞台装置的な舞台へと変幻自在。

ガンにかかって大変なジョルジュを巡る話なのに、ジョルジュは姿を見せない。観客にゆだねられる作り。

それにしてもジョルジュ、なんと出てくる、女3人にちょっかいをかけるなんて、何たる女たらし。

でも、女3人は仲良し。男は、あかげであらためて女房に惚れ直す仕掛け。

まあ、単純な話なので、理解は十分。

あとは、題名となった『ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「酒・女・歌」』。

酒と女の話は出てくるが、歌はない。(それが最後に)

でも人生は堪能できる。

フランス語の響きが何とも心地よい。
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