まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

伊根の舟屋を巡る

2012年05月08日 | 旅行記E・関西

路線バスは伊根湾めぐりの拠点となる日出に到着。ちょうどすぐ伊根湾めぐりの観光船が出るというので急いで乗船券を購入して乗り込む。

伊根といえば海に面して広がる舟屋と呼ばれる独特の造りの家屋が残る街並みで有名である。これまで多くの旅行記でも取り上げられたところであり、今更私がどうのこうの言うところではない。私も過去に2回ほど観光船で見物したことがあるが、他では見られないこの佇まい、何度来てもいいかなと思う。

Dscn4212まずは観光船に乗るが、この観光船の大きな売りがカモメとの戯れ。乗り場、そして船内にかっぱえびせんが1袋100円で売られている。あちこちの観光船でカモメにやる餌といえばかっぱえびせんが相場のようで、カルビーさんも地味ながら安定した商売をしているなと思うところである。私も買い求め、何分の1かは自分用としつつも、カモメが舞う中に放り投げてくちばしでキャッチする様を楽しんだりする。

Dscn4221おっと、かっぱえびせんに夢中になり過ぎると、肝心の舟屋の建物を見逃してしまう。よく「観光船はなかなか舟屋の近くに寄らない」という声があるが、いかに伝統的な建物の保存地区とはいっても生活している人たちのプライバシーがあるからということで、あまり近くには寄らないという。それでも、何棟もの木造の家屋が寄り添うように、またそれぞれの個性を出すように並ぶ様というのは、日本広しといえどもなかなかあるものではないだろう。

Dscn4226Dscn4232いつしかカモメのことはどこかに追いやり、街並みのほうを食い入るように見つめていた。

Dscn4236Dscn4240こういう家屋を見ると、「台風の時などは大丈夫なのか」と思うのは当然だろう。ものの本では、伊根湾自体が南向きに入り組んでおり、入口に島があることで防波堤の役割を果たしていることから、台風の影響もさほど受けないとのこと。砂浜がなく、いきなり海底が深いというのもプラスになっているとか。

Dscn4257さすがによほど大型の台風なら浸水はあったかもしれないが、江戸から明治、大正、昭和にかけての古い家屋がしっかり残っているところを見ると、舟屋の構造というのはこの地に合ったものなのかなと改めて感じさせられる。

30分足らずで観光船は日出に戻る。普通であればこれで伊根観光は終わりで、次のスポットへということになるのだが、この日の私は時間がある。というか、伊根での時間をつくるために前泊したといってもいいくらいである。これまではなかった、伊根の街並みを陸側から見てみようと思う。歩いても行けないことはないのだろうが、ちょうど観光船乗り場にレンタサイクルがあるようだ。2時間400円で、借りる時に保証料として1000円を預けることになる。道を挟んだ車庫のガレージのシャッターを開けてもらって自転車を取り出し、伊根の集落に向かう。

Dscn4333こうして陸を走る分には舟屋の風情はわかりにくいものの、道の両側に木造の家々が並んで落ち着いた雰囲気が伝わる。最近の造りでは、母屋は山側にあり、海側の舟屋は1階は舟の置場であったり作業場であったり、果ては物干し場にもなる。そして2階が客間などの部屋として利用されていることが多いとのこと。やはりこういう場では海側が上座になるということかな。

Dscn4283レンタサイクルを走らせると、時折フリースペースのようなところが現れ、そこから間近に舟屋を海側から見ることができたりする。もっとも昨今は小型船といっても大きくなり、舟屋の1階に入れることができずに舟屋の前に停泊させるという家も結構あるようだ。

Dscn4332中には民宿を営む家もあるようだ。事前に予約すれば舟を出して舟屋を海から見せてくれるということもしてくれるようである。観光船のようなカモメとたわむれるという場面はないが、こちらのほうが本格的な案内も聞けそうだし、舟屋を間近に見られるのも面白そうだ。もし次に伊根を訪れる機会があれば、こうした民宿を利用するのもいいかな。漁船で舟屋を見て、「ええにょぼ」を抱きながらの一夜というのもいいな。あ、「ええにょぼ」といっても人間のことではなく、伊根の女性杜氏の手による地酒のことだが・・・・・。

Dscn4313自転車を漕ぎつつ、雰囲気のよさそうなところでは停止してカメラを構える。正直、地元の人たちにとってはこうして用もないのに集落に入り込んでくる観光客はどう映っているのかわからないが、観光客の目から見れば羨ましく映るものである。

Dscn4299集落の先端まで行って引き返す。そして急な坂道を上りやってきたのは道の駅。駐車場には時間待ちのクルマの長蛇の列ができており、その中を自転車で縫って走る。時刻はちょうど昼食時で食堂も順番待ち。

Dscn4301カンパチを中心とした刺身の盛り合わせにメバルだかの煮付けがついた舟屋定食というのを注文。走ったのでビール・・・と行きたいところだったが、自転車でも飲酒運転になるということでここは水で我慢する。

Dscn4308食後は展望台から伊根湾の全景を見渡す。こうして見ると実に穏やかな景色が広がっているのがわかる。そこを観光船、漁船が行きかうのも面白く、舟が生活の糧であり足でもあるこの集落の面白さが伝わってくる。ドラマの「ええにょぼ」の記念プレートもあり、「誰が出ていたっけな」「戸田菜穂と板東英二おったよな」「戸田菜穂って誰やったっけ?」「ほれ、一時アメリカに行った松井と噂になっとったやろ・・・」てな会話も聞こえる。

Dscn4320再び集落を抜けて伊根湾めぐりまで戻る。ここで自転車を返す。バスの時間までもう少し時間があるので今度は歩くことに。集落の中の経ヶ岬よりのバス停までバスを出迎える形となる。

今度は時間通りにやってきたバスだが、運転手が伊根湾めぐりのバス停で係員と話している様子では、宮津から天橋立にかけて渋滞が激しく、あちらから来るのに現在1時間近く遅れているとのこと。やれやれ、ここまで早い時間の移動だったので順調に来たが、下手をすれば大渋滞に巻き込まれて計画がズタズタになっていたかもしれない。

Dscn4337穏やかな海岸線を走る。帰りも傘松公園のところで下車することにしようか・・・・。

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