まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

人形の国から来た女

2023-09-01 | 北米映画22~
 「バービー」
 バービーランドで幸せに暮らしていたバービーは、ある日突然起きた体の異変に戸惑う。自分の持ち主である人間に会えば原因がわかることを知ったバービーは、ボーイフレンドのケンと共に現実世界のロサンゼルスへとやって来るが…
 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」のグレタ・ガーウィグ監督の新作。大ヒット(アメリカでは)中の作品そのものよりも、原爆を茶化したネタ画像が日本では物議をかもしましたね。広島県民としては、とても残念で悲しい。でもまあ、一般的なアメリカ人の原爆に対する意識って、そんなもんなんだろうな~とも。悪意や敵意よりも、無知で無神経であることのほうが怖い、危険だとあらためて思いました。
 閑話休題。おかしな話題に日本では水を差されてしまったけど、映画じたいはド派手でハチャメチャカオスなコテコテアメリカンコメディで、そのパワフルでノーテンキなノリは私の好きなアメリカ人の素敵な特性。でもそっち系のコメディって、日本人の繊細な胃には受けつけない料理みたいな濃ゆさや大雑把さが。笑いの感性がやっぱ、日本人とアメリカ人って違いますよね~。英語やアメリカ文化に精通してたら、きっと大笑いできたかも…と思うようなシーンが多かったです。ベテランコメディアンのウィル・フェレルも出演してるのですが、彼の映画が日本ではまったく受けない理由が今回よくわかりました。

 バービーランドやバービーの衣装など、目が痛くなるようなピンクワールドも、可愛いというより私にはグロテスクでした。私、ピンクが苦手なのでカワイイの感覚も、アメリカ人と日本人では乖離があるのでは。元ネタであるバービー人形も、私には馴染みがなくあまり可愛く見えないんですよね~。何か顔が怖い。日本人にはやっぱリカちゃん人形ですよね。

 最初から最後まで、ハイテンションにツッコミ上等!な強引&意味不明な設定と展開なのですが。永遠の命、永遠にハッピーな毎日を繰り返していたバービーが、人間の世界に飛び込んで人間として、女性としての自我に目覚める、といったガチフェミ映画でもあります。バービー人形でこんなフェミニズム映画を作ってしまう発想、創作力には驚嘆。フェミ映画は苦手なのですが、男社会を断罪したり男の愚かさを揶揄したりが、あくまでノーテンキなおふざけ調なので、現実的な女の生きづらさを見せつけられて気持ちが重くなったり、苦くなったりすることのないフェミ映画になってます。

 バービー役のマーゴット・ロビーは、今やハリウッドの新女王といってもいいスター女優。私と同じ人間とは思えぬスタイルと派手な美貌ですが、それに驕ってるようなイヤな感じは全然なくて、すごく人が善さそうなところに好感。バービー人形みたいに、たまに顔が怖く見える時があったけど。バービーランドのパーティーで踊るシーンが特にチャーミングでした。
 バービーのボーイフレンド、ケン役はライアン・ゴスリング。なかなか強烈な見た目と演技でした。こんなにアホ、おバカなライアンってかつてなかったのでは。すごくノリノリで楽しそうでした。顔はさすがにおじさんで、ボーイフレンド役にはちょっと無理があったけど、カラダは非おじさん。すごい肉体美で、人形にしてはセクシーすぎるほど。歌もお上手で、本職の歌手も真っ青のエモーショナルな熱唱でした。

コメント (5)
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