まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

続・漢(おとこ)!剣闘士

2024-11-28 | 北米映画22~
 「グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」
 ヌミディアで妻と平穏に暮らしていたハンノは、アカシウス率いるローマ軍との戦いで妻を失い、奴隷としてローマに連行される。ハンノに剣闘士の才能を見出した商人のマクリヌスは、アカシウスへ復讐心を燃やすハンノを利用して皇帝に接近する。アカシウスと再婚していたルッシラは、ハンノが行方不明だった息子ルシアスであることに気づき…

 24年を経ての「グラディエーター」の続編、ついに観ました!すごく面白かったです!2時間半近くある上映時間も、ぜんぜん苦ではありませんでした。家でパソコンやスマホで観てもいいような映画とは違い、絶対に映画館で観るべき映画です。そのスケールとパワフルさ!まさにこれぞ映画!最近はとんと味わえなくなってる醍醐味です。めくるめくようなスペクタクル、圧巻の映像技術や絢爛なセット、美術衣装、そして俳優たちの渾身の演技、どれもハリウッドの底力と威信を見せつけるものでした。邦画はほんとチマチマとショボいよな~。まあ金のかけかたと俳優の力量に差がありすぎるので、比べるのも愚かですね。

 お話じたいは、奴隷に堕ちた英雄が剣闘士となって復讐するという、前作と同じもの。設定もだけど、コロシアムでの死闘や、頭のおかしい皇帝の狂態など、キャラにも場面にも既視感を覚えるほど、前作と似てます。ちょっと焼き直し感も否めないのですが。細かいことを気にするヒマを与えぬ怒涛の展開と、コロシアムでの趣向を凝らした殺し合いショーの迫力と奇抜さは、前作を凌ぐと言ってもいいかもしれません。
 この続編、やはり何と言っても最大の魅力、見どころは、私にとっては一にも二にも主演俳優!ハンノ/ルシアス役のポール・メスカルですよ!

 知る人ぞ知るアイルランドの若手実力派だったポールが、ついに堂々たるハリウッド超大作主演!「異人たち」で胸キュンさせた後は、胸アツな熱演!パワーと熱気あふれるダイナミックな演技に圧倒されました。屈強で勇猛なだけでなく、どこか壊れやすい繊細な面も見せる演技も秀逸で、やっぱタダ者じゃない子!と今回も感嘆しました。そして何といってもポール、若い!まだ28歳ですから、フレッシュ!フレッシュ!フレッ~シュ♪ by 聖子!すごくイキがよくて可愛くもあるところが、前作のラッセル・クロウとの違いでしょうか。同じ復讐の鬼でも、ラッシーasマキシマスは陰陰滅滅と重苦しい感じでしたが、ポールasハンノは大らかで明るい感じ。むっつりしてたラッシーと違い、ポールは笑顔も多くて、過酷な運命の中でも若者らしい純粋さや楽観さが微笑ましくもあるヒーローでした。


 もともとゴツいポールが役のために鍛えて作り上げた、がっちりむっちり(バキバキ、ムキムキではない)肉体もお見事👏まさに戦う猛者のカラダ!日本のイケメン俳優に最近多い、ナルシーで承認欲求強めなグラビア向けキレイキレイ肉体美とは違う、役に適したリアルさ生々しさがポールの肉体にはあります。ラッシーはほとんど脱いでなかったけど、ポールは脱ぎまくってました。さすがにお尻は出してなかったけど。お風呂につかってるシーンが可愛くて好き。

 商人マクリヌス役の名優デンゼル・ワシントンの、クール&シャープな怪演も強烈です。敵か味方かわからない怪しさで、ハンノのみならず観客まで惑わし煙に巻くデンゼル御大、屈折して悪ぶってるけど根は正義感が強い好漢、というイメージの彼なので、今回もきっとそうだろうと思ってたのですが、ダークで冷酷すぎる超悪役でした!でも超カッコいい悪人。挙措が颯爽としていて、威厳と風格がある悪役。ただのベテラン俳優では無理。デンゼル級の超名優だからこそ魅力と説得力が。彼の前だと、みんな雑魚に見えます。それにしても。ハンノとの最終決戦、あんなに狡猾で悪辣な手段で権力を握ったのに、何でタイマン勝負?!さすがに20代の男にはサシでガチンコしても勝てんやろ

 アカシウス役のペドロ・パスカルも、漢(おとこ)!カッコいい!前作から続投のルッシラ役、ほぼ紅一点のコニー・ニールセンが、美しくも悲しい熟女ヒロイン。息子と夫が殺し合うなんて!けんかはやめて~!二人を止めて~!見ていて河合奈保子気分になりました。双子皇帝ゲタ&カラカラ(名前が可愛い)のイカレっぷり、小物っぷりが笑えたわ。ほとんどお笑いコンビ芸でした。気持ち悪いメイクしてるけど、演じた若い俳優二人、素は結構イケメンみたいです。あと、ヒヒ(ほとんどエイリアンな見た目の怪生物)やサイ、サメ!など、コロシアムでハンノたちに襲いかかるアニマル軍団も笑えた。

 コンスタントに作品を発表し続け、こんな大作まで完成させるなど、リドリー・スコット監督御年86歳、そのお達者ぶりに驚嘆。もう新作に着手中だとか。その精力と功労を称えるために、今度こそアカデミー監督賞を差し上げて!その新作、何と!再びポール主演!すっかり巨匠のフェイバリットボーイになったポール、ますます前途洋々ですね(^^♪

↑ デンゼル御大を伴い初来日も果たしたポール。でも予定を切り上げて急遽帰国したとか。いったい何事?彼がアジア人嫌いのエマ石やダウニージュニアの仲間でないことを祈ってます…

 ↑ たくましくて素朴な感じが好き。マーロン・ブランドを凌ぐ!とロンドンで評判になった舞台「欲望という名の電車」を、今度はブロードウェイで再演するポール。アメリカの舞台に立つのは初めてだとか。日本でも公演して!

