まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

出雲市発岡山行きJR西日本最長時間の鈍行に乗る・・・だから何やねん

2022年02月16日 | 旅行記F・中国

17時30分頃の出雲市駅。これが普通の旅、あるいは札所めぐりならこの日の行程は終了して宿泊先に向かうか、あるいは広島に戻るべく特急、あるいは高速バスに乗るところだが、今回はこれからがメインである。青春18きっぷの時季ではないので、出雲市~倉敷~広島市内の乗車券をあらかじめ購入していた。

出雲市を17時54分に出発して、途中の長時間停車を含めて5時間以上列車に乗り続け、23時10分に岡山に向かう鈍行列車。この3月のダイヤ改定にて、同じ出雲市発だが新見までに区間が短縮されるということで、最初で最後になるだろうがこの列車に乗りとおすことにする。YouTubeにもこの列車を乗りとおす動画が投稿されており、一つのネタになる列車だなと思ったことである。時間にすれば、夕食(一献)を取り、テレビでも見て、さあ寝ようかという長さを鈍行の中で過ごすわけである。だからというわけではないが、高架下のコンビニにて籠城戦かというくらい飲食物を調達する。

米子方面から115系の2両編成がやって来た。これが折り返しとなって岡山に向かう。ワンマン運転用に改造され、中間車両に運転台を取り付けた車両である。また車内はセミクロス式で、ボックス席が残る。車内が空いていてボックス席を独り占めできれば、5時間とはいえそれなりの「居住性」を保つことができそうだ。

2両合わせて20人いるかどうかという乗客数で出雲市を発車する。それぞれがボックス席、ロングシートに分散して座れるくらいだ。この先の駅を見ると、乗り降りがありそうなのは松江、米子くらいかと思う。時期、曜日にもよるのだろうが、この先満員になるくらい乗って来るとは思えない。ボックス席に一人で、周りの客とは間隔も開いている。別にしゃべるわけではない(一人客でしゃべっていたら、周りの客との間隔はさらに開くのだろうが)。とりあえず、一献としますか。

ただ冬の季節ということで、発車時点ですでに日が落ちており、車窓を楽しむことはできない。停まっていく駅や、スマホの地図でだいたいの場所はわかるが、こればかりはどうしようもない。宍道からは宍道湖にも沿うところだが、その景色は見えない。また、並行する国道を走るクルマのライトは見えるが、他に夜景が広がるわけでもない。時刻はまだ18時台だが。

実はこの「逆」の列車があり、倉敷を朝5時43分に発車して、伯備線~山陰線をたどって10時58分に西出雲に到着する。これなら伯備線の途中で夜が明け、後半は外の景色が望めるが、今回は「距離」を選択した。まあ、その筋の強者なら岡山、または倉敷に宿を取って、翌朝この西出雲行きに乗る人もいるのだろうが・・(いるのか?)。

また、YouTubeでは伯備線の特急「やくも」に1日ひたすら揺られるという動画もあった。出雲市からスタートすれば早朝の4時台に出発して、「やくも」の2号、3号、16号、17号、30号、29号と出雲市~岡山間を3往復できる。2021年に発売された「JR西日本どこでもきっぷ」のような特急も乗り放題のきっぷでなければカネだけかかることだが、同じ車両の折り返しも含めて「ぐったりはくも」・・もとい「ゆったりやくも」に揺られ続けるのも大変。またこの移動だと、出雲市での連泊も必須である。こういうところに見せる「その筋」の人たちの執念というのは凄まじい。

こうしたチャレンジネタの動画はいくらでもあるもので、それらに比べれば私のやっていることなどチンピラ・・もといガキである。「あ、そう。で、だから?」

松江で乗り降りがあるが、乗客数はさほど変わらない。

19時14分、米子に到着。19時36分発まで停車ということで一度外に出る。出雲市や松江から乗って来た客もほとんどが下車し、2両の車内には数人が残るだけとなった。ただ、私の他にこの先岡山まで乗り通すらしき客は見えなかった。実際のところは、米子までは山陰線の列車、米子からは伯備線の列車という2つの列車がたまたま通しで走っているようなものである。日常的に利用している地元の人からすれば、岡山行きだろうが新見行きだろうが大勢には影響ないことだろう。

米子の駅舎は現在建て替え中で、2023年度の完成予定である。南北の自由通路を設けるのを主な目的として橋上駅舎になる予定で、またその時が楽しみである。

車内に戻り、2両合わせて10人いるかいないかの乗車で出発。ここで初めて触れるが、私が出雲市から乗ったのは2両編成の後ろの車両。列車は出雲市~岡山ワンマン運転のため、後ろの車両のドアが開く駅も限られている。そのため、駅に着いても静かなもので、人の目も気にならない。

伯備線も淡々と走り、20時24分、根雨に到着。ここで10分停車ということでいったんホームに出る。ホームの向かいには貨物列車が停車している。うっすらと雪が積もっていて、今朝方広島~島根の県境で見た大雪に比べればましだが、冬の中国山地の小駅の風情を感じる。ここ根雨で、出雲市を1時間ほど後に出発した「サンライズ出雲」が通過する。出雲市駅前の「らんぷの湯」にいたその筋の人たちも、その乗り心地を楽しんでいることだろうな・・。

次の黒坂でも岡山からの「やくも25号」との行き違いのために10分あまり停車。ただ、もうホームの外に出なくてもいいかな。他に乗客がほとんどいないのをいいことに、窓を開けて自席からカメラを向ける。

この先、鳥取~岡山の県境に差し掛かる。ここまで来ると靴を脱いでボックス席に足を投げ出し、モーター音の中でボーッとする。文庫本もあればウォークマン(今どき?)もあるので長時間の車内も苦にならないと思っていたが、いざ乗ってみるとそうしたものを使うわけでなく、何もしない。こうして時間を過ごすことがひょっとしたら幸せ、贅沢なのかもしれない。

21時42分、新見到着。ここまで4時間近く乗って来て、この先は岡山方面への最終列車である。その中にあって、向かいのホームには21時46分発の芸備線東城行きも停まっている。芸備線に乗り継ぐならルール上は備中神代からになるが、本数が少ない芸備線の列車にも出会えたのは意外だった。

伯備線でも本数の多い区間になったことで列車の速度も上がったように思う。その中で私も疲れて来たか(「飲み鉄」を満喫しすぎたか)、ウトウトするようになった。残念ながらこの先は備中高梁、総社といった主要駅くらいしか覚えていない。

22時53分、倉敷着。意外にも、ここから乗車する客が多かった。岡山方面への終電も近づく中で利用する客たちだが、この人たちにとっても、この列車が出雲市発ということは関係ないことだろう。

23時10分、終点の岡山に到着。この日(2月5日)、この列車で出雲市から岡山まで乗り通したのは私だけだろう。だから何やねんというところだが、山陽・山陰の行き来もさまざまある中で、鈍行での移動というのは年々現実的でなくなってきていることがうかがえる。

さすがにこの時間から広島に戻る手段はなく、岡山宿泊である。遅い時間でのチェックインも可ということで、1月の中国四十九薬師めぐり~阿佐海岸鉄道DMVの旅に利用した東横イン岡山駅西口広場に向かう。先ほどの車内で「飲み鉄」も堪能したこともあり、もう飲食はなしにしてシャワーだけ浴びてベッドに飛び込む。

この列車で岡山にたどり着くまでにブログ記事が何本になったことやら。まあ、結構な時間を過ごしましたわ・・・。

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