岡山行きの列車に乗るために出雲市に向かうという、何とも暇人な行程。まあ、形としては中国5県のうち4県を1日で回る大旅行である(別に山口県を除け者にしているわけではないが・・)。
2月5日、広島駅7時発の松江行きの高速バスに乗り、広島バスセンターから松江までノンストップで運行する。乗客は10人もいない。バスセンターを出る時、元々予約していた最前列の席に移る(いろいろあって、いったん後ろの席に下がっていたのだが)。
市街地も雪が舞っている中、広島高速4号線に乗る。西風新都インターに向かうのだが、そちらに続く長いトンネルを抜けると、周囲は雪景色になっていた。同じ広島市内でこの変わりようだ。雪の西風新都を過ぎ、広島自動車道に入る。
この日は山陰から広島にかけて雪の予報。これから向かう松江にも雪のマークが出ていた。所によっては雪中行軍も覚悟しなければならないだろう。目的の「出雲市発岡山行き」の鈍行だが、走るのが日が暮れてからということで「雪見列車」とはならないだろうが、往路、広島市内でここまでの景色になるとまでは思わなかった。
安佐サービスエリアが近づくと、すべての車両がいったんサービスエリアに入るよう指示が出ていた。冬用タイヤ装着のチェックのためである。確かにこの日は冬用タイヤ・チェーンの規制が出ていたが、私は冬用の設備を持っておらず、この時季に高速に乗ることもないので、こういうチェックに出会うのは初めてである。このバスはその辺りは問題なくあっさりチェックを通過したが、もしノーマルタイヤで、かつチェーンを持っていないクルマはどうなるのか。安佐サービスエリアからは降りられないから、何らかの形で手前のインターまで戻されて、そのうえで反則金を取られるとか?
冬の天気は変わりやすい。雲が覆っていたかと思うと青空が広がり、またその逆で吹雪で視界が狭くなったり。雪のためか通行する車両も少ないが、トラックはじめ仕事で現地に向かわなければならないドライバーも大変である。
江の川パーキングエリアで休憩。三次盆地に入ったためか、先ほどより若干積雪量も減ったようだ。ちなみにこのパーキングエリアには小さな売店もあるが、シャッターが下りている。ここも閉店?と思ったが、単に営業時間前だったようだ。
三次東から松江自動車道に入る。また積雪量も増え、どんよりとした景色となる。
口和インターでは全車両が強制的に下ろされ、ここでも冬用タイヤチェックである。雪道を運転しない私から見れば大変な道のりだが、この日はこのレベルで済んでいるということか。もっと雪が増えると自動車道そのものが通行止めとなり、こうして松江までバスで向かうこともできなかったわけで。
この辺りは広島県内でも積雪の多いところで、ローカル局の天気予報でもわざわざ庄原市(高野)と表示される。
県境の大万木トンネル(4876メートル)を抜ける。そして島根県に入ったが、雪の量が減ったように見える。そして、無料区間から有料区間に替わる三刀屋木次に差し掛かると、周囲の積雪もほとんどなくなった。ここまでバスに乗って来て、積雪という点でいえば島根より広島のほうが厳しかったという印象である。
三刀屋木次・・昨年、木次線の「奥出雲おろち号」に乗るために前泊をしたところだが、その木次線は出雲横田~備後落合間で「冬眠」に入っている。かつて、「並行する道路が未整備」ということを理由に廃線を免れた歴史があるが、今では「おろちループ」を有する国道314号線と立場が逆転している。木次線も除雪作業などせず、雪が自然に溶けるのを待っているかのように見える。
意外なことに、この先の島根県区間では走るにつれて周りの雪もなくなった。この先の行程には影響なさそうだ。松江市街に入ると青空さえ広がった。
もっとも外の風はきつそうで、宍道湖も北風を受けて白波が立ち、水も濁って見えた。
ほぼ定刻で松江駅に到着し、私以外の客はここで下車した。私はこの先一畑電車に乗ることもあり、終点の松江しんじ湖温泉まで向かう。確かにバスから降りると風がきつかった。雪はともかくとして、寒いのは寒い。
窓口で一日乗車券を購入し、10時37分発の出雲大社前行きに乗る。ただ、急いで出雲大社に向かう必要もない。今回せっかくなので、初めてとなる駅に降り立つことにしよう・・・。