 ↑ やっぱまだ20代、可愛い
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炎上!不適切にもほどがある撮影現場

2024-11-25 | 欧米のドラマ
 Netflixのドラマ「なんたるフィアスコ?!」を観ました(^^♪全7話。
 新人映画監督のラファエルは、念願のデビュー作のクランクインを迎える。しかし、スタッフや俳優たちと嚙み合わず撮影は難航。さらにラファエルがやらかした不適切スピーチがネットに上げられ拡散、炎上。ピンチに陥るラファエルに、次々とトラブルが襲いかかかり…

 ピエール・ニネ目当てで観たのですが、めちゃ面白かったです!笑えた!私、こういう笑いが好きなんですよね~。日本ではまず制作不可能なコメディなのでは。昨今の映画やドラマをつまんなくしてるポリコレ、コンプラ風潮を嘲笑うかのような内容。これほんとにいいの?これ笑ったら人としてどうなんだろう?な、不適切すぎる不謹慎すぎるシーンと台詞のオンパレード。臭いものに蓋をするような、不都合なものに見て見ないフリをするような、毒にも薬にもならん映画やドラマにウンザリしてたので、そのドギツいヤバい笑いが爽快で新鮮でもありました。

 下ネタ、人種・障害者・同性愛者差別ネタ、ハラスメントネタの嵐!実際にはとても口には出せないようなオゲレツで卑猥な台詞がポンポンと。マイノリティ差別ネタも強烈ですが、彼らではなく彼らを差別する側をバカにしてるので、イヤな感じは全然なし。きわどい笑いが苦手な方は、観ないほうがいいかも。「メリーに首ったけ」とか「ふたりにクギづけ」とかファレリー兄弟監督のコメディや、ベン・スティラーの「トロピック・サンダー」とかが好きな方には超おすすめ。制作過程やドタバタトラブル、人間関係など、映画の撮影現場の様子も愉快かつリアルに描かれていて面白かったです。監督さんって大変なんですね!

 ラファエル役のピエール・ニネが、か、可愛い!おもろい!シリアスドラマのニネっちも素敵ですが、やっぱ彼ってコメディで本領発揮な役者さん。美男子だけど、すごいファニーなアニメ顔だし。常に周囲の顔色をうかがってるお人よしすぎ、受け身すぎな青年を演じる彼の、おどおどオロオロとアタフタしまくる様子がとにかく滑稽です。気まずい場面で見せる表情の絶妙さ!凡百な俳優ではまずできない巧さです。笑えるシーンいっぱいありましたが、みんなドン引きの不適切スピーチ、下剤を盛られてウンコもらしかけるTVのトーク番組生放送(腹ピーピー&おならの音がリアルすぎ)、お祖母ちゃんの正体を知ってしまう秘密の地下室(ナチスまであんな風に笑いのネタにする大胆不敵さ!)etc.ニネっちの卓越したコメディアンぶりが、チャーミングかつ壮絶でもあります。

 真面目で心優しいけど、緊張したりテンパったりするとついやらかしてしまうラファエル、私も身に覚えがあるでの共感ニネっち、「イヴ・サンローラン」同様メガネもよく似合っていて、のび太が細面のイケメンになった感じ。このミーアキャット男!と罵られてたのも笑えた。確かにミーアキャットに似てますね(笑)。とんまな役だけど、静かな時も激しい時も動きがすごくキレイ。声も相変わらず美しい。高価な服なんか着てないのに、セーターとかすごくオシャレに見える。オゲレツなことをしても言っても、ぜんぜん下品にも汚くもならないニネっちです。すごく若返って見えたのが、ファンには驚喜でした。

 ラファエルの親友トム役を、実際にもニネっちと仲良しで共演作も多いフランソワ・シヴィルが超珍演!彼も二枚目役より、おバカ役のほうで断然光る役者。とんでもないトラブルメーカー、サイコパスに近い超絶アホであるトム、生半可な俳優では演じられない役です。このドラマ、ニネっちとフランソワのおバカなやりとり、下ネタ満載など、二人の共演作である「Five」とかなりカブります。それもそのはず、このドラマもFiveと同じイゴール・ゴテスマン監督でした。やはり出演もしてる監督、ぽっちゃり時代のクリス・プラット似で結構イケメンです。脚本はニネっちとゴステマン監督の共作だとか。気心の知れたチーム作品、でも仲良しこよしな狎れあいのヌルい内輪受けっぽさはなくて好感。わがままなスター役で、ヴァンサン・カッセルがゲスト出演してます。有名スターや映画の名前もいっぱい出て来てイジられてるのも楽しかったです。

 ↑ドラマの番宣のニネっち。可愛い!若々しいですね~。フランスで今年大ヒットした新作のモンテクリスト伯、早く観たい~
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狂客万来の宿

2024-11-22 | 韓国のドラマ
 Netflixの韓流ドラマ「誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる」を観たニダ!全8話。
 ヨンハが経営するコテージに、子連れの若い女が客として現れる。女が独りで立ち去った後、部屋に残された痕跡から、ヨンハは子どもが殺害されたことを確信するが…
 大好きなユン・ゲサン目当てで観ました(^^♪翳りと色気のある男前なゲサンがチョアチョアなのですが、今回も前作の「誘拐の日」同様に冴えない小市民のおっさん役でした。とんでもない不運に人生を狂わされるところも同じ。見た目もほぼ同じ。誘拐の日のゲサンは、冴えないながらも過酷な運命に抗い奮闘していましたが、今回の彼は無惨に圧し潰されちゃってました。死ぬより悲惨な末路が、哀れで痛ましすぎ。でもゲサンって、幸せな役よりも不幸な役のほうが似合う役者です。

