まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ハッピーサマーウェディング殺人事件

2024-09-15 | 欧米のドラマ
 Netflixのドラマ「理想のふたり」を観ました(^^♪全6話。
 富と名声を手にした美貌のベストセラー作家であり、夫と息子たちに愛される母親でもあるグリアは、完璧な女性として常に世間から注目されていた。そんな中、次男のベンジーが恋人のアメリアとの結婚式を挙げるため、家族や友人がグリア夫妻が住むナンタケット島に集合する。式の直前、アメリアの親友メリットの死体がビーチで発見され…
 映画やドラマってやっぱ、善人よりも悪人の話のほうが面白いです。日本のnetflixドラマ「地面師たち」もまた然り。そして、辛気臭い庶民よりも、ゴージャスな金持ちの話のほうが楽しい。好みの問題なんでしょうけど、同じテレビドラマでも「海のはじまり」とか、観続けるのが苦痛でしかなかったけど、このアメドラはサクサクあっという間に観終えてしまいました。ダラダラ引っ張らない間延びしない、6話から8話ぐらいのコンパクトに濃縮されたリミテッドシリーズが、最近お気に入りです。

 殺人ミステリーですが、深刻さとか重苦しさは微塵もなく、とにかくライトでリッチなブラックコメディ調。愛と欲望渦巻く金持ち一族が起こす殺人という設定はミステリーの定番で、目新しいものではありません。ラストに判明する事件の真相、犯人とその動機も、あっと驚くようなものではなく、ガチなミステリファンが観ると物足りないかも。もうちょっと捻りがほしかったかな、とは私も思った。人間ドラマとしても薄っぺらなのですが、そこがまさに金持ちのアメリカ人って感じ。ドロドロに陥らない軽薄さ、悲劇を喜劇にしてしまうバイタリティこそ、アメリカ人の美点であり怖さでもあります。

 とにかく明るくて軽薄!華やかに汚い!共感とか好感をねだってるようなあざとさがない。そういうテイストが好き。このドラマに出てくる連中、みんなそろいもそろってろくでもない奴らなのですが、「海のはじまり」の人たちのほうがよっぽど嘘っぽくて不快で気持ち悪いです。他人、家族さえ二の次!まずは自分!な強欲さと身勝手さ、冷酷さを剥き出しにする姿が醜悪かつ滑稽、でもそれが本当の人間の姿、愛すべき人々に思えました。こんな意地汚く性悪になるほど金持ちになってみたい、とさえ思った人もなげな鼻もちならない金持ちたちが、ラストにギャフン!と言わされ、みっともない目に遭う姿が痛快、そして転んでもただでは起きない図太さがあっぱれでした。

 キャストは豪華、というより実力派のクセモノをそろえた感じ。グリア役のニコール・キッドマンを筆頭に、みんな明るく毒々しくケレン味たっぷりの快演と怪演。ニコキさん、まず顔が怖い!魔女みたい。白い肌にはシワもシミも弛みもないんだけど、ツヤと潤いはない。人工的に隠せても出せないものが肌にはありますね。目と鼻が何か変?バービー人形みたいな細~いスタイルとかも、60歳前とはおよそ信じがたい。老醜、老臭ゼロだけど、その美しさは不自然極まりないんです。でも、最近のニコキさんはそれを逆手にとっていて、むしろ不自然な美しさを強烈な個性にさえしている。怪女役を嬉々として演じてる、したたかで賢い女優さん。スノッブで支配的で非情な女王さまなグリアはヤな女なんだけど、男のことでメソメソイジイジなんかしない、何があってもオロオロしない、ピンチもチャンスに変えようと奮起する不屈さがカッコいいヒロインでもありました。真犯人よりもグリアの過去のほうが驚き。バラされるのではなく自分でバラしてすっきり!な最終回での告白も、潔くて拍手ものでした。一般人にはとても着こなせない、高級感があってエレガントなニコキさんのファッションも見どころ。

 人当たりはいいけど最低なヤリチンヒモ亭主タグ役は、「スポットライト」でも好演してたリーヴ・シュレイバー。クズ&アホな長男トーマス役は「ローズの秘密の頁」や「ミッドサマー」のアイルランド俳優ジャック・レイナー。ぽっちゃり時代のクリス・プラット似のイケメン。いい人だけど優柔不断なマザコンの次男ベンジー役は、大好きなイギリス俳優ビリー・ハウル。彼、顔はイケメンではないけど、まとってる雰囲気がイケメンで好き。ビリーみたいな外人彼氏がほしいです。三男役の男の子も可愛かったです。

 ベンジーの親友シューター役は、インドのイケメン俳優イシャーン・カッター。顔が濃ゆくて可愛い。セクシー担当で、サービス無駄脱ぎも。すごい肉体美!トーマスの妻役は、元名子役のダコタ・ファニング。彼女もヤな女やらせたら天下一品な女優になりましたね~。「リプリー」同様、悪意や底意地の悪さがチラっと出る表情とか上手い!
 そして、衝撃の出演者が。一家のフランス人の友人イザベル役は、何と!イザベル・アジャーニ!

 まさかアメドラでアジャ様を拝見できるとは。ニコキさんもかなりのものでしたが、アジャ様の顔の不自然さも相当なものです。かなり妖怪化してます。ちょこちょこっとしか出てこないのですが、強烈な存在感です。出た(笑)!と誰もが思ってしまう見た目とキャラ。ミステリではおなじみの、怪しいけど絶対犯人じゃない道化キャラを、のらりくらり楽しげに演じてるアジャ様です。

 若いトーマスと愛人関係、かつては父親のタグともデキてた男狂いの淫乱BBA役、口を開けば相手はドン引きなエグい下ネタばっか言って笑わせてくれるアジャ様ですが、往年のファンとしては何か複雑な気分。あのイザベル・アジャーニが、こんな役こんな姿…おそらく視聴者の多くは、若い共演者でさえ、彼女がフランス随一の大女優だったことを知らないのでは。32歳のジャック・レイナーとの情事シーンとか、完全にお笑いコント。アンナチュラルすぎる顔ですが、凡百な美人とは桁違いの美貌の持ち主だったことを、ふとした瞬間に思い出させることもあるアジャ様でした。ニコキさんとアジャ様のツーショットがほとんどなかったのが残念。二人が同じ画面でガッツリ絡むのは、かなりホラーな画になりそう

 舞台となるナンタケット島が美しい!あんなところで富裕層な夏休みしたいわ~。オープニングのキャストのダンスがゴキゲン!みんなノリノリで楽しそう!笑顔で踊ってるビリーとジャックが可愛い!アジャ様の動きが何か鈍いのも微笑ましい。
 
コメント (3)
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