「64 ロクヨン 前編」、横山秀夫の警察小説を映画化！

おすすめ度　☆☆☆☆

2012年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位の、横山秀夫原作の映画化。

骨太な作品で、１本の映画に収まらず、前・後編。映画界の事情で、ずらして公開という手法がとられている。

お陰で、一気に見ることができず、つらい思いも。

私は、原作を発売時に読んでいるので、映画が、かなり忠実に映画化され、目新しさは緩和される。

また、ＮＨＫでもすでに、ドラマ化されており、こちらも評判を得ているので、内容を知っている人は多いだろう。

ただこの映画、壮大な物語を、臆することなくまっ正面から描いていっるので、実に骨太な作品になっている。

昭和６４年に起きた少女誘拐殺人事件。少女は殺され、金は持ち逃げされる。警察のメンツ丸つぶれだ。


そして舞台は、時効を迎える平成１４年。

当時刑事だった三上（佐藤浩市が好演）。今は、広報室という、やや特異な部署にいる。

で、匿名問題で、マスコミ対応に追われ、上からの命令と、マスコミのクレームに間に挟まった三上は、毎日がきりきり舞い。

この警察の内部を描くのがうまい横山秀夫（新聞記者として内部に詳しい）、その力点を、豪華な演技陣と、瀬々敬久監督のまっとうな演出でぐいぐいとひぱっていく。

サラリーマン社会をほうふつとさせる、職場環境を見事に描き、三上の心情を思うと胸がきりきりと痛む。

事件の伏線も巧みに張りながら、三上の家庭問題まで絡んでくる。

事件の解決が見られる後編が楽しみだ。

「夏をゆく人々」、カンヌグランプリのイタリア映画！

おすすめ度　☆☆☆

カンヌグランプリと言いながら、実に地味な映画。

イタリヤ、トスカーナ地方の養蜂業者のひと夏。

その家族は父系家族だが、主に切り盛りしているのが、長女のジェルソミーナ。

この長女のひと夏の物語だ。

イタリアの新鋭女性監督アリーチェ・ロルバケル、養蜂家で育っただけあって、養蜂の描写は、事細か。

湖水浴の先で出会ったテレビ番組「ふしぎの国」とその美しい司会者に心惹かれる。

一方、父が連れてきた「盗みを犯した少年」がやってきて、交流がはじまる。

テレビ番組の出演や、子供の機械による大けがなど、事件は起こるが、淡々と語られる。

そして、ラクダの存在、少年の吹く口笛、ジェルソミーナの蜂に顔をはわせる顔芸、洞窟での幻想的なシーン。

イタリア映画特有の寓話的描写に心奪われる。

でも、どこまでも、地味。

「ズートピア」、動物たちが高度な文明社会を築いた世界！

おすすめ度　☆☆☆☆

２Ｄ吹き替え版で鑑賞。

ディズニーの動画だが、子供が見て楽しい作りになっているが、一方で、風刺が効いて、かつ名画のオマージュがあったりして、大人向きでもある。

沢山の動物が出てくるが、そのどれもが強烈なキャラを持っており、全体の物語とともに個々の小ネタも結構効いている。

人間社会と同様、動物の社会にも、肉食動物と草食動物がおり、この映画では、それぞれの動物をほぼ原寸の大きさで描いているので、大きい動物は大きく、小さい動物は小さい。