 つつましく家族と生きていたのに、あんな客を泊めてしまったせいで人生の歯車が狂ってしまい、不幸が不幸を呼んで闇落ちしてしまうゲサンの演技はなかなか鬼気迫っていて、見る者をザワつかせる名演でした。後半になるとほとんど出てこなくなるのですが、ヨンハと最初で最後の邂逅シーンでのコワレ演技は、このドラマにおけるゲサンの最大の見せ場かもしれません。ゲサンのあのヌメっとしたどよよ~ん感が独特でインパクトあり。ショボくれててもどよよ~んとしててもコワレても、いい男であることは隠せないゲサンがチョアです。次回作では本来の男前なゲサンに会いたいものです。

 韓流お得意の血みどろサイコもの。不運にもサイコパスと関わってしまった人々の悲劇が、救いのない展開と容赦のない暴力で描かれています。構成がちょっと凝っていて、始めは????が脳内グルグル。ヨンハの貸別荘とサンジュンのモーテルに、それぞれサイコパスが客として現れるのが同時進行なので、なかなか二つがつながらないことに惑わされます。二つの惨劇が現在と過去であることに、しばらく気づかなかった私です。

 あんなき〇がいどもと関わってしまうなんて、ほんと運が悪すぎる。でも、実際にもありえること。宮崎勤とか宅間守とかいったスーパーサイコに殺された子どもたちとか、ドラマ以上に悲運、不幸。いつ誰が異常者の毒牙にかかるか、予断できない現実でもあるのです。このドラマのサイコ男女、やってることは残虐非道なのですが、あんまり怖くなかったです。怖いというより、イライラしたかも。サイコパスって頭もいいらしく、人を騙したり被害者や遺族を陥れたりする手管にたけていて、そういうコズルさがイヤミスでした。ヨンハを地獄に引きずり込む女サイコ、あんな小娘にいいように振り回されるヨンハにもイラッ!ヨンハの情と優柔不断さ、保身の念がなければ、周囲の人たちを巻き込むこともなかっただろうに。

 もはや韓流映画とドラマではお約束?のひとつ、韓国の警察の無能さ怠慢さが今回も非道いです。どんどん暴走し、やりたい放題になるサイコ娘、何度か逮捕できる機会があったのにスルーなので唖然。いくら何でも日本ではありえない失態。労働意識が低いところも、日本と大きく異なる点。夜勤中、フロントで酒飲んでグーグー寝てしまい、連続殺人鬼の凶行を見逃してしまうサンジュンとか、おいおい~でしたわ。死刑囚が入院中の母親のお見舞いができたり、暗殺用の銃があんな簡単に製造できたり、相変わらず不思議な国な韓国でした。

 ヨンハ役のキム・ユンソクは、17年ぶりのドラマ出演なのだとか。ほぼ映画オンリー俳優なのですね。探偵役だった「復活」も、今や懐かしのドラマ。ズタボロにされる体を張った熱演でした。彼もサイコなのかな?と思わせる怪しさ、不穏さもさすが名優。事件を捜査する女署長役は、「パラサイト 半地下の家族」での激演が忘れがたいイ・ジョンウン。今回はクールかつ謎めいた役。顔が元キスマイの北山に似てる?サイコ娘役は、後で知ってビツクリ!「Sweet Home」の子!なかなか振り切ったブッコワレ鬼畜演技、日本の若手女優も見習ってほしい。

 終盤に登場するサンジュンの成長した息子、のび太がイケメンな大人になった!みたいな風貌。可愛い!演じてるのは誰?とチェキったら、アイドルグループのEXOのメンバー、チャニョルでした。EXOといえば、「100日の郎君様」とか「神と共に」のド・ギョンスも一員ですね。長身でスタイルがいいところが、さすが韓流男子。あんな優しそうな顔して、凄腕工作員みたいなスナイパーぶりがカッコよかったです。あの腕っぷしと射撃の技、どこでどうやって?!復讐の鬼!な暗い瞋恚の炎はなく、爽やかで汚れない感じがよかったです。これも終盤になって現れる、サイコ娘のストーカー元夫。なかなかイケメンだったので誰?と、これもチェキったら驚き!「チョコレート」でユン・ゲサンのライバル役だった俳優!ぜんぜん気づかなかった!
 このドラマ、日本でリメイクするとしたら?理想妄想イルボン版は、こうだ!
 
 ヨンハ ・・・ 木村拓哉
 サンジュン ・・・ 永山瑛太
 サイコ娘 ・・・ 三吉彩花
 サンジュンの妻 ・・・ 比嘉愛未
 ヨンハの娘 ・・・ Koki
 サイコ娘の元夫 ・・・ 白洲迅  
 警官 ・・・ 木村達成
 サンジュンの友人 ・・・ 福士誠治
 連続殺人鬼 ・・・ 青柳翔
 ヨンハの友人 ・・・ 萩原聖人
        ・ 
 サンジュンの成長した息子 ・・・ 目黒蓮(特別出演)
 署長 ・・・ 藤山直美

 こんなん出ましたけどぉ~?
 キムタクにはヨンハみたいな役、ぜひやってほしいですね~。実の娘と共演なら話題にも。

 ↑ 新ドラマも決まったみたいなゲサン、大の男の色気を活かした役や演技を期待(^^♪
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漢(おとこ)!剣闘士

