まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

新型「やくも」273系は快適なり・・

2024年04月10日 | 旅行記F・中国

「君の運命のヒトは僕じゃない 辛いけど否めない でも離れ難いのさ」

グッバイ・・・とともに出雲市を13時40分に出発した「やくも20号」。新型車両の車内チャイムの曲は、Official髭男dismの「Pretender」。ちょっと切なく感じるのだが、JR西日本も「岡山へ向かう場面は多くのお客様が帰路となることから、情緒的な楽曲の雰囲気が旅情にマッチする」ということでの選曲である。一方、岡山からの新型「やくも」では同じOfficial髭男dismの「I LOVE...」が使われている。山陰は縁結びの地として、「多くの人の胸を打った恋愛を歌った楽曲が旅情にマッチする」とのこと。

いずれも「ヒゲダン」の楽曲が使われているのは、メンバーの出身地が米子や松江だったり、島根大学でバンド活動を始めた「山陰ゆかり」ということからである。こうしたところにも新型車両への期待が表れている。

さて出発し、斐伊川を渡る。直線を走るのだが、結構揺れが激しい。新型「やくも」はカーブ区間の振り子装置を改良することでかつての「ぐったりはくも」の乗り物酔いを改善したとされるが、直線で揺れ、テーブルに乗せていたビールの缶を慌てて引っ込める。これは車両というよりそもそもの線路の状態に難があるようだ。

次の直江で反対列車との行き違いのためしばらく停車。なお、その列車に遅れが出ているためこちらの発車も遅れるという。運行初日の6日も線路内に撮り鉄が侵入したとかで列車に遅れが生じたが、同じような事象が起こったか。

そして反対列車がやって来たが、よく見ると旧国鉄特急色の381系である。あれ、確か本日は旧国鉄特急色の運用はなかったはずでは・・と思うが、岡山からの新旧「やくも」の見学ツアーのためにこの日は団体専用列車としての運用だったとわかった。直江駅にもカメラを構えた人がいたのも新旧「やくも」が並ぶのを知ってのことだろう。

沿線はちょうど桜も満開で、桜と特急の組み合わせもよいものだ。

宍道に到着。木次線との接続駅だが、ふと反対側ホームを見ると、山陰の観光列車「あめつち」が停車している。4月7日は「あめつち」の木次線での運転初日。ちょうど出雲横田から宍道に戻ったところで、「やくも20号」を先に通した形。車内やホームから見送りを受ける。もっとも時刻表を見ると、定刻なら「あめつち」が宍道に着く前に「やくも20号」が発車するのだが、この日は山陰線の遅れのためにここで遭遇することになったようだ。「その髪に触れただけでも 痛いや いやでも 甘いな いやいや」・・。

宍道湖畔に出る。宍道湖を望む弘法大師像の脇も通る。さすがにこの辺りに来ると、出雲市発車直後の揺れも感じなくなり、快適な走りとなった。

松江で結構な乗客がある。この先も中海に続く景色が広がる。鋼の町である安来も過ぎ、列車は島根から鳥取に入る。

数分遅れのまま米子に到着。境線の列車も「やくも20号」の遅れを待っていたようだ。こちらにも「やくも」をイメージした駅名標があり、発車メロディは「ヒゲダン」の地元らしくここでも「Pretender」が新たに使われている。今回米子はそのまま通過だが、次に山陰に来る時は下車してみようと思う。

やはり「やくも」の利用客が多いのは米子からで、ここで車内はほぼ満席となったようである。グリーン車と同じ車両にあるセミコンパートメントも家族連れ等ですべて埋まった。この先、新見までの山間部の区間が線形の厳しいところで、新型車両の「振り子」が効力を発揮するところである。

まずは日野川を渡り、伯耆大山から伯備線に入る。ややかすんではいるが大山の稜線も見ることができる。やはりこちら側の座席を選択して正解。

日野川が寄り添い、そろそろ山深くなる手前の根雨に停車。「ゆったりやくも」とすれ違う。

元々乗り物酔いしない体質なので、新型車両導入で「ぐったりはくも」がどのくらい改善されたのか実感しにくいのだが、揺れるのは揺れる。区間によっては、トイレで用足しするのに手がもう1本あれば・・と思わないでもない。

セミコンパートメントに乗車の皆さんもお休み中だが、これは「ぐったり」ではなく、ちょうど昼下がりだし、新型車両の揺れの心地よさで気持ちよくウトウトしているのだろう・・。

山間の難所を過ぎ、新見に到着。ここからは高梁川に沿って線路の状態もよい区間である。「やくも」も快走を見せるようになった。

かくいう私も、備中高梁の停車までは覚えていたが、「呑み鉄」の影響もあってか、気づいたら倉敷も通過して終点・岡山到着のアナウンスだった。いやこれは、あまりにも乗り心地がよかったから・・ということにする。

16時47分、岡山到着。しばらく停車後、回送される新型「やくも」を見送る・・。

この日はそのまま新幹線に乗り継ぎ、まだ暗くなる前に広島に戻る。

こうして、まずはデビュー間もない新型「やくも」に乗ることができた。そうなると次は6月までで運行を終了する381系の「やくも」である。もう一度出かけることになるが、今度は木次線の「あめつち」とも組み合わせる予定である。中国地区、とりわけ山陰を走る列車からしばらく目が離せないようだ・・・。

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