チュウゴンサンが出来上がったコートを持ってきたときの「こんな話するつもりなかった」の話。
チュウゴンサンもひとり娘さんで、札幌でひとり暮らしをしていたお父さんのお世話をしながら3年間生活していたときのこと。
近くに高校の同級生がピアノの先生をして生計を立て、ずっとひとりがんばっているという。
お人柄か職業柄かそれはそれは人の出入りが多い家で賑やかなのよ。
いつ行っても誰かいるのよ。
彼女も楽しそうなのよ。
でもね、彼女が言うのよ。
いっぱい人が来てくれて自分は十分生活できるだけの家もそれなりの収入もあるけど。
ふとしたときに何か言っても「・・・ね。」って言える人がそばにいない。
あなたはいいわね。聞いていなくても返事がなくても「ね。」って言える人がそばにいるもの。
って。
それを聞いたチュウゴンサンは、そうか夫は「ね。」の人か、と深く納得したそうな。
それを聞いた私も夫は「ね。」と言える人、それだけでも充分かとやけに神妙になった。
今日はいい天気だね、とか、寒いね、とかどうでもいい話ができるだけでもありがたいのね。
河口湖まで運転しているとき
「どっち行くんだ、この道でいいのか」
としょっちゅう口走ってうんざりする夫でも話のタネを提供していると思って感謝せねばいけないのね、チュウゴンサン。