2024-11-20 | 北米映画 00~07
 「グラディエーター」
 ローマ帝国の将軍マキシマスは、皇帝アウレリウスから皇位を譲ると告げられる。アウレリウスの息子コモドゥスは父を殺害し新皇帝の座に就き、マキシマスに服従を求めるがマキシマスはそれを拒否する。家族を殺され奴隷に堕ちたマキシマスは、剣闘士となってコモドゥスへの復讐の機をうかがうが…
 まさかの続編「グラディエーターⅡ」が日本でも公開!アカデミー賞の作品賞や主演男優賞を受賞したPART Ⅰを復習鑑賞!もう24年も前の作品なのですね!ローマ帝国を舞台にした史劇ですが、「ベン・ハー」や「十戒」などの古き佳き時代のスペクタクルな大作とはまたちょっと趣きが違うところが、この映画の特色かつ魅力かも。リドリー・スコット監督ならではの映像と演出で、斬新な時代劇になっています。スケール感とか格調とかよりも、見せ場での細部へのこだわりに重点が置かれているようでした。特にコロシアムでの死闘シーンは、うげげ!ひー!と目を覆いたくなる残虐さなのですが、感嘆してしまう鮮やかさと美しさも同時にあります。CGもふんだんに使用しているけど、あまり気になりません。むしろリドリー・スコット監督の代表作「ブレードランナー」を彷彿とさせる異空間ムードが醸されていてユニークです。

 武勇ほまれ高き英雄が陥れられ全てを失い、復讐のために壮絶なサバイバル…お話じたいは韓流時代劇でもよくある内容で、いたってシンプルかつ特に捻りもないものですが、この映画をありきたりな凡作にしてないのは、もちろんスコット監督の演出手腕と映像美もですが、やはり何といっても2大俳優の力演、怪演と言っても差し支えないでしょう。
 マキシマス役でオスカーを受賞したラッセル・クロウが、とにかくカッコいい!

 オーストラリアからハリウッドへ襲来、瞬く間にスターとなった野獣ラッシー。この映画の彼は、まさに役者としてピークの時。その雄々しさ、猛々しさ、屈強さ、覇気に圧倒されます。まさに漢(おとこ)!女優以上にメイクばっちり、風貌も演技も軽薄な俳優を見慣れてしまってるので、ラッシーの重苦しい男らしさ、濃密な男臭さにむせてしまいそうに。まさに男は黙って…な、余計なことは喋らない寡黙さと、ゴゴゴゴ…と音が聞こえてきそうな、暗く熱いマグマのような瞋恚を内に秘めた風情も、最近の俳優にはあまり見受けられない男の魅力です。

 男も惚れるカリスマ、勇猛果敢なタフガイだけど、常にどこか悲しそう、不幸の翳りがあるところもラッシーの魅力でしょうか。今はすっかり老いてブクブクに太ったヒグマみたいになってるラッシーですが、この頃の彼はまだ引き締まってて精悍!バキバキ筋肉質というより、ガッチリムッチリした肉体も私好み。剣闘シーンでの生々しく豪快な肉弾ぶりに惚れ惚れ。そのイカツさと迫力、イキってもぜんぜん強そうに見えない日本の俳優とはやはり違います。劇中ではほぼ悲愴な顔つきしかしてないけど、ごくたまに見せる微笑みは優しくて可愛かったです。脂ののった肌艶に、おとこ盛りの色気が。

 マキシマスを地獄に叩き落とす新皇帝コモドゥス役は、今やハリウッドきっての演技派であるホアキン・フェニックス。ラッシーもですが、ホアキンもわ、若い!複雑怪奇で怖い不気味おじさん、という感じの現在のホアキンですが、シワもなく肌ツヤツヤな若かりし頃の彼はイケメンに見えることも。卑劣で冷酷で狂ってるんだけど、何かちょっと哀れで憎めなくもある皇帝を、彼の当たり役ジョーカーを彷彿とさせるエキセントリックさと悲哀で演じてるホアキンです。

 脇をかためる俳優たちもシブくて重厚。父帝役はリチャード・ハリス、奴隷商人役はオリヴァー・リード、今は亡きイギリスの名優が好演。マキシマスの友人となる黒人奴隷役のジャイモン・フンスーもカッコよかったです。古代ローマを再現したセットや衣装も目に楽しいです。おしゃれ好き?なコモドゥスが、なかなかファッショナブル。
 
 
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君と探した夏の海

2024-11-18 | 中国・台湾・香港映画
 「鯨が消えた入り江」
 盗作疑惑をかけられた香港の人気作家ティエンユーは、天国へ導いてくれるという“鯨が消えた入り江”を探すため、台北へと旅立つ。酒場でのトラブルからティエンユーを救ったチンピラのアシャンは、ティエンユーに入り江へのガイドを買って出る。はじめはアシャンを怪しんでいたティエンユーだったが、いつしか二人は離れがたい関係に…
 ちょっと前に偶然ネットで知った、香港と台湾の人気イケメン俳優の競演が話題になったBL映画。日本でも公開されないかな~と思ってたら、早くもNetflixで配信開始されていて驚喜!さっそく観ました(^^♪


 異なる時空をつなぐ不思議なポストとか、未来を変えるとか、「イルマーレ」と「君の名は。」をブレンドさせたようなファンタジーな設定に、ちょっと戸惑ってしまいました。フツーに運命的な出会いをした男同士の話でもよかったのでは、と思わないでもなかったけれども。自ら死を選んだあの香港の大スターが生きていて活躍中!という未来が衝撃的、かつ心憎い演出でした。その姿は劇中にはなかったけど、もし彼が存命ならどんな風になってるだろうか…と切なく想像。

