先に謝ります、江國香織さん。「できていた」と「できている」の違いだけれど無断で借用いたしました。
もう先月になるけれど、ちゅっぱが来たときに娘が、
「ちゅっぱはいつでも号泣する準備ができているね」
と言って、ほんとにそうだわと大笑いしたのよ。
で、私は先週からすでに、ある時間になると「号泣する準備」ができているの。
そう、昼間テレビを視聴する習慣がないから1話は見逃したけれど、再放送ドラマ『僕の生きる道』の録画を
さてこれから観よう、とリモコンボタンを手にした時ね。
28歳で余命1年と宣告された高校教師(ツヨシクン)が残りの1年をどのように生きたかという話。
「僕に自分で死ぬ権利なんてない。僕は生きる。人生最期の日まで」は2話の主人公秀雄の台詞。
2003年放映されたのだからもう11年もたつ。
が当時すっかりこのドラマにのめり込んで、リアルタイムに観、録画したものを観、公式ホームページの掲示板を読み、
そのたびに性懲りもなく涙を流していたの。
冒頭のシーンが流れ音楽がかぶさってきてツヨシクンのセリフの後にタイトル。
もうもうもうぐっと来てすでに泣きたい寸前。
暗い画面に縦、白抜きでかっきりと「僕に生きる道」の文字、そこに右斜めから一筋の光が差し込む。
このタイトルを出すタイミングが絶妙にうまくて・・・
いやいや冒頭だけじゃない、最後部分でもやはりツヨシクンの台詞、タイトル、主題歌木村さんから始まる♪世界に一つだけの花
が流れてくるとドラマの余韻がぐっと増して。もはやそこだけで1場面の役割を果たしたものだ。
橋部敦子さんの脚本が素晴らしくて、毎回どのセリフも胸に響いて。
台詞をあえてBGMをかぶせて聞こえなくしてしまう演出。
そこに聞こえるのはBGMだけ。そこにあるのは役者の表情だけ。
できるだけ余分なものを排除して、最後まで淡々としたペースで、過剰な演出をせず、無駄な音は極力排除したドラマだったわ。
それだけに感情を揺さぶられて泣けてきたものよ。
特に2話と最終話はそれが顕著で号泣してたわ。
最終話、生徒たちが音楽コンクールの舞台から中村先生のために♪仰げば尊し を歌うのだけれど、
途中から音は聞こえなくなり生徒たちの表情だけがクローズアップされて。
教え子たちが本当に『師』と仰ぐ教師に出会ったとき、卒業の歌として相応しいなと思ったものだ。
さすがに、再放送のCM多々話はとぎれとぎれおまけにニュースまで入ると、当時に比べて胸がぐっと詰まる
くらいで我慢できるけれど、やっぱり胸打たれ間違いなくツヨシクンの代表作ドラマだと思うのです。