ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

2008年10月03日 | 家族とわたし
夜になって、珍しく息子Kも家に居て、けれども連チャンで寝不足のわたしは早めに寝床につきました。
旦那はいつものように早寝の態勢万全。珍しく本も読まずに寝ようとするわたしをからかったりしてました。
それから10分ぐらいの間、旦那は横でゴソゴソゴソゴソ、おいおい、わたしが寝られへんがな。
突如ガバッと跳ね起きた旦那。「あかん、寝れん!」と言って寝室を飛び出して行きました。

残されたわたし。目を閉じて眠ろうとした時、いきなり思い出しました。
デイヴがくれた盃!



わたしも飛び起きて、厚い靴下とフリースの上着を羽織り、キッチンに直行。
そこには息子Kと旦那が居て、旦那はデイヴの盃で、Kはお気に入りの盃で、2人してポートを飲んでいたのでした。

ずっと前に、デイヴが引っ越しをした時だかに、
「これ、俺の超~お気に入りだけど、ここに置く方が似合うと思って」と言って、盃を2つくれました。
「めちゃんこ気に入ってるからさ、ほんとはあげたくないんだけどなあ」と未練タラタラな目で盃を追うデイヴ。
わたしはササッとそれらを手に乗せ、盃ばかりを集めて飾ってある所に置いちゃいました。
昔ながらの古風な形の、白地に藍色で風景を描いた物と、お多福の顔が中側に、鬼の顔が外側に描かれた物で、
わたしも旦那もいっぺんに気に入って、それからはずっと、これらの盃で日本酒やポートを楽しんでいます。

デイヴの命日、とどめの乾杯!

おまえらな~、俺のことにひっかけて酒飲み過ぎ!!

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デイヴの魂

2008年10月03日 | 家族とわたし
冷え込みがきつくなった昨夜、なかなか眠くならなくてぐずぐずしているうちに2時になってしまいました。
今朝、「お~い、そろそろ起きて一緒にコーヒー飲もうよ~」という旦那の声に起こされた時は、もうすでに10時?!
ドヨ~ンとしたままキッチンに行き、ドヨ~ンとしたまま椅子に座った途端、あ、えらいこっちゃ!
11時に家猫ショーティを獣医に連れて行かなければなりません。
ジャーマンブレッドをトースターに入れ、猫の移動用キャリーをゴソゴソ引っ張り出し、中の埃やクモの巣をはらい、
なにがなんだか分からんような朝食を取って、ウワァンウワァンと鳴くショーティと一緒にドライブしました。
病院の待ち合いでいる間、彼女は鳴き続け、その声を聞いた人は皆、これ、ほんまに猫の声?と驚いた顔でわたしに聞きます。
なにか言葉のようにも聞こえるし、赤ん坊の泣き声のようにも聞こえるし、皆は興味津々で彼女の周りに寄ってきます。
そのうち、英語も分かるの?とか言い出す人も出てきて、とてもにぎやかになりました。
ショーティは10才にしてはすこぶる健康で、毛並みも若く、とてもいい状態だと言ってもらいました



戻ってきて、彼女のパニックも少し治まりホッと一息ついていると、ガブリエル(デイヴの息子)から電話がかかりました。
危篤の知らせでした。

慌てて支度をして、デイヴのガールフレンドのデブラと3人でニューヨーク州に向かっていると、また電話がかかってきました。
臨終の知らせでした。

わたし達3人は行くのを止め、デイヴが好きだったタイ料理店に行き、彼の好物をお腹いっぱい食べることにしました。
デイヴの波瀾万丈の人生を、わたし達が知る限りではあるけれど思い出し、それを話しては笑い、話しては泣き、
デイヴの魂に乾杯!と、何回も何回もワインで乾杯しました。
彼は、彼の子供達がまだ小さい時分に、奥さんと一緒に道ばたで歌って生計を立てていたことがあります。
10年間ぐらい続いたイタリーでのジプシーのような生活は、彼にとってはとても色濃く、光と影の両面を持つ思い出だそうです。
彼は何回も病気や事故で死にかけたこともあり、麻薬などの経験も数年あり、酒におぼれたこともあり、
そうかと思うと、健康にこだわっていろんなことを試したり、人に勧めたり。
料理を作る時は、食材にこだわり、道具にこだわり、味にこだわり、色彩にこだわり、
作り終えた時にはキッチンもピカピカに片付いているという作法にこだわり、
わたしは、そんなんまるでうちの父ちゃんやんかと思いながら聞いていました。
食事の最後に、デイヴの大好物、不透明なオレンジ色したタイアイスティーで乾杯し、彼にお礼を言いました。

彼と逢えた3日前の火曜日の午後。冗談言ったりしんみりしたり、本音をちょびっと聞いたり、おかずを食べたり、
帰り間際に、しゃべり疲れて声は掠れて小さかったけれど、
「まうみ、あの家はいい家だ。良き時代のアメリカがしっかり残っていて、あんなに造りのしっかりした、それでもってチャームがある家は今時なかなか見つからんよ。絶対に手に入れろよ」と言ったデイヴ。
わたし達の友人の中で、あの家の内側を観た人は彼ただ一人。いい物を愛する彼の言葉だけに、とても嬉しい遺言です。

彼の魂は、きっとあの家のどこかにも居て、それでわたしはもう、薄暗い地下や屋根裏が全然恐くなさそうな気がします。
家の者が出かけていて、たった独りで残っていても、なんだか独りじゃないような気がすると思います。