 ファンタジー設定だけどファンタジックなシーンはほとんどなく、なかなか腐心をくすぐる胸キュンBL映画になってました。BLカップルがどっちもルックス、キャラともに腐のツボを巧みに突いてます。腐が求めているものを作り手がよく解ってる感じ。年上のティエンユーはリッチ&フェイマス、クールな陰キャ。年下のアシャンは底辺の不良、やんちゃで無邪気な陽キャ。どんどん親密になっていく二人を包むのは、甘く優しい恋人同士の空気なのに、セックスどころかキスもしないのでもどかしい!性的なシーンは皆無なので、ライトなBLファン向けかも。セックスやキスはしないけど、壁ドン(死語?)とかバックハグとか押し倒しとか、男同士でやるとドキドキ♡なことは、いっぱいやってくれてます。ビーチでダルマさんが転んだ(韓国だけでなく台湾にもあったんですね)やってたらキスしそうに、なんてシーンとか笑えるぐらい狙ってます。


 ティエンユーもアシャンも、BL漫画では定番のキャラですが、それが嬉しい。特にアシャンのワンコぶりが可愛すぎる!一途で献身的で、とにかくけなげ。ティエンユーじゃなくても、心ほだされますよ。私もミャンマーで、アシャンみたいな男子にガイドされたかったわ。ぼったくられても、アシャンだったらきっと得した気分になれるわ。


 BL映画なんだけど、男同士だから生じる苦悩や困難、禁断のにおいなどは全然なく、男女の恋愛と変わらない描き方が、イマドキのBLって感じです。それは現実社会では喜ばしいけど、苦しみや悲しみ、秘密の隠微さが美しいドラマになるBLを、映画やドラマでは…と望んでしまう私です。
 ラブシーンはないけど、イケメン二人は必要以上に脱いでます。二人とも、きれいなカラダ。韓国俳優ほどムキムキマッチョではなく、日本俳優ほど細くない、ちょうどいい肉体美。主演俳優二人は初めて見たけど、どっちもイケメン!ティエンユー役のテレンス・ラウは、ちょっとミステリアスで、優しい大人の雰囲気と清潔感が素敵。アシャン役のフェンディ・フォンは、山崎賢人をエグザイルっぽくした感じ?若々しい色気が香しいです。それにしてもティエンユーとアシャン、どっちが攻めで受けなんだろ?個人的には、年下タチ年上ネコ希望(^^♪


 BLもよかったけど、香港&台湾旅行の気分を味わえる美しい景色、情緒ある風景も素晴らしかったです。台湾のバナナやグアバが生えてる亜熱帯な山、どこかノスタルジックな田舎や海、素朴で美味しそうなお餅。ティエンユーとアシャンが裸になって水遊びする滝の秘境っぽさ。香港の街を走るトラム、湾岸の夜景。台湾にも香港にも行きたくなりました。

 ↑ イケメンかなあ?と首を傾げてしまう俳優が多い韓流と違い、華流はほぼほぼ正真正銘のイケメン
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仮想空間の愛

2024-11-15 | 日本映画
 「本心」
  工場で働く青年朔也は、豪雨の夜に川に落ちて死んだ母が、法律で制度化された自由死を選択していたことを知る。母の本心を知りたい朔也は、AI企業に依頼して仮想空間で母を甦らせるが…
 「ぼくたちの家族」や「バンクーバーの朝日」などの石井裕也監督作品。芥川賞作家、平野啓一郎センセイ原作の映画といえば、「ある男」が好評だったみたいですが、私は未見のまま。でも、こっちは速攻で観に行きました(^^♪すごく楽しみにしてたんですよ。だって、池松壮亮主演だもん!佳作「ぼくのお日さま」からあまり間を置かずしての再会が、ファンに喜ばしいかぎりです。壮亮くん、やっぱいい役者ですね~。彼こそが今の邦画界の至宝、最高の俳優!わらわらいる同世代の俳優さんたちとは、明らかに品質というか力量が違います。この映画でも、そう思わせてくれた演技と存在感でした。まだ34歳にもかかわらず、すでに風格さえ備えてるような。

 真面目で不器用な青年役でも、どこかもう人生に倦んだような退廃と倦怠を漂わせてるところが好きです。大げさな演技はしないのですが、はっと見入ってしまう、引き込まれてしまう表情や目つきをするんですよ。誰ものぞけない異世界を見つめているような瞳が、怖くて美しくもあった。壮亮くんの美しい瞳って、「アデルの恋の物語」や「ポゼッション」のイザベル・アジャーニの瞳を思い出させるんですよね~。そんな俳優、日本には壮亮くんしかいません。

 いろんな人や状況に翻弄され、狼狽し傷つく壮亮くんが哀れで可愛いです。ボソボソ声ではなく、はっきり喋ったり大声の時の美声ときたら!お猿さんのような童顔も、相変わらずラヴリー。不自然なツルツル美白肌ではなく、ちょっとザラっと脂っけのある浅黒い肌が男の色気を醸して素敵。とっちゃん坊やなアラサー童貞?みたいな役だけど、色気は隠せない壮亮くんです。小柄なんだけど、体つきが何かエロいんです。シャワーシーンでちょっとだけ脱いでましたが、いいカラダ数年前は若き濡れ場王だったのに、最近はとんと色仕事はご無沙汰で寂しい限りです。

 この映画、すごい豪華キャストです。AI企業のCEO役が妻夫木聡、朔也の友人役が水上恒司、若い富豪役が仲野太賀、他にもチョイ役で綾野剛、窪田正孝など、一枚看板の人気俳優がズラリ。石井監督作品の常連で、共演も多いブッキーと壮亮くん。今回のブッキーは弟分?の壮亮くんのための友情出演っぽく、登場シーンも少な目。ブッキーもすっかりおじさんになったなあ。可愛いおじさん。ブッキーと綾野剛、「怒り」のBLカップルじゃん!二人のツーショットを久々に見て、やっぱ「怒り」はブッキーと壮亮くんだったらさぞや…と思いました。

