Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

【小紋の別誂え(フルオーダー)第3弾】《友禅完了編》

2013-06-10 23:50:50 | 着物
時間がかかっていた薬玉柄の小紋の別誂えですが、ようやく全工程が終わって、
できたてほやほやの反物が手元に届きました


今回は、図案を決めるところからとても悩んだ小紋です。ずっと薬玉柄の小紋が
欲しいと思っていましたが、薬玉柄は子供の着物や振袖に使われることの多い柄
のため、今から誂えるならば大人っぽく仕上げる必要があったからです

よく見かける薬玉柄は、薬玉から多色の組紐が長く伸びて動きを作り出している
華やかなものが多いのですが、それだと子供っぽくなってしまうので、吊り薬玉
という図案にして、垂れ下がる組紐を直線的なラインにしてもらいました

また、色使いについても、地色は綺麗なものが良かったのですが、柄にピンクや
鮮やかな赤や紫などの強い色を使うと子供っぽさが出てしまうので、暖色系には
橙やくすんだ赤、寒色系は抑えた紫と黄緑のみに指定して、色数を抑えました。

金彩についても友禅が仕上がったあとに事細かにリクエストを出したので、工房
側には大変なお手数をおかけしてしまったのですが、おかげさまで心から満足の
いく、大人が着ても違和感のない綺麗な色の薬玉柄小紋が出来上がりました


八掛けは小紋と同色にしてもらい、ポイントで薬玉のまわりに散らした花々のみ
を描いてもらいました。すっきりとしていてまとまりも良く、気に入っています



今回の柄の色づけは使う色を指定してあったので、一つの柄でいくつもパターン
があるものではないのですが、組紐の色を多少は入れ替えるなどしてくださった
ようです。色を指定しただけあって、柄の色使いも大満足の出来上がりでした


工房でも初めての試みである「御簾霞」は最後の最後で金彩に注文をつけさせて
頂いて、他の金彩よりも粒子の粗い金糸目で太めに書いていただきました。その
ぶん華やかさと存在感が増して、全体のバランスが良くなったと思います

工房の方いわく、工房始まって以来の柄の付け具合で、手描き友禅の小紋でこれ
ほどまでに手の込んだものは皆無だそうです。こちらの工房では下絵~糸目糊~
友禅に至るまで全て手描きで作業してくださっていますので、糸目の職人さんが
糊を置くのに振袖の倍以上の時間がかかった、とおっしゃっていたそうです

手間がかかったぶん、お値段もこれまでに作った2枚の別誂え小紋の倍近いものに
なりましたが、その価値は充分にあると思います

工房側には大変なお手数をおかけしましたが、とっても贅沢な一枚を作って頂き
ました。とても素敵な小紋に仕上げて頂き、どうもありがとうございました

早速仕立てに出しましたので、仕立てあがったら今までの工程をまとめた記事を
アップしたいと思います