Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

京都演奏旅行二日目~本番@南座(薄翡翠色地流水花筏柄単衣訪問着)~

2013-06-29 22:57:46 | 旅行
京都旅行二日目、いよいよ舞台本番の日です。

昨夜は11時前にはベッドに入ったのに、緊張のせいか夫がいないせいか、ずっと
寝付けずにいて、結局明け方に1時間ほどうとうとしただけで、ほぼ徹夜状態…
仕方なく6時に起きてお化粧と朝食を済ませ、ヘアセットや着付けを始めました。


こちらの単衣の訪問着は、一昨年9月に行われた友人の結婚式のために誂えたもの
なのですが、そのあとは活躍する機会は少ないのかなと思っていたものです。
しかしながら、去年は東をどり鑑賞に、今年は舞台にと、意外と毎年着る機会が
巡ってきているので、本当に誂えてよかったなぁと思います


訪問着を誂えようと思って、初めて「公庄工房」様にご連絡をさせて頂いたのは
もう2年半も前ですが、この訪問着の出来上がりに感動してしまって、それからは
毎年訪問着をお願いするようになりました

図案決めから地色決めに至るまで本当にたくさん悩んだのですが、公庄工房様の
適切なアドバイスによって、本当に気に入る一枚になりました

夏物の袋帯は2本しか持っていないうえ、もう1本は羅なので盛夏にしか使えない
ため、いつも同じ組み合わせになってしまうのが残念です。いずれ別の色の帯も
買いたいと思っています


着物は淡い翡翠色のサラッとした縮緬地に、初夏~初秋の花々を乗せた花筏が、
流水と共に描かれています。流水は銀彩で、花筏は金疋田で表現された豪華さ。
図案~金彩まで全て手作業の、総手描き友禅の単衣訪問着で、「公庄工房」製。

帯は爽やかな白い絽地に、パステル系の柔らかな色糸と金銀糸を使って、菱紋が
織り出された唐織の夏用袋帯。唐織が好きなので、夏でも唐織に目がいきます。
帯揚げは、ごくごく淡~いピンクの絽地に赤い桔梗が絞りで表現された輪出し。
帯締めはピンクと白銀のリバーシブルになっている夏用の礼装の平組紐。

身支度を整えたらすぐにホテルを出発して、演奏会場である南座に向かいます。
出演は10時半ですが、事前に三味線の準備もありますし、なにしろ200名以上が
舞台に乗るので、全員が乗るまでに30分ほどかかります。余裕を見て9時前には
南座に到着しました

出演者は全員が着物ですので、楽屋にはあふれんばかりの着物姿が。もちろん、
お名取さんは黒紋付にお揃いの帯と決まっているので皆様同じなのですが、それ
でも着方にはそれぞれ個性が出ていますね。一般のお弟子さん方の着物姿もそれ
ぞれに美しくて、目の保養になります


楽屋では、昨日と同じく舞台に移動する直前まで練習を続けていました。昨日の
下浚いでは他の方の音や指使いに翻弄されて、一部暗譜したはずのものが飛んで
しまったので、今日は自分の音にだけ集中できるように頑張りました


本番30分前からは舞台に並び始めます。今回は10段ある雛壇の9段目にいたので、
上から見る風景は圧巻でした。昨日の下浚いと違って皆様盛装していらっしゃる
ので、それはそれは見事な景色です

本番ではなるべく他の方の手が目に入らないよう、いつもよりも下を向いて演奏
していました。本当は畳半畳分くらい前を見るものなのですがそうこうしてる
うちに、なんとか無事に舞台の幕がおりていました。

舞台の後は、わざわざお仕事の合間をぬって見に来てくださった「公庄工房」の
公庄様と奥様にご挨拶をさせて頂きました。お作り頂いた訪問着を着ている姿を
お見せするのは初めてだったのですが、いつかは写真ではなくてきちんとお見せ
したいと思っていたので、今日お会いできて本当によかったです