メスウサギが、警官を目指して頑張るというメインストーリー。

警察学校では優秀な成績で出ながら、新任は交通整理。

ひょんなことから、大事件の捜査に携われることになるが、４８時間と期限を切られてしまう。

狐の詐欺師ニックと出会い、協力して捜査に。

一応サスペンスフルな展開だが、登場する動物のキャラがいかされて面白い。

中でも秀逸は、なまけもの。

差別問題もさりながら、努力すれば成功するという基本概念は、誰にもわかりやすい。

ＮＨＫ朝ドラ「とと姉ちゃん」いよいよ佳境に！

今回のＮＨＫ朝ドラ「とと姉ちゃん」は、花森安治で有名な月刊誌「暮らしの手帖」の出版社を起こした大橋鎭子がモデル。ドラマでは、小橋常子。

早くに父親を亡くし、一家を支えてきた常子が、いよいよ社会へ出て起業する。

で、それまでに、祖母滝子と、森田屋の女将まつとの交流が描かれてきた。

最近は、もっぱらこの二人の出番が多く、

出演の大地麻央と秋野暢子に焦点が当てられ、そのふけメークが話題に。

主演の高畑充希は、これからが本番。

朝ドラは、脇が見逃せない。

「劇場版 MOZU」、フィリピンにロケした壮大なアクションシーンと謎の男だるま？

おすすめ度　☆☆☆

ＰＧ１２　なにしろ、血の気の多いグロシーン満載。

逢坂剛氏のハードボイルド小説「百舌」シリーズが原作で、テレビシリーズ化。

テレビ版は、１０話の大作。

映画は、その後継版なので、テレビ版を見ていないと、内容についていけない。

という私も、テレビを見ずにＤＶＤ鑑賞したので、まあ、派手なシーンの連続にあれよあれよで、意味不明のまま終わってしまった。

ましてや、前半は主人公の夢だったなんて言う人もいて、まあ、ちんぷんかんぷん。

ただ、フィリピンにまでロケして、実弾の銃や、街を通行止めにしてのカーアクション、ごちゃごたやした商店街の雰囲気など、日本映画としては、金のかかった大作だ。

冒頭のビル襲撃爆破事件とペナム共和国の大使館が襲撃もなかなかサスペンスフルだ。

おまけに、謎の男「だるま」で、最後まで引っ張っていき、北野武が出演。

黒幕の姿を見せる。

このダルマ、本名ヨシダコマオ、戦後フィクサーで活躍した児島誉士夫をもじったとの話も。

ただ、大げさな展開の割には、ラストはあっけない。

主演の西島秀俊や香川照之、真木よう子のほか、伊勢谷友介、松坂桃季、長谷川博己ら豪華キャストなので、その演技合戦も興味がある。

「家族ごっこ」、不思議な家族の五つの物語！

おすすめ度　☆☆

シュールな日本映画好き　☆☆☆

一部劇場で公開

５つの物語よりなる１００分の映画。ゆえに、それぞれは短編。

家族の映画だが、どこかシュールで、コミックな家族像。

「グレイトフルデッド」の内田英治と原作者でもある木下半太が、分担して撮っている。

５組の家族には、特別な関係はない。

疑似家族を演じる「鈴木ごっこ」


家族崩壊の危機を迎える田中家を描いた「貧乳クラブ」


ほか、「佐藤家の通夜」「父の愛人たち」「高橋マニア」


斎藤工、でんでん、鶴田真由ら実力派が出演。

とりたてたものはないが、家族の問題を、シニカルでコミックに描いている。

ちょっと、エロチックだったり、グロかったり、ノーマルではない。

「きみといた2日間」、ネットで知り合った二人のラブストーリー！

おすすめ度　☆☆☆

Ｒ１５＋　ちょっと下ネタ連発です。

婚約までした彼氏には突然振られれ、アパートも追い出される羽目になったメーガン。

ネットの婚活サイトに登録。

知り合った男性の家で、一夜を過ごすことに。


ところが翌朝、大雪で部屋から出ることすらできず、大弱り。

だが、次々と騒ぎを起こすうちに、二人の関係は微妙に変化。

互いに忘れられない存在になる。

題名からすると、ラブラブな感じだが、行きずりの関係でそんなに燃え上がるわけもない。