 水上恒司、デビュー作のクソドラマ「中学聖日記」でのイケメンぶりと学芸会以下な大根演技が強烈でしたが、久々に見たらすごく成長したな~と思いました。いい演技、いい味。でも演技よりも、やっぱ見た目が最強です。端正な男らしい、けど可愛くもある顔立ち。壮亮くんにやたらイチャイチャ絡むシーン、なかなか萌えました。朔也のことが好きなのかな、と勘繰ってしまうほどの執着が愛しかったです。共演作が多く、私生活でも仲良しっぽい仲野太賀と壮亮くんは、再来年のNHK大河ドラマでも共演予定ですね。
 朔也の母役は、名女優の田中裕子。おしん(古っ!)も、すっかり老婦人になりましたね~。滅多に会えないのでプレミア感があり、出てるだけで何だか作品の格が上がるような。三吉彩花は初めて演技するところを見ましたが、美人ですね~。オンナオンナしてない、クールな美青年っぽい風貌がカッコいい女優かも。デカい?壮亮くんのほうが背が低かったような。

 そう遠くない未来では、あんな風に高度なAI技術が利用されるんですね~。いいのか悪いのか。それにしても。もう会えない人にAIでとか、私からしたら気持ち悪い発想です。私ならもし母が急死したとしても、本心とか秘密とか知りたいとは思わないなあ。ベタベタしい親子の情とか苦手。テーマはユニークなんだけど、いい映画、それだけ、で終わってしまってるのがいつもの石井監督らしかったというか。何か惜しい、物足りない。AIが知りたくなかった母に関する事実や秘密を暴露したり、勝手に個人情報を公開したり、ちょっと暴走気味だったのが笑えたので、いっそのことデジタル化社会への警鐘をブラックに描くコメディにしてほしかったかも。自由死制度には賛成。それはそうと。この映画、公開二日目に観に行ったんだけど、週末の夜なのに客は私だけガラガラすぎて悲しくなりました。

 ↑ 壮亮は邦画の宝。彼のファンだからこその願い。しょーもない映画やドラマで彼の無駄づかいはしないで!たまにしか会えなくてもいいので、よい作品を選んで出てほしいです
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戦争とファッション

2024-11-12 | 欧米のドラマ
 テレビシリーズ「ニュールック」を観ました(^^♪全10話。
 ナチスドイツ占領下のパリ。クリスチャン・ディオールは、レジスタンスの一員である妹カトリーヌの身に危険が及ぶことを憂慮していた。一方、ココ・シャネルは家族やビジネスのことでナチスと深く関わるようになり…
 ファッションには疎く関心も薄い私ですが、ファッション業界やデザイナーの話は大好き。才能、苦悩、栄光と挫折、渦巻く嫉妬や陰謀…光も闇も、どの世界より華やかだから。そして、高名な男性デザイナーはたいていゲイだからBL要素も美味しい。イヴ・サンローランやトム・フォードの映画が佳作だったので、このドラマも期待してたのですが。うう~ん、何か思ってたのとは違ってました。デザイナーやファッション業界のことより、ナチス占領下そして解放後のフランス人の苦闘やサバイバルを描くことに重点を置いた内容になってました。またナチスか~と、正直げんなりもしました

 どんなに虐げられても、徹底的にナチスに抗った人々の愛国心と勇気、誇りには心から敬服。私だってナチスには屈しない!と言いたいところだけど、もし当時のパリに暮らすフランス人だったら、命がけで戦うことができたでしょうか。生きるためにナチスに同調、協力せざるを得なかった人たちに、気まずい共感を覚えてしまいます。ナチスの非道さもだけど、パリ解放後のナチス協力者への報復や処罰も、残酷非情で戦慄。
 主人公であるクリスチャン・ディオールに、あまり魅力が感じられなかったのも残念。ディオール氏、ただもう妹のカトリーヌのことが心配で心配でたまらなくてオロオロ、ウダウダ、メソメソしてるだけなんですよ。シスコンぶりがちょっと気持ち悪かった。デザイナーとしてドラマティックなエピソードもほとんどないし、パートナーとの色っぽいラブシーンも全然ない。ディオール氏も彼氏もおっさんなので、返って安心はしたけどディオール役のベン・メンデルソーンは、いい俳優なんだけど主役よりも脇役で光るバイプレイヤーだと思います。デザイナーというより、真面目な公務員にしか見えなかった。

 クリスチャン・ディオールよりも、ココ・シャネルのキャラと生きざまのほうが、面白くて共感も抱けました。デザイナーというより、ビジネスウーマンって感じだったシャネル。富と名声を失わないために東奔西走、ナチスと関わってしまったことで窮地に陥る姿が、アタフタとドタバタと必死すぎて滑稽でもあった。自己中心的で傲慢なクソ女なんだけど、やらかしやズルさが人間的。たたき上げ、成り上がり女の意地と気風、絶対に諦めない!泣き寝入りはしない!勝つ!なバイタリティと不屈の精神には畏敬の念。ココ・シャネル役はジュリエット・ビノシュ。とにかく元気なジュリビさんでした。大物女優なのに、何を着ても全然ファッショナブルに見えないところが、さすがジュリビさんシャネルの着こなしは、泉ピン子と同レベルかも。
 このドラマで最も楽しみにしていたのは、ナチス将校役で出演していた愛しのドイツイケメン、ヤニス・ニーヴナー

