まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

京都46番「醍醐寺」~神仏霊場巡拝の道・98(醍醐の桜は葉桜で)

2024年04月16日 | 神仏霊場巡拝の道

4月14日の神仏霊場めぐり。新大阪から特急「ひだ25号」に乗車し、京都で下車するという荒技を使い、山科に到着。まずは、京都46番・醍醐寺を目指す。

山科から醍醐寺へは、地下鉄で醍醐駅まで行って歩くか、バスで醍醐寺前に行くかである。どちらでも所要時間にはさほど差はないようだが、たまたま京阪六地蔵行きバスの時間が近いようなのでそちらで行くことにする。醍醐寺といえば桜の名所、さぞかし参詣者、花見客で混雑すると思いきや、朝9時前という時間帯のためか空席もあるくらいで出発。途中、特に渋滞することもなく順調に醍醐寺に到着。

最寄りである醍醐寺前のバス停は寺の門前の決して広くない通り沿いにあるのだが、桜の時季の混雑対策ということで、駐車場内に各方面への醍醐寺バス停が設けられている。

改めて門前に出る。枝垂桜があるのだが、さすがに満開を過ぎて葉桜となっている。

拝観料は、三宝院、霊宝館、そして伽藍がセットで1500円。どれか単品で・・とはいかない。あくまでこれらが合わさっての醍醐寺(下醍醐)だということだ。

窓口の係の人は、まず三宝院から拝観するよう案内する。三宝院は醍醐寺の本坊の役割を果たしていたところで、庭園は豊臣秀吉が「醍醐の花見」に際して整備したものである。

「五大力さん」で持ち上げられる紅白の鏡餅もある。もっとも本物の餅は縁起物として切り分けられるそうだから、これはレプリカかな。

庭園を一通り眺める。

霊宝館は最後に回るとして、先に伽藍に入る。その参道の両側にチェーンが張られていて、警備員が立っている。この日は午後から「豊太閤花見行列」が行われる予定で、ここはそのコースになっている。まだ3時間以上前だが早くも場所取りをしている人もいるため、警備員も配置しているのだろう。逆に私は、この祭りがあるのを知って、混雑を避けるために先に参詣した次第である。

山門をくぐった先には「醍醐 桜まつり」のぼんぼりが立ち、豊臣家の桐の紋をあしらった幕が張られているが、その上に広がるのは桜というよりは新緑である。

醍醐寺として、神仏霊場としての本尊である薬師如来を祀る金堂に着く。「豊太閤花見行列」の後、特設舞台で舞楽の奉納が行われるそうで、有料の観覧席の設営が行われているところだ。情報によると有料の観覧席の値段は3000円。伽藍の拝観料1500円とはまったく別払いだから、観覧席で舞楽を鑑賞するならひとり4500円かかることにある。まあ、それだけの価値のあるものだろうし、インバウンドの人たちにとってははした銭だろう。

五重塔。もう1週間早ければ境内全体の桜も満開で見頃だっただろう。

納経所は奥の観音堂にある。醍醐寺の西国三十三所の本尊である准胝観音もこちらに祀られている。元々は上醍醐の准胝堂に祀られていたが、落雷による火災でお堂が焼失したため、現在はこちらに安置されている。他にも上醍醐には諸仏が祀られていたが、なかなか管理保全が行き届かず、こうした焼失のリスクも考慮され、現在は下醍醐や霊宝館などで大切に守られている。

「4月15日 日本巡礼文化の日」とある。見慣れない幟だが、西国三十三所札所会が「巡礼で良いご縁(4・1・5)を結ぶ日」ということで、4月15日はサラダ記念日・・もとい「日本巡礼文化の日」に認定されているという。4月15日を中心に西国三十三所の各札所では記念法要を行うとあり、今季は能登半島地震で亡くなった方の追悼や被災地の復興を祈念するという。

観音堂にて改めてお勤めとした後、納経所の列に並ぶ。醍醐寺の納経所の仕組みは独特で、まず希望の朱印について申込用紙の該当欄に冊数を記載する。醍醐寺はさまざまな札所めぐりの寺院になっており、また本尊の数も多いのでリストはかなりのもの。そして、先に御守り等の授与所で会計を済ませ、領収済みのスタンプが押された申込用紙を手にして列に並ぶ。行列になるのは納経所の係の人の怠慢ではなく、一度に複数の納経帳が提示されること、それに対して一筆一筆丁寧に書くことにより、どうしても時間がかかるため。

かくいう私も、西国三十三所の先達用納経帳の重ね印、そして神仏霊場の納経帳を差し出しているから人のことは言えない。醍醐寺での納経所での待ち時間もこの日の行程には勘案しているので、そう焦ることもない。札所によって本尊も変わるので、書くほうはどれがどの本尊の墨書かの確認も必要だ。「神仏霊場はお薬師さんやな・・」とつぶやいた後、筆を走らせてくれた。

境内は一方通行の措置が取られていて、五重塔の手前から伽藍の外に出る。こちらではトレッキング姿の人が目立つ。下醍醐の伽藍を経由せず、直接上醍醐に向かうようだ。上醍醐は上醍醐で別途拝観料というのか入山料が必要なのだが、「醍醐の花見」の跡地や、植えられた桜は上醍醐に固まっている。確か上醍醐の伽藍までは1時間くらいかかるはずだが、トレッキングとしてはちょうどよい距離・時間、何ならその先、笠取峠を越えて岩間寺まで行こうか・・・というくらいだ。

霊宝館にも枝垂桜があるが、一部を除きこちらも葉桜。なかなか、花の見頃と旅程がばっちり合うというのも難しいものだ。

館内では企画展「公家ゆかりの寺宝」としてさまざまな史料が並び、平成館の広大なスペースでは五大力像や薬師三尊像が出迎える。

この企画展でPRされていたのが、今年(2024年)は醍醐寺開創1150年ということ。また、6月~8月に、開創1150年の記念行事の一つとして、厳選した国宝や重要文化財を集めた展覧会が大阪中之島美術館で開かれるという。中之島、機会が合えば訪ねるとしようか。

結局、醍醐寺だからといって特に混雑したところもなかったが(納経所も思ったより早く済んだ)、次に向かう。次は京都2番・御香宮神社で、醍醐寺からだとバスまたは地下鉄で六地蔵まで行き、JR奈良線で1駅京都寄りの桃山で下車するのがよさそうだ。臨時バス停がある駐車場に行くと、ちょうど六地蔵行きのバスが発車したばかりで、次の便は20分待ちである。

ここで待つくらいなら少しでも移動しようということで、地下鉄の醍醐駅まで歩く。開発された住宅団地の中にも桜があり、これもある意味「醍醐の花見」かな。

醍醐から地下鉄で六地蔵に移動する。この先は御香宮神社、城南宮と、洛南の札所をめぐる。その後は打ち上げ、一献ということでふたたび伏見を目指す・・・。

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