まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

SLかわね路の旅~駿河鉄道めぐり・終

2006年09月14日 | 旅行記D・東海北陸

大井川鉄道のアプト式鉄道・井川線の往復乗車を終え、千頭に戻る。ここから金谷までがSLの旅となるのだが・・・SLの発車まで2時間半以上ある。井川線をもう1本遅い列車で往復してもSLには間に合うくらいのインタバル。

ただこれは計画段階から、まあ千頭でのんびり時間を過ごそうかという気持ちだったので別にどうということはない。どこか暇つぶしに・・・と観光案内の看板を見るうち、大井川を渡った対岸に日帰り温泉があるのを発見。橋を渡って早速向かう。

P1011026着いたのは「千頭温泉 旬」というところ。大井川の河原にある木造の建物。日帰り入浴500円で、露天風呂が楽しめる。頭を塀の上に出すと、大井川の流れの対岸に、先ほど通った井川線の線路を見ることができる。タイミングがよければ列車が走るのも見えそうだ。ここでのんびりと湯につかり、湯上りのビールを楽しんでしばしの時間を過ごす。

P1011030 駅に戻ると金谷からやってきたSL列車がホームに横たわっていた。駅横の道路からもその姿が見られるので回ってみる。すると、この列車を牽引するC11 267号が頭を客車につけた状態でいるではないか。転車台もあるのに、千頭からの列車はこの向きでいつも走っているのだろうか。電気機関車のように前後とも同じ顔をしているというわけではなく、何だか不恰好だ。

P1011045_1元南海電車の車両と並ぶ形で旧型の客車が7両横たわる。こうして見ると圧巻である。そして車両の最後尾には電気機関車もつく。全国の数ヶ所でSL列車が走っているが、SLに牽かれる客車のほとんどが近代型(というのもヘンな言い方だが)の客車やら、SL列車用に改造された車両である。しかしこの大井川鉄道、「昭和二十年代から三十年代にかけて東海道本線の最新標準型として活躍した形式です」という貼り紙がなされていた。急行形とはいえ冷房もなく、今日のような30度を超える暑さでは当時の旅も楽ではなかっただろう。

P1011049 発車時間が近づくに連れてホームに多くの客、そして逆さ向きのSLと記念撮影をする人が増え、そろそろ発車時刻。ボーッという大きな汽笛が鳴り、ガタンと客車が動く。私が乗っているのは前から2両目であるが、機関車の車輪の音がかすかに聞こえてくる。

夕方の大井川を下る。大井川と茶畑が沿線の風景だ。この日本的な景色というのも、旧型客車によく似合う。沿線にはカメラを構える人、河原で遊んでいるその手を止めて手を振る子どもたち、お母さんに抱かれた赤ちゃんなど、この列車が通るのを待ちかねるようにして多くの人たちが見送ってくる。そして車内も古いボックスがかえって珍しいものに見えて面白がっている子どもや、ガチガチのマニアとおぼしき連中など、いろんな人がSL列車のムードを楽しむ。

P1011046 私はといえば、乗車前にこういうものを仕入れて、文字通り「SLの旅」に酔いしれるのであった・・・・。

途中多くのトンネルを通るが、「窓を閉めてください」というような放送はなかった。いいのか?そしていざトンネルに入ると、わずかにススのようなものが入ってくるが、煙で車内が充満するということはなかった。気動車に乗っているようなものかな。まあこれは川に沿って下りが続いているから煙の量が少ないのかもしれないし、最近の石炭は「無煙」のもののシェアが高いという。このSLが使用しているのも、その手の石炭かもしれない。

せっかくSL列車に乗りながらこういうことを思うのも変だが、SL列車、どうも乗るよりは、外からその走りっぷりを見たほうが面白いかもしれない。旧型の客車に乗る面白さはあるが、走行シーンを同時に見れないのは惜しい。こういう時に分身の術が使えればいいんだけどなあ・・・。

P1011054 新金谷で大勢の客が下車し、またSLのほうにカメラを構える。ここで下車する人が多いのは、駐車場が完備されているからのようだ。そして残り少なくなった客とともに最後の走りを終え、金谷に着く。ホーム1本きりのため、そのまま折り返すしかない。ここで、最後尾につけていた電気機関車の出番。あっさりと列車を新金谷方面に回送して行った・・・。

1日楽しん大井川鉄道。この路線もまた訪れてみたいところである。SLにはこれで1回乗ったので、今度は列車の走りを外から見てみようかな・・・。これだけ観光に特化した(もちろん、地元客の利用もあるのだが)鉄道というのもなかなかない。

そろそろ夕方の金谷から、東海道線を東へ東へ向かう。

P1011014今回は駿河鉄道めぐりだったが、静岡県にはこの先、遠州鉄道に遠州浜名湖鉄道がある。また手前の伊豆には伊豆急行や伊豆箱根鉄道がある。伊豆にも久しく行ってないなあ・・・・。まだまだ、ローカル私鉄の旅は続くのであった・・・。(終わり)

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