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原題の、"Io e te" は "私と君"でしょうか。
秀作です。
イタリアの巨匠・ベルトリッチ監督の50周年記念の映画と言われます。
主な出演者は、異母姉弟のオリビアとロレンツォの二人だけです。
14歳のロレンツォは、両親に嘘をついて学校の一週間のスキースクールに行ったように装い、
その間、アパートの地下室で過ごそうとします。
麻薬中毒から抜け出そうとしていた異母姉のオリビアは、そこに偶然出くわし、居座ります。
周囲となじめず孤独で日々煩悶としていたロレンツォは、麻薬の激しい禁断症状と戦うオリビアの姿を見ます。
それは、オリビアの自分の再生のための必死の戦いでした。
上左の写真は、映画のラスト、地下室から出た二人が新たな門出に出発する姿です。
二人の視線は異なり分かれていくのですが、二人の確かな足取りは私たちにやすらぎと安堵感を与えます。
実はオリビアは、禁断と戦っている最中、耐えきれず、クスリを手に入れます。
しかし彼女はそれには手をつけずに地下室から出て行きます。
彼女のサングラスには、その後ろめたさや危うさが隠されているのでしょうか。
私は、オレンツォが人生の成功者や専門家の説教や恋人との出会いや家族によってではなく、
落伍者・駄目人間のオリビアへの反発・交流の中で「大人への旅立ち」を始める意味を考えます。
そして何より私は、彼よりもオリビアの「大人への旅立ち」に強い印象とこの映画への共感を覚えました。
ロレンツォは地下室にガラス容器に入れたアリの巣を持ち込んでいたのですが、
ふとしたことでオリビアがその巣を壊してしまいます。
彼は、たいして怒ることなく淡々とアリたちを戸外に捨てます。
私にはそれが、ロレンツォ達の地下室=暗闇・閉塞からの脱出を暗示していると感じました。
イタリア映画ですが、イタリアの名所は出てきません。
地下室に面した石畳の無名の通りが何度か出てきます。
でも、『孤独な天使たち』のタイトルは頂けません。
原題通り、『私とあなた』の方が良いのでは。
昔、ベルトリッチ監督の映画を見たことがあります。
『1900年』と言うタイトルで、20世紀初頭から第一次世界大戦、ファシズムの台頭から第二次世界大戦の終了までの
イタリア現代史の一エピソードを描いた映画でした。その感想は、私のブログ、『映画:1900年』 にあります。
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【1月20日鑑賞】