まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

鹿島鉄道に乗る

2006年09月23日 | 旅行記C・関東甲信越

P1011130 茨城県を走る鹿島鉄道というローカル私鉄がある。ただこの鹿島鉄道、来年3月限りでの廃止届が出されており、その存続に向けた地元の運動も行われている。ここ数年、第三セクター鉄道や、地方の中小私鉄の廃止が相次いでいる。自動車社会である地方においては、鉄道という輸送機関そのものが、時代の流れから取り残され、脱落していくのだろう。

P1011172 私もこの私鉄にまだ乗ったことがなく、廃止になる前に乗っておこうと思い、始点である常磐線の石岡駅に着く。石岡駅の5番線が鹿島鉄道のホームである。そのホームにはこのように「カシテツを救え。」という看板や幟が見られる。これは廃止反対派が立てたんだろうな。しかし、鉄道側が廃止届を出して、廃止が現実のものになったわけなのに、こういうものを立ててよいものだろうか。存続したいのか、廃止したいのかどっちやねん、と思う。

P1011120 次の列車まで時間があるので、一度石岡駅の改札を出て、駅構内をまたぐ歩道橋に上がる。この歩道橋から鹿島鉄道の気動車オールスターキャストを眺めることができる。この構図はお好きな方には堪らないかと。同じようにカメラを構える人の姿が絶えない。土日限定の「鹿島鉄道一日フリーきっぷ」が1100円で売られている。石岡から終点の鉾田まで片道1080円だから、実にお買い得である。

P1011134 現在の列車の主力はクロスシート式の軽快気動車であるが、中には昭和のレトロ車両も健在で、便を限定して運転している。そして、私が乗り合わせたのは今年70歳になるというキハ601号車。70歳といえば思いっきり戦前で、確かプロ野球の中日ドラゴンズも球団設立70年だったかな。よく残っていたものだ。

私は特にどの列車がどの車両という予備知識なしで来たのだが、これはラッキーだ。発車時間になると同じような鉄道ファンがぞろぞろやってきて、ロングシートは皆埋まった。

P1011135 石岡近辺の住宅地を抜けると、稲刈りの最中の水田と、ハス畑が目立つ。気動車はエンジン音を高くうならせ、走り抜ける。沿線にはこの車両を撮影するファンの姿があちらこちらに見える。こういうレトロ車両の起用も、少しでも鹿島鉄道にファンの目を向けようという試みである。まあ、一般の乗客は「オンボロ”電車”」と思っているのかもしれないが・・・。

P1011168 列車は霞ヶ浦に沿って走る。実に穏やかな眺めだ。こういう見所もある。スピードが上がると、列車の振動がもろに車内に伝わってきて、乗客の身体が上下にバウンドする。このあたりも、レトロ車両の味わいだろう。

P1011142P1011146 1時間足らずの汽車旅を終え、終点の鉾田着。この駅も昔ながらのつくりで風情があるのだが、隣接するバスターミナルに比べて肩身が狭そうだ。ここから歩いて鹿島臨海鉄道の新鉾田に抜けることができるのだが、今日はこのまま同じキハ601で引き返す。

P1011163 とはいうものの単純に往復するだけでは面白くないし、せっかくフリーきっぷがあるのだからと、霞ヶ浦に近い、浜という小駅に降り立つ。小ぶりな待合室と、ホームの周りに咲くコスモスがいい風情を醸し出している。また、ハス畑を抜けると霞ヶ浦の湖岸に出る。

P1011156P1011159 そこで目にしたのは、アサザの群生地。湖面に浮かぶ小さな、黄色い花である。霞ヶ浦の自然保護のNPO団体が、水質保全の一環としてその保護に取り組んでいるとか。次の列車までの間、しばらく湖の静かな水面の様子を楽しむ。

今度は軽快気動車に乗り、石岡に戻る。1回乗っただけなので何ともいえないが、今日の往復では鉄道ファンの姿ばかりが目立ったようである。鹿島鉄道もファン向けのイベントを組んだり、こういう「救え」運動も見られるのだが、それが一般の利用者増につながっているのかとなると疑問だろう。

P1011147 同じ茨城県には勝田から茨城交通も出ている。ともすればこちらの路線もこの先いつまで持つかわからないところがある。今日は石岡から都内に引き返したが、いずれ足を伸ばして、そちらにもおじゃましてみよう・・・。

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