まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

悪魔のような貧しさ

2024-09-20 | 北米映画22~
 「デリヴァランス 悪霊の家」
 家族と新居に越してきたシングルマザーのエボニーは、生活苦や反抗的な子どもたち、実母との確執で精神的に追い詰められていた。そんな中、子どもたちに恐ろしい異変が…
 子どもに憑りついた悪霊と対決する母親と神父…という設定は、名作「エクソシスト」と同じ。いたいけな子どもが世にも恐ろしい醜悪な形相になり、おっさんのようなダミ声でおぞましい罵詈雑言を吐き散らし、壁や屋根に這い上がり宙に浮かんだり、といったエクソシストでもおなじみのシーンもあって、リメイクなのかな?と思ったほど。実話をもとにしていると聞いてビツクリ。元祖エクソシストと大きく違うのは、悪魔に襲われるのが貧しい黒人一家だということ。非現実的な悪魔よりも、エボニー一家の底辺生活、困窮っぷりのほうが現実的で怖かったです。
 家賃も光熱費も医療費も払えない貧しさ、治安も悪い、不衛生という劣悪な環境の中で、どんどん荒んでいくエボニーを見ていると、こっちまで絶望的な気分に。貧困から抜け出せない一家の、ドンづまり生活の描写が克明に生々しく描かれていて、オカルト映画であることを忘れそうになるほど。あんなハエがぶんぶん飛んでる家、私なら1日も暮らせません!地下室で猫の腐乱死体発見!とかゲロゲロ(死語)。『醤油でクソ炒めろ!』とか『股が臭い女!』など、エボニー一家や友人の悪態や皮肉で使うボキャブラリーが、下品すぎて笑えました。
 同じリー・ダニエルズ監督の「プレシャス」も、底辺黒人の貧困や虐待を描いたシビアな内容でしたね。「プレシャス」で主人公を虐げる鬼母を熱演し、アカデミー助演女優賞を受賞したモニークが、エボニーから子どもたちを引き離そうとする児童福祉員役で出演してます。執拗に辛辣にエボニーを責めるイヤな女なのですが、彼女がそうせざるを得ない理由が悲しい。子どもたちにみじめな生活を強いても頑なに一緒にいようとするエボニーに、すごくイライラしました。愛してるから親子だから、子どもが不幸でも離れない離さないって。親のエゴイスティックな愛で、子どもの心身の健全な成育を妨げてはならないと思うのだけど。エボニーも必死なのは分かるけど、子どものことをまず第一に考えてあげて、と言いたくなりました。

 エボニー役はアンドラ・デイ、悪魔祓いをする女性神父?役はアーンジャニュー・エリス、そしてモニークと、なかなか豪華な黒人女優陣。エボニーの母役の名女優グレン・クローズが、よく引き受けたな~と感嘆するやら呆れるやならな役と演技。露出高めの悪趣味な服を着て、男に色目を使う色狂い老女。あんな母親、絶対イヤだわ~。がん治療で毛髪がない頭をさらし、バットで車を叩きながら罵倒する姿は悪魔より怖かったです。さらに、末っ子に憑りついた悪魔が、エボニーの母ちゃんに変身するシーンの顔がヤバすぎる!パンティ丸見えなのたうち回りなど、70過ぎた大物女優が何でそこまで

 ほぼ女だけの映画で、イケメンや男前は出てこないのですが、エボニーの長男役の男の子がわりとイケメンでした。まだ少年ですが、将来いい男になりそう。悪魔に憑かれた子どもたち、ほとんど児童虐待!娘がコーラスのレッスン中に、呆然と生理の血を股からダラダラ流したり。末っ子が授業中にウンコして、それを教師に投げたり。ウゲゲすぎて目を背けたくなりました。悪魔のせいとはいえ、あんなこと一生つきまとう黒歴史ですよ。

 
コメント (2)
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