 ヤニヴがナチス役を演じるのは、「コリーニ事件」以来でしょうか。ナチスの制服ってやっぱ、イケメンにしか似合わない衣装ですよね~。ナチスだけど颯爽とスマートなヤニヴに目はハート♡なんだけど、恐れてた以上にチョイ役でしたしかも、自分の母親より年上っぽいジュリビに色目を使い、口説こうとする物好きな熟女マニア?な役でトホホ。アラ還になっても年下のイケメンにモテまくる役ばっかで、羨ましいやら呆れるやらなジュリビさんです。
 独立する前のディオールの雇い主役はジョン・マルコヴィッチ、アメリカ人のファッション記者役がグレン・クローズ。この二人って、秀作「危険な関係」じゃん!二人とも、GさんBAAさんになったなあ。ディオールとシャネルはほとんど絡まず、二人の物語が平行して進む構成になってます。フランス人のジュリビさんが英語でフランス人を、オーストラリア人のメンデルソーンやアメリカ人のマルコヴィッチが英語でフランス人を演じてるのですが、これってフランス人の視聴者はどう感じるんだろう。韓国映画で韓国人がヘンな日本語で日本人を演じてる、ほどには違和感はないと思うけれども。

 ↑ ヤニヴの出演作「ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」が、陽春日本公開!久々に映画館でヤニヴに会える!
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死が燦燦と

2024-11-08 | イギリス、アイルランド映画
 「地中海殺人事件」
 偽造ダイヤに関する詐欺事件の捜査と休暇を兼ねて、名探偵ポアロはアドレア海の島にある上流階級御用達のホテルにやって来る。宿泊客のひとりである女優のアリーナの絞殺死体がビーチで発見されるが、彼女を殺す動機のある関係者にはみな鉄壁のアリバイが。ポアロは真相究明に乗り出すが…
 映画ファンには悲しいニュースが今年も次々と。グレンダ・ジャクソンに続いて、イギリスが誇る名女優マギー・スミスも旅立ってしまいました。多くの映画ファンにとっては、マギーといえば「ハリー・ポッター」と「ダウントン・アビー」だと思いますが、私はどっちもほとんど観てない私にとってマギーといえば、アガサ・クリスティ映画「ナイル殺人事件」と「地中海殺人事件」なんですよね~。子どもの頃、どっちも何度もテレビで観て、そのクールなシニカルさと毅然とした雰囲気、でもクスっと笑える軽やかなユーモアで、これぞイギリス女性!と、幼い心に印象付けてくれたのがマギーでした。その他の彼女の出演作も、イギリス映画の魅力を私に教えてくれました。本当に素敵な、偉大な女優さんでした。追悼の意をこめて、この映画を久々に観ました。

 やっぱ何度観ても面白い!好き!シリーズの「オリエント急行殺人事件」と「ナイル殺人事件」に比べると、キャストは地味化、スケールダウンはしてますが、3作の中では最も軽妙洒脱でコメディ色が強く、殺人は起こっても陰惨さや重苦しさなどが微塵もなく、とにかく明るくて楽しい映画になってます。鬱な気分な時に観たくなる映画かも。マギーはホテルの経営者であるダフネ役。テキパキと軽やかに、時に辛辣に、でも人情味もある女将役を楽しそうに演じてます。犬猿の仲であるアリーナとの、毒を含んだ軽妙なやりとりが笑えました。

 アガサ・クリスティ映画の魅力は、私には一生無縁なハイソな世界。優雅なホテル、食事、衣装、かしずく使用人…杉乃井ホテルとかが、めちゃくちゃ庶民的に思えます庶民的リゾートホテルの客と違い、常にフォーマルな服を着用、ディナーやカクテルでは正装しなきゃいけないのは大変そう。でも憧れます。リゾートだけどどこかイギリスの貴族の館を思わせるホテルや、美しい海を臨む島内の風風光明媚さ、美味しそうな食事とお酒!一度でいいから、あんなホテルで夏休みを過ごしてみたいです。

 殺人トリックも、よく考えつくな~と毎度感嘆してしまいますが、実際には実行不可能だよな~。成功するには、かなりの運が必要だし。でもあのトリックを実写化できるロケ地、よく見つけ出したな~。
 ポアロ役の名優ピーター・ユスティノフ、大柄で優しそうなところは原作のポアロとはかなり違うのだけど(ポアロはチビで気取り屋なオネエっぽいおじさん)、私の中ではポアロ=ユスティノフ、なんですよね~。水着姿が漫画ちっくで可愛かった。ポアロが注文したパフェが、美味しそうでゴージャスだった!あんなの独りで食べたら体に良くないと思う

 アリーナの清々しいまでに性悪ビッチな言動が笑えます。アリーナ役のダイアナ・リグが、懐かしの韓流ドラマ「美しき日々」のヤンミミ、たまに池畑慎之介(ピーター)に見えて仕方なかったわ。アリーナの浮気相手である男の妻役は、「ナイル殺人事件」にも出てたジェーン・バーキン。ジェーンも去年、他界してしまいました…

 実際にはイギリス人だけど、ジェーンといえばもはやフランス女優、というイメージなので、母国語である英語での演技は返ってレアな感じがします。少女のような声が可愛い。30代半ばの、最も美しい頃のジェーン。冴えないサレ妻な彼女の、ラストの美しい変貌も見ものです。コール・ポターの音楽も、心をウキウキと弾ませてくれます。




コメント (2)
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婚活女の罠!

