4月9日は京セラドーム大阪での開幕6連戦の最終戦を観戦した(結果は、序盤で席を立つくらいのバファローズの惨敗だったのだが・・)。当初はこの野球観戦と組み合わせて、その前段の8日、9日の午前を利用して関西の神仏霊場めぐりを行おうと考えていた。
ただその間際になって、これとは別に関西に行くこともあるし、神仏霊場はその機会に委ねようという気になった。その代わりということで持ってきたのが、逆方向の九州八十八ヶ所百八霊場。要は、大阪に行くのにいったん九州に向かうわけだ。
九州八十八ヶ所百八霊場めぐり、そしてその前の九州西国霊場ともどもここまでさまざまな交通手段を使っているが、どこかに「フェリー」という選択肢を作りたかった。そして目をつけたのが、関西と別府・大分を結ぶ瀬戸内航路である。九州に行くということで大阪または神戸から出航する便に乗るほうが旅情を味わえそうだが、そこは先に9日の野球観戦があり、フェリーに乗るのが後付けになったので、九州から関西に向かうことにした。
別府~大阪、そして大分~神戸という2つの航路があるが、手頃な個室が取れたことで8日の夜は大分発神戸行きの便に乗ることにした。ということで、広島~大分~神戸~大阪~広島という2日間コースができあがった。
その大分の札所だが、次に行くのは第26番・福寿院である。大分の市街地、府内城の近くにある寺で、それ以降は豊後大野、臼杵、佐伯方面へと続く。次の機会をまとめて訪ねる予定にしていたが、今回、青春18きっぷを使って山陽線~日豊線を乗り継いで大分まで行き、大分市街の福寿院のみ押さえ、そのまま神戸行きのフェリーに乗ることにした。ちなみに、JRで自宅最寄りとなる西広島6時の始発に乗り、岩国、下関、小倉、中津と鈍行だけで乗り継ぐと、大分には14時52分に着く。
さてこれで豊後の国のクリアにも目途が立った・・というところだが、大分県の内陸部に目を抜けると、日田にも1ヶ所、番外霊場からの加入組である第95番・明王寺がある。こちらは福岡県に近いことから、九州を東から南へぐるりと回り、福岡県の筑後エリアに戻った時に合わせて訪れるつもりだったし、今年の夏に日田彦山線がBRT路線として復旧するのでその乗車と組み合わせて行こうも考えていた。
ただ、今回の大分行きのプランニングの中で、この際日田も一緒に行っておこうかという気になった。ポイントは、久大線による九州横断である。鹿児島線で久留米まで行き、久大線で日田を訪ね、そして大分に抜ける。大分からは瀬戸内航路で神戸、さらに京セラドームへと、九州八十八ヶ所百八霊場めぐりとしてスケールが大きくなった。
8日は西広島駅まで徒歩の後、広島6時05分発の「こだま775号」で出発する。青春18きっぷを活かして鈍行乗り継ぎで九州に向かう予定が、久留米まで行って久大線利用となると間に合わないので、新幹線を使う。新幹線特急料金、普通運賃は、博多までの「バリ得こだま」で少しでも圧縮する。
3月25日、30日、そして4月8日と立て続けに九州に向かっている。それなら現地での1泊2日にすればトータルの旅費も安くついたのではないかと思うが、連続したスケジュールがなかなか取れないので・・。
朝の時間ということで車内は空いており、順調に進む(画像がいつも徳山駅周辺の工場群なのはご愛嬌で)。
九州に入り、7時33分、博多に到着。そのまま乗り換えで在来線ホームに出る。間もなく7時43分発の特急「ゆふ1号」別府行きが入るが、ホーム上には大勢の観光客が入線を待っている。外国人、特に韓国、中国、東南アジア系の顔も目立つ。アジアの人たちにとっては日本の中でも九州はお手軽に訪ねることができるエリアである。
「ゆふ1号」に乗れば直接日田まで行けるが、博多からは青春18きっぷとして、同じホームですでに停車していた7時41分発の二日市行きに乗る。二日市から先は後続の列車に乗るのだが、別に博多で待つこともないかと。転換クロスシート車に揺られ、南福岡で「ゆふ1号」にも抜かれながらのんびり進む。大宰府跡にも近い都府楼南近辺では青空の筑紫野も楽しむ。
二日市到着。この後は8時12分発の快速羽犬塚行きに乗り継ぐのだが、その前に肥前鹿島行きの特急「かささぎ101号」が発車する。西九州新幹線の開業で従来の長崎線回りの特急は肥前鹿島までの「かささぎ」に置き換わった。途中の佐賀あたりならまだしも、肥前鹿島じたいにそこまで需要があるかどうか・・。
羽犬塚行きはロングシート車。8時33分、久留米に到着する。次の久大線日田行きまでしばらく待ち時間である。東九州シリーズが続く中で久留米に降り立つとは思わなかった。
折り返しとなる9時15分発の日田行きだが・・こちらもロングシート車。久大線には同じタイプの車両でも転換クロスシート車、クロスシートとロングシートの千鳥配置のタイプがある中でのロングシート車である。
発車前に男性客が運転手に「天ヶ瀬まで行きたいのだがどのくらい時間がかかるか」と尋ねる。この列車が10時19分に日田に着いた後、その先の天ヶ瀬に行く鈍行は12時29分発まで2時間以上待ち時間がある。運転手は「日田で観光でもしていただければ」と言葉を添える。
私がこれから目指す第95番・明王寺はそんな日田の観光スポットにも接しており、駅からも歩いて行ける範囲とあって、途中下車の感覚で組み入れることにした。
発車時にはロングシートもほどよく埋まり、久留米市街を南からぐるり回りこむようにして東に進む。花卉類の育成が盛んな沿線を抜け、河童の像や駅舎が出迎える田主丸に着く。ここは第5番・大師寺の最寄り駅であり、九州一周ルートはここからも続くと言っていいだろう。
うきは市を抜け、大分との県境に差し掛かる。一気に山深くなり、右手から筑後川も寄り添ってくる。川下りのカヌーともすれ違う。
夜明に到着。列車行き違いでしばらく停車する。青春18きっぷの客だろうか、数人の客がホームに出る。夜明は先に触れた日田彦山線との分岐駅だが、2017年の豪雨被害でバス代行となった添田~夜明間については、結局鉄道による復旧を断念し、「BRTひこぼしライン」の愛称で2023年夏に開業予定である。先日からは試験走行も始まったそうだ。かつて日田彦山線の乗り場だった3番線は線路が撤去され、ホームもフェンスで仕切られている。
JR九州の不通区間といえば、肥薩線の八代~吉松間も長期化している。現在八代~葉木、一勝地~人吉間のみタクシー代行輸送で、その他の区間は移動すらできない状態である。この先どのように復旧させるかの見通しも立っていないようだ。その意味では、BRTながら交通網の維持が決まっただけよかったと言えるのかな・・。