そして公庄様の他にも、ブログを通じてお知り合いになった方が舞台を見に来て
くださっていて、ご挨拶をさせて頂きました。はじめましてのご挨拶にドキドキ
しましたが、とっても明るくおおらかな方で、とっても安心しました。わざわざ
遠くから舞台を見に来てくださって、本当に嬉しいです

ご挨拶を終えたあとは、いったん南座の外に出て、近くのコンビニから三味線を
発送しました。復路も無事に送り届けられますように…

それからは、他の方々の演奏をいくつか鑑賞しました。舞台中は写真が撮れない
ので残念でしたが、宮川町の芸妓さん方による「連獅子」の演奏もありました。
おかげでロビーや客席には芸舞妓さんがたくさん来ていてとっても華やかです。
出演された芸妓さんはお座敷着を着ていて美しく、楽しませて頂きました

華やかな連獅子を見た後は、南座を出て少し歩き、祇園白川のあたりへ。



今日のランチは「祇園かにかくに」さんを予約させて頂いていました。こちらの
お店には数年前にも来たことがあるのですが、白川のほとりに建っているので、
窓側の席に座ると白川の流れを眺めながらゆったりお食事ができます




お料理は可愛らしい「舞妓御膳」を頂きます。まずは先付、八寸、お造りが出て
きました。先付けは湯葉、八寸は鯛の押し寿司・鮎の甘露煮・出し巻き卵・海老
など、お造りは鯛と鱧でした。


お次は炊き合わせ。夏なのでちょうどよく冷やされて、プチトマトも使われて
いました。冷製の炊き合わせは初めて頂きましたが、出汁の香りが全く損なわれ
ていなくて、とても美味しかったです


続いてはてんぷらです。ベビーコーン・茄子・かぼちゃなどの夏野菜に加えて、
鱧や海老がさっくりと揚げられています



シメにはごはんと赤出汁のお味噌汁と香の物、そしてふりかけが2種類用意され
ていました。こちらのふりかけがとても美味しくてびっくり。白い方は唐辛子が
入っていて、黒い方は醤油味がついているので、ご飯がとっても進みます


最後はデザート。ちょうど6月末ということで、この時期らしく水無月に見立てた
水菓子と白玉でした。涼しげで見た目にも楽しいデザートですね

ゆったり1時間半ランチを楽しんだあとはお待ちかねの京舞鑑賞会があります。

「かにかくに」さんでは、毎週土曜日の15時から京舞鑑賞会が開催されていて、
京舞鑑賞会だけでも参加はできますが、ランチと一緒に予約しておくと上座の
お席を用意して頂けるので、舞妓さんの舞を間近で見られたり、たくさんお話が
出来たりします




かにかくにさんの中にあるお座敷に入ると、奥に金屏風が立てられていました。
お座敷には、京舞の前に披露されるお点前に使うお茶の道具も置かれています。
テーブルの上にはお茶と一緒に頂くお菓子も用意されていました。


準備万端整ったところで入っていらした舞妓さんは祇園甲部の「佳之介」ちゃん
でした。まだ割れしのぶを結っているので舞妓さん2年目あたりでしょうか?衿が
白いからもう少し経っているのかもしれません



今日のお衣装は、涼しげな薄黄緑地に鉄線が描かれた単衣の引き振袖に、白地に
朝顔が描かれた絽の染め帯。簪は薄い水色の紫陽花を挿していました



まずはお点前から。1時間弱という短い時間の中なので、お点前は短時間で終わる
盆略点前でした。慣れた手つきで危なげなくこなしています。半東さんがいない
ので、ご自分でお正客さんのお席まで運んでいました



お点前のあとはお店のおねえさんが舞妓さんについての説明をしてくれました。
衣装や髪型や花街のことなど、基本的な事をお話してくれて、合間合間で佳之介
ちゃんに話題を振ったりと、和やかな雰囲気です

