8月末の北海道旅行も3日目、早いもので最終日だ。この日も朝から快晴で、早々にホテルをチェックアウトして札幌の街散策。
まず大通に出て、初体験の市内電車に乗る。札幌から市街の西側をぐるりと回ってすすきのに行くというやつ。車内には冷房がないが、その分窓を開けて、郊外の風情を楽しむ。昨夜ご一緒したHさんもこのあたりのお住まいのはず。今朝はもう起きているかな。藻岩山へのロープウェイの登り口があるが、観光都市・札幌というよりは、普通の札幌人が日常の足として使っている路面電車である。歩いて5分のところ、大回りで40分ほどかけてすすきのへ。
まだ朝食をとっていないのだが、すすきのの「赤れんがラーメン」が24時間で開いているので、朝から札幌ラーメン。店にはTVタレントに混じって、日本ハムの選手のサイン色紙も飾られている。
さて、今日3日目の目的、というより、この旅に出る動機付けとなったのが、「札幌ドーム」である。それも、「札幌ドームで日本ハム対オリックス・バファローズ戦を観る」というもの。日本ハムの札幌移転3年目でようやく訪れることになったのだ。
その札幌ドームに行くには、地下鉄東豊線で終点の福住駅から徒歩10分ほど。豊水すすきのから地下鉄に乗る。まだ時刻は9時過ぎというのに、車内は日本ハムのユニフォーム姿に身を固めた家族連れ、若者たちで混雑している。この時6連勝中と、パ・リーグで最も勢いに乗っているチームだけに、ファンの出足もいいのだろう。
終点福住駅着。このまま札幌ドームに行ってもいいのだが、せっかくなのでこの駅からバスが出ている羊ヶ丘展望台に行く。高台に建てられた住宅地、ベッドタウンという雰囲気の街中を行く。ところが急に牧草地が広がって、着いたのが羊ヶ丘。
ここでは何といっても板垣退助・・・もといレーニン・・・じゃなかったクラークの像である。像の彼方に広がる札幌の街並。昨夜のJRタワーからの眺望とはまた違った眺めである。その正面に、これから行く札幌ドームが銀色に光っている。何か、いいロケーションじゃないですか。
さて、札幌ドームに向かう。また福住駅に戻るバスに乗ればよいのだが、やってきたのは、別系統のバス。それでも、札幌ドームのほうに向かっている。福住5条3丁目というバス停だったか、このあたりが最も近そうだったのでここで下車する。通りを日本ハムのユニフォーム姿の人が歩いていたので、それについて行く形でドームに出る。すでに大勢の人たちが入場口に向かっている。敷地は広々としているのだが、入口への通路が狭く感じられる。野球場に来たというより、美術館とか、博物館に来たかのような感じだ。
それはドーム内に入っても感じられたこと。日本にもいくつかドームがあるが、いずれも中に入れば雰囲気で自分のいる位置や、自分の座るべきシートはどっちの辺というのがわかるのだが、一瞬「外野席にはどこから行くのか?」とわからなくなる。野球場とサッカースタジアムの両面で使うから、中のつくりも独特のものなのかな。
ようやくに席に上がる。この球場は三塁~レフト側がホームの日本ハムファン、そして一塁~ライト側もホームの日本ハムファン。ではビジターのファンは・・・といえば、ライトスタンドやや内野よりの一角に固まるのみ。私の目の前が応援団のリーダーの立ち位置というところだ。この一角だけが、独特の雰囲気といっていいだろう。応援団も東京、大阪、神戸から来ているが、ファン全体で見れば200人いるかいないか。ここまで完全なアウェイ観戦というのもなかなか面白そうだ。ちなみにこの日の観衆は、35,000人を超えていた。
昼食は「石狩ずし」。ドームでこれを味わえるとは意外。そして飲むのはもちろんサッポロクラシック。そういえばビールの売り子もクラシックか黒ラベルが多い。この試合中、何杯飲んだかな・・・?
そしてこのドーム、障害物が少なく実にグラウンドが見やすい。札幌の人たちはうらやましいグラウンドを持ったものだ。それに引き換え大阪ドームは・・・ま、やめときましょう。
さて試合開始。この日は日本ハム・金村、オリックス・川越の投手戦となったが、日本ハムファンの大声援を聞くのも楽しめた。SHINJOの好プレーに沸き、小笠原の時にはイルカの風船を振って応援したり、「稲葉党」ともいえる連中がいたり・・・。福岡、千葉のファンも熱心だが、この札幌のファンも熱い。ほんの3年前まで、そのほとんどが巨人ファンだったという土地と言われても信じられない。このドームでプレーオフなんてことになれば・・大変なことになるだろうな。
試合のほうは既にご承知の通り、ホームランこそ出なかったものの、セギノールの2本のタイムリーで3対1と日本ハムの勝利。これで7連勝。一方、オリックスは今季札幌での最終戦で、プレーオフ進出の可能性が全くなくなったという試合だった。最後に応援団全員が通路に立ち「ご声援ありがとうございました」と一礼すると、それまで好奇の目でも見ていた日本ハムファンからも温かい拍手が送られた。ファンとしては非常に残念な試合だったが、はるばる北の地にまで観に来た甲斐はあったと思う。(同じように、東京近辺から来ていた人が結構いたみたい。羽田で見かけた人もいたぞ)
大勢の観客とともに、ぞろぞろと福住駅に向かう。これで3日間の行事は全て終了。新千歳空港に向かう。この福住からもバスで空港に行けるそうなのだが、荷物を札幌駅のロッカーに入れているので、一旦札幌駅に戻り、JRで空港へ。試合が(私が観に行った割には)早く終わったので、フライトまで時間がある。
そこで締めは・・・再びのジンギスカン。それも松尾ジンギスカン、通称「まつじん」。ここのジンギスカンや肉を焼くというより、たれをたっぷりかけたスキヤキのような感じ。またまたのサッポロクラシックとの相性もよい。
それにしてもいろんなものに出会い、味わい、楽しめた密度の濃い3日間であった。仕事柄長期の旅行ができないのだが、短い時間でも楽しめるものがある。今回訪ねたところは、また行ってみたいところばかり。その時を楽しみにしよう・・・・(終)