2024-11-05 | 日本映画
 「傲慢と善良」
 ビール会社を経営する架は、婚活アプリで出会った真実と交際を始めるが、結婚には踏み切れずにいた。そんな中、真実がストーカーに付きまとわれてることを知った架は…
 おかしいだろー!!??何で!?この映画を観ている間、そして観た後の感想は、ただもうそれだけです。多くの人は、この映画に感動したり共感したり胸キュンしたりするのでしょうか。ただもう不快なだけ、理解不可能だった私のほうが間違ってるのでしょうか。私にとってはこの映画、近年まれにみる最悪のイヤミス映画でしたわ。とにかく真実という女が、ほんと気持ち悪かったし腹立たしかった。言動も性格も見た目も、すべてにおいて不愉快で嫌悪感しか覚えませんでした。私が最も苦手なタイプの女。羊の皮をかぶったハイエナ、糖衣をかぶせた生ゴミ、みたいな女。私からしたらとんでもないクソ女なんだけど、男はああいうのに弱いんですよね~。

 フィクションの世界だと、悪女やビッチにはスムーズに反感や警戒心が抱けるし、企みとか奔放さが魅力的でさえある。相手を陥れたり傷つけようとしたりする性悪女とか、病的なイカレ女コワレ女も、岩井志麻子センセイとか桐野夏生センセイの作品とか笑えるキャラが多い。でも、この映画の真実ときたら。あんなにも嘘つきで無責任で調子がいい女を、けなげで切ないヒロインみたいに仕立て上げてることに、ものすごい違和感。イタい女、ヤバい女として描いてれば、面白いイヤミス映画になってただろうに。こんなにも、うわ~殴りたい!罵りたい!トラックにでも轢かれて早く死ねばいいのに!と思ったヒロイン、初めてかもほんと耐えられなくなって、途中で席を立ちそうになったほどです。

 架と初めて会うシーンから、もう不快指数マックスな真実。いい年して喋り方もファッションも、かまとと+ちょっと不思議ちゃん。きゃ♡とハンドバッグを落として中身を散らばらせたり、老人のこぼしたお茶を拭いてあげながら自分のスカートをそのお茶で汚したり、優しく可愛いドヂっ娘ぶりに架はキュンキュン、みたいなベタな方法で男の心を掴む序盤で、オエ~と吐きそうになりました男の気を引くためのストーカー被害自作自演といい。架が自分を70点の女と評したと知りショック、突然失踪とか。70点でも高得点だろ?どんだけ自信があったんだよ。しょーもないことで人騒がせすぎることすんな!

 不愉快言動は枚挙にいとまがなく、こんな男とはキスできないとか性格がちょっととか、見合い相手を上から目線で評定したり。見合い相手とデート中、バッタリ会った知り合いにデート?と聞かれて違う!と速攻で否定したり。失踪しても自分がどこにいるか架が察するような写真をインスタにあげたり。こいつほんとタチ悪い女だなと思ったのは、田舎でもすぐに男の気を惹いて、いい感じにもっていってるところ。精神病なのかと疑ってしまうほど理解不可能だったのは、町の役人に架のビール会社を紹介し、結果架が自分のところに来るよう仕向けたこと。田舎の青年でもいいかな、みたいな感じだったけど、いざ都会のハイスペックな元カレと再会すると、やっぱこっちのほうがいい(^^♪とばかりに、これまたまわりくどい方法で男の心をくすぐり、まんまと元サヤにもっていったラストなど、私はSF映画でも観てるのかなと混乱したほどのありえなさ。架、ほんとにそれでいいのか!?とんでもない女に引っかかってしまったバカ男にも呆れるばかりでした。それにしても真実、架とヨリ戻してルンルンで東京に戻るのかよ。田舎の仕事とか、気をもたせて期待させた青年とか、また無責任に打っ棄って?ほんと身勝手すぎて迷惑!

 架の女ともだち二人も相当な性悪女どもなのですが、真実の嘘や正体を見破り真実を撃破したところは、グッジョブ!と喝采女が女を見る目の鋭さと底意地の悪さが怖すぎる。架と元サヤになっても、あの二人がいるかぎり真実はストレスから逃れられないでしょうね。真実が調子に乗らぬよう、あの二人には今後も性悪な活躍を期待(笑)。
 この映画を観に行ったのは、言うまでもなく藤ヶ谷太輔に会いたかったからです(^^♪ガヤくん、カッコよかったキスマイブサイクのコントでの彼のキャラだった、都会のおしゃれなヤングジェントルマン風でちょべりぐ(死語)。高級感あるトラッドなファッションも素敵。優しい声、喋り方も好きです。小柄で痩せてるので、韓流俳優を見慣れてる目にはちょっと貧相に映った。もうちょっと肉つけよう!ガヤくんは地に近い(たぶん)温厚キャラよりも、悪い男、屈折した男の役のほうが、演技力も色気も発揮できる俳優かも。

 原作小説を読んで感動、架を演じたい!と熱望して実現のため熱心に動いた、とインタビューで語っていたガヤくんですが。この架という男の、どこにそんなに惹かれたんだろう。映画だけだと架は、容姿にもお金にも恵まれた性格もいい欠点のない男、という何の面白みもないキャラ。「そして僕は途方に暮れる」のクズ男なガヤくんのほうが、いい役者だなと思った。架のパーフェクトさの裏に見え隠れするイヤな部分をもっと深掘りしてたら、イケメンなだけ俳優でも演じられる単にカッコいい役ではない、ガヤくんにとってチャレンジングな役になってたことでしょう。

 ガヤくん、原作を読んで、架と自分がカブる!と思ったのかな?それはそれで、なかなかの傲慢さではあるけどでも俳優には、そういう傲慢なまでの自信って必要ですよね。劇中、超高価そうな腕時計が結構これ見よがしだったり、真実のお見合い相手に会った時の何となく相手を蔑んでるような目とか、ガヤくんの傲慢な演技もイヤミがなくさりげなかったのがよかったです。架の部屋とか友人宅でホームパーティーとか、おしゃれなバーとかレストランとか、田舎の庶民には無縁な東京の富裕層ライフが、トレンディドラマ(死語)みたいでした。

 ↑ ガヤくんももういい年(ポール・メスカルやピエール・ニネより年上!)なので、アイドル仕事は卒業して決定打になる代表作を!
コメント (2)
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