ただそれが、後の一日で、急激に変化するのがみそ。

部屋に閉じ込められるという、閉鎖空間、二人の会話劇の趣。

シナリオがいいだけに、良い演劇を見ている感じ。

ただ、結構下ネタの話が多く、これがまたあけすけで面白い。

８６分の短尺なのであらが見えず、好感を抱かされる。

男を演じるのは、あの「セッション」のマイルズ・テラーだ。

「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」、キャプテン・アメリカとアイアンマンの対決！

おすすめ度　☆☆☆

マーベル好き　☆☆☆☆

マーベル映画の一環ですから、初めてマーベル映画に接する人には、やや荷が重い。

何しろ、登場人物が多く、その関係などを知らなければ、面白さは半減する。

ただ、キャプテンアメリカとアイアンマンの対決だけに絞って鑑賞すれば、それはそれなりにアクションシーンに酔えるはずだ。

それにしても。マーベルの映画力は素晴らしい、これまでいくつもの映画が作られているが、それぞれに、楽しさが満載だ。

映画のコツを覚えているからだ。伊達に資本を投下しているだけではない。

二強対決のアイデアはいいが、どちらかが悪であることが多いし説得力もある、だがこの映画では２強とも悪くない、そのためカタルシスは少ない。

マーベル映画のいいところは、自在に飛び回ってのアクションが主体だが、基本は肉弾戦、アクションの基本が抑えられている。

さて、今回もう一つ加えるべきは、新しいスパイダーマンの登場だ、まだひよわさが感じられるが、次回作が予定されているようだ。

冒頭見せられる、世界の破壊映像は、たしかに、強者もいいが、世界を壊してはいけないよね。

「追憶の森」、青木ヶ原樹海に自殺に来た二人の男！

おすすめ度　☆☆☆

ゴールデンウィークに自殺の映画とは？

ただ、これ魂の救いの話です。

青木ヶ原樹海は、自殺の名所として世界的に有名なのか。ここでは、インターネットで自殺の名所として一番だったので、アメリカからわざわざ日本に自殺に来たという。

冒頭は、アーサーが、アメリカから青木ヶ原樹海へやってくる道のりが描かれる。

そして、睡眠薬を取り出し２，３錠飲んだところで、日本人だが、英語の話せるナカムラに出会う。

ナカムラも自殺のため、さまよっているのだが、生きたいという。

そこで、ナカムラを助けようといろいろ努力するが、

という展開で、同時にアーサーの自殺の原因が描かれる。

それは妻との関係だ。

アーサーを演じるのがあの、「ダラス・バイヤーズクラブ」のマシュー・マコノヒー。あの陽気さと同一人物とは思えない。

一方、日本人男性を渡辺謙が演じる。

日本の青木ヶ原樹海に意味があるのだろうか。

いずれにせよ、生死の問題と、恋愛の問題が、テーマとしてうろつくが、カンヌでブーイングを食らったのはその辺の無理解のせいか。

日本的死生観は、なかなか、西洋では理解されずらいのか。

追記：樹海はアメリカで撮影されたらしい。

「ピッチ・パーフェクト」、女子アカペラ部のコンテスト挑戦！

おすすめ度　☆☆

アカペラ好き、女子部好き　☆☆☆☆

アメリカで、２０１２年に公開、大ヒット。

残念ながら日本では、２０１５年と遅れて公開。でもすぐ続編も公開。

大学の女子アカペラ部の昇進物語だから、女性向。

アカペラの合唱部の音楽性は高く、アメリカではブームになったとか。

でも一方で、下ネタ満載のコメディでもある。

男子クラブとのバトルもあり、女性にはたまらないエクスタシーだ。

恋愛とか、家族とか、人生問題も豊富な青春物語。

「イントゥ・ザ・ウッズ」「ラスト5イヤーズ」といったミュージカル映画への出演も続くアナ・ケンドリックが主人公ベッカ役で主演。

カップを楽器代わりに歌うのが流行したとか。

日本では、アカペラが、それほどなじみがないのが難点。