ありがとうデイヴ、

そして、デイヴだった体さん、さようなら。



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心に残ったこと

2008年10月03日 | ひとりごと
2日の副大統領候補同士のテレビ討論会で、1番心に残った瞬間は、バイデン氏が一瞬声に詰まった時でした。
ペイレン氏が、彼女が一般家庭の母親のように、台所のテーブルであれやこれやと心配していると言った後、
彼も、私だってそれは同じ。父子家庭の父親としてキッチンの、と言った直後、言葉が出なくなりました。
討論会の後で、早速旦那に、あれはいったいなんでやったんと聞くと、以下のことを説明してくれました。
(詳しい年号は、わたしがインターネットで調べました)

彼がまさに上院議員として出発しようとしていた1972年のクリスマス前に、彼の家族4人が自動車事故に巻き込まれ、
その事故で、奥さんと赤ん坊の娘さんが亡くなり、幼い息子2人は生き残ったものの、重傷を負ってしまいます。
にも関わらず彼は、息子たちの看病を理由に議員の道を諦めることなく、1973年1月から通常どおり議員としての活動を開始し、
通常、議員になるとワシントンD.C.に移る人が多い中で、彼は毎日1時間半かけて自宅とワシントンD.C.を電車通勤しています。
家には必ず戻り、非常に状態の悪かった息子達2人の看病をしながらの電車通勤、
車に乗らないと、亡くなった奥さんと娘に誓ったのだと思われますが、
それを30年以上も続けている彼の心の強さ、家族への愛情の深さ、それらを彼の笑顔の中に見ることができると思います。
もう一つ、事故が起こった12月18日は、どんなことがあっても彼は仕事を休むそうです。


さて、昨夜の討論会、
ペイレン氏はとてもよく頑張りました。かなりしんどい特訓にも耐え、その結果、深刻な失敗もせずに乗り切りました。
けれども、作り物とそうでないもの、その違いは、どんなにうまく演技しても誤摩化せません。

昨夜は、国の上に立つ人間としての資質、資格などを問われる、とても過酷な会でした。
残念ながら、わたし達は、記憶力の優れた、訓練次第ではうまく話せる、ウィンクや笑顔や真摯な眼差しなども組み入れられる、芸達者なロボット人間を必要としていません。
時には口が滑ったり、言葉に詰まったり、失言癖があったりするけれど、血が通っていて、筋が通っていて、それがどんなに困難であっても、自分で決めたことをずうっと続けることができるヒトを必要としています。

ああいう会は言葉が難しくて、わたしにとっては、ついていくだけで精一杯のハードな時間です。
でも、少なくとも、自分の目と耳で、彼らの体温の違いを感じることができて良かったと思います。

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米国(金融危機真っただ中の)住宅ローン事情

2008年10月03日 | 米国○○事情
ただ今旦那、我々の住宅ローンを組むために、プロ相手に奮闘しています
相手はその道で食ってるだけに、いろんなこと言うて脅したり宥めたり褒めたり、うまいです、さすがに。
旦那は、1件の電話が終わるたびに息を整え、どんなふうなことを言われたかを説明してくれるのだけど……

他人事だと思っていたサブプライム騒動。
去年の夏からもう、思いっきり問題だったのに、それをコソコソ隠し続けて、なんとかなるさと高をくくっていた金融業界。
日本の新聞には、サブプライムを低所得者と意味付けている記事がよく見られますが、ちょっとニュアンスが違います。
前回の記事にも書いたけれど、信用度が低い、優良でないっていう意味ですね。
なので、そこそこお金持ちでも、カードの支払いを怠ってたりしてる人達もお仲間です。
プライムってのは優良。サブプライムっていうのは優良の下、聞こえはいいけど不良に近い。
そういうサブプライムな人達の中に、家が欲しいったら欲しいねん!と、考え無しに家を買っちゃう方々が多かったんでしょう。
金貸しの連中、契約当初はまだしも、数年後にドカンと金利が上がったら絶対に返せんやろなあ、と分かっていながら、
恐ろしいほどの額のローンを大丈夫大丈夫、借りなはれって……逆恐喝詐欺ローン……とでも言えそうな犯罪的商売。

おかげさまで個人の信用格付け専門会社FICOさん、ローン会社からの委託を受け、わたしらのことを思いっきり調べてはります。
なかなか悔しいもんです。あんたらサブプライムやんかって断言されるのは。
所得が低いのは認めます。だって、事業を始めてまだ3年も経ってないのやもの。けど信用度が低いって……イヤな言葉です。
そして、その世界でいわゆる信用点数と呼ばれているポイントで、わたし達は評価され、
その点数を元に、ローン会社はお金を貸すか貸さないか、貸すにしても、どんな貸し方をするか、
まあほんと、うんざりするほどのややっこしい、数字の羅列と駆け引きが続いています。

この金融危機で目が覚めた(というか、自分達はアホだったと気づいた)業界は、
手のひらを返したように(というか、イヤらしいほど過剰に)厳しくなり、
今の信用度は今一だけど、将来性はありそうな?わたし達のような小市民を、めちゃんこ疑い深い目でもっていたぶりまくるのであります

こんな時期だけに、できるだけ低い金利で借りたい!と思うわたし達ですが、自営業コンビの行く末は不透明。
会社からお給料を貰って生活している人達のように、世間に発表されているレートで借りることは不可能なようです。
ポイントを買うといって、レートの数字を下げるために数字をお金で買う手もあるのだけれど、
そんなんに大金出して、月々の支払いが数十ドル(数千円)違うだけなら意味ないんちゃうかと……。
と、今まで覗き見したこともない世界にどっぷり浸かりまくってます。

早よ出てすっきりしたいぞぉ~!!
コメント (8)
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