佳之介ちゃんは笑顔がとても可愛らしい上品な感じの子で、ずっとニコニコして
いて可愛らしかったです。兵庫県のご出身だそうですよ。



一組ずつツーショットの写真も撮ってくださるので最初は普通に撮ってもらった
のですが、妊娠中という話がでたら佳之介ちゃんが「うらやましい」と言って
お腹を触ったショットも撮ってくれました。どうもありがとう


写真撮影の後は京舞鑑賞の時間です。この時期らしく団扇を使った「夏は蛍」を
舞ってくれました。お点前も舞もそうですが、もともと下地があった子なのか、
まだ2~3年目とは思えない所作で、うっとりと拝見しました


そして最後は、おしゃべりタイムです。佳之介ちゃんがお座敷の真ん中まで来て
くれて、お客さんとフリートークを楽しみました。きちんと一人一人の顔を見て
お話をしてくれる子で、皆さん緊張しながらもたくさんのお話をしていました。

楽しい時間が終わって、帰る前に参加者の中から2名だけ花名刺をもらえることに
なったのですが、佳之介ちゃんから特別に「赤ちゃんのいるおねえさんに」と
言って花名刺を頂くことができました。とっても嬉しかったです

こういう気遣いの出来る舞妓さんは、きっとお座敷でも大人気なのでしょうね

美味しいランチと可愛らしい舞妓さんとの時間を楽しんだ後は再び南座へ戻り、
先ほどご挨拶をしたブログでお知り合いになった方との待ち合わせをしました。
その方がもう一人ブログに遊びに来てくださっている方をお連れ下さったので、
3人でお茶をご一緒することに

南座から徒歩5分ほどの場所にあるとても素敵なカフェを予約してくださっていた
ので、そちらのお店で和菓子とお茶を頂きました。「せせらぎ・すへら」さんと
いうお店です。


こちらのお店は店内はとてもモダンでスタイリッシュな感じなのですが、頂ける
お菓子は、なんと京都の和菓子の名店、「嘯月」さんの上生菓子嘯月さんでは
予約販売のみなので、私のような観光客が買うのはなかなか難しいお店です

今日は嘯月さんのきんとんがあるということで、そちらとお茶のセットをお願い
しました。紫陽花のようにも見える紫色の美しいきんとん。銘を忘れてしまった
のが残念です。お茶は「雁が音」のほうじ茶をお願いしました

美味しいお菓子とお茶を頂きながら、女性3人でおしゃべりに興じました。私は
初めてお会いする方だとなかなかたくさんはお話できないのですが、ご一緒した
お二人が気遣って話題を振ってくださったりたくさんお話してくださったので、
とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。どうもありがとうございました

それぞれの住んでいる場所は遠いのですが、またお会いできたら嬉しいです

これからディナーに向かわれるというお二人とお別れした後は、南座に戻って、
お師匠さんや他のお名取さん方の演奏を拝聴しました。ちょうどコシノジュンコ
さんの演奏の時間だったようで、会場は3階席までほぼ満席。すごかった~

薄暗くなってきた頃に南座を出て、八坂神社へ向かいました。本当なら明日行く
つもりだったのですが、もしかしたらもう設置されているかと淡い期待を抱いて
行ってみたのです。


何がというと、こちらの茅の輪です。明日の夏越の祓のために設置されている
もので、一度はスサノオノミコトを祀る八坂神社の茅の輪を見たかったのです。
舞殿の前に設置された茅の輪は高さ3mほどで、作りは以前鳥越神社で見たものと
ほとんど同じでした。残念ながら今日くぐっても意味がないのですが…

観光客の方も珍しそうに見たり説明に従ってくぐってみたりしていたようです。
私もくぐってみればよかったかな

八坂神社を出たあとは、疲れないようにすぐにホテルに戻りました。昨夜はほぼ
寝ていない上に朝から着物で出歩いていたので、やはり体は疲れていたようで、
ホテルに帰ってシャワーを浴びたらどっと疲れがでてきました

明日は伊勢なので、夜はホテル内で簡単に食事をとって早く眠ることにします