東海道新幹線なら出張サラリーマン諸氏が使用している光景を頻繁に目にするかもしれないが、上越新幹線はまだまだ珍しい。
今回は。
通路挟んで向こう座席の男性が、新潟駅から熱心に取り組んでいた。
大宮で降りたから、1時間半はバッテリーが持つんだ、なんて妙なところに感心して。
で、高崎から若い男性二人が私の横に。
あれま、他にも空いているところがあるのになあと思いつつ、横目でチラッと伺うとすぐ隣の男の子は白い杖を折りたたんでいた。
目が不自由なんだ。
その彼が網棚に載せたリュックからパソコンを取り出した。(ここからはもう・・・)
椅子についているテーブルに載せ、電源入れて、その間に付属部品を取り出している。
どの時点で画面が現れていることが分るのだろう、キーボードを操作している。
そして、USBメモリーのような部品を差し込んで、そんなときにも手は画面を操作している。
それからヘッドフォンを付けて目的の画面に。
すごいものだ。
ちょっとふつう目にしているキーボードと違うように見えるけれど、それを巧みに操っている。
無事パスワードも入れて、アマゾンでお買い上げ。
ごめんね、おばさんは気になって気になって老眼鏡まで出して横目で伺っていたけれど、きっと察したことでしょうね。
隣の友人に「買ったよ」といった声まで聞こえた。
彼にとって、パソコンというツールは、彼の世界をぐんと広げているに違いないと確信した。それからもちょっとだけ触っていたれど・・・
青春の晩夏(なんか変だわ) 小木 素浜海岸
二人は大宮で降りていった。
健常者の友人の気遣いはさりげなく、彼の腰に手を添えて。