ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

映画を作る人、映画に出る人、映画を観る人、何かをゼロから作ることはやっぱりワクワクする!

2012年01月14日 | 友達とわたし
大人生徒のトムの家で、短編映画製作のための寄付を募るパーティがあった。
トムは銀行屋で、相方のアレクサは写真家。前に、妊婦をモノクロで撮った美しい写真集を出版した女性。
トムの一人娘レミを教えていたのだが、途中からトムも習いたいと言ってきて、しばらくは親子二人を教えに彼らの家に出張していた。
少し前にレミが止め、トムも一緒に止めるかなと思っていたら、僕は全然止めるつもりはない、ということで、今はうちで教えている。
彼は長年、アイスホッケーを趣味でやっていて、めちゃくちゃ背が高い。
手も足もデカい。
なので、オクターブが違う意味で苦手。オクターブ以上の鍵盤をつい押さえてしまうのだ。
間違えると、小さな声で自分に悪態をつくので、それが可笑しくてよく笑う。
さすがにFワードは出てこないけど、いろんなバージョンの悪態を、わたしはトムから教わった。

さて、彼らの家の中に入ろう。


正面のピアノはとても古いアップライトで、すぐに調律が必至になるけれど、なかなかいいピアノ。
ピアノの右横の椅子が、わたしの席だった。


短編映画に出演する俳優さん。詩を読んでくれた。さすがにうまい。
 

彼は、脚本とプロデュースを担当している。彼も詩を読んでくれた。きっと俳優だと思う。惹き込まれた。


先程の俳優さんが再び。今度は歌。こんなふうに、その場に居る人達を魅了できるのはすばらしい。


主人公の女優さんの息子さん。グレイト・ギャツビーからの抜粋を朗読。


母であり女優、そして今回の映画の主人公のひとり。アンナ・カテリーナさん。トムのご近所さん。


ふたりで、映画の一場面、遠くに離れていて、電話で話しているという設定。
彼は美しい自然の中で、彼女は……どこだろうか……。


本職の女優さんというのは、レンズを通すと、周りの人達とは全く違う光を放っているのがよくわかる。


映画をよろしくぅ~の図。


この映画は、ブラームスのインターメッツォ4つの小品の曲からのイマジネーションで造られているのだそう。
わたしが一生涯弾き続けていきたいと思っている曲だったので、すごくワクワクしたし、その曲を弾いていた彼女の演奏にも心を打たれた。

その女性(写真右端)は、ピアニスト兼声楽家で、マンハッタンで小オペラを演じるグループを主催している。
夏にいつも2週間、テキサスでミュージックキャンプをやっていて、そこはもちろんのこと、普段のワークショップにもおいでと誘われた。
頑張って働くぞぉ~!


トムの家の中には、絵画がいっぱいかかっている。これは、レッスン中に、わたしのすぐ横で居てくれた絵。


一階のトイレのすぐ横には、


ちょっとしたテーブルも、


台所だって芸術だ!


これは、毎年ハロウィーンにやってくる近所の子供達の写真を、裏庭の彼女のスタジオで撮り、それをこんな風にひとつの絵のように作ったもの。
毎年撮るので、子供達の成長の様子がとてもよくわかるし、コスチュームを自分のアイディアで一所懸命作った子達にとっては、とてもいい思い出になる。

こんなんもありまっせ。


ひとり20ドルぽっちの募金で、美味しいワインを飲み、ビールを飲み、オードブルをいただき、いろんな人とおしゃべりを楽しみ、
そしてなによりも、すごく良質なパフォーマンスを観させてもらった。
ありがとう~トム&アレクサ!
映画は明日から撮影が始まる。
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死ぬか生きるかの場面でも、救急車を呼ぶか呼ぶまいか、散々迷わなければならない国

2012年01月14日 | 家族とわたし
旦那が撮ってくれたブルージェイ。


もうちょっとくっきりと。


裏庭にいつもいるカップルの片割れです。彼らはけっこうデッカイです。
バサバサと木から木へ飛んだり、イチャイチャしたりしてます。

旦那の2才上の姉が、ブルックリンにある会社の面接を受けるために、ペンシルバニアから泊まりがけでやってきました。
彼女は今、就活中。
彼女の夫は建築技師ですが、パーキンソン氏病にかかった母親を看病するために主夫になり、彼女が家の大黒柱となって働いてきました。

就職活動はこちらでもとても大変です。
彼女はわたしより6才年下の48才、こちらでは年令はあまり関係無く、その人のキャリアを重視してくれるとはいえ、やはりなかなか難しい。
すごくストレスになっていると思います。

冷たい雨が降った一昨日の朝早く出かけ、面接を無事に終え、義理の弟と一緒にベジタリアンのインドレストランで食事をし、弟のアパートに戻ったのですが、
その頃からなにか身体の調子がおかしくなり、あっという間に深刻な状態になってしまいました。

彼女はもともと、ピーナッツと大豆に激しいアレルギーを持っていて、万が一食べてしまうと、気管支が一気に膨張し、息ができなくなってしまいます。
子供の頃に1度、そして大人になってから1度、深刻な症状に陥り、救急車で運ばれたことがあるので、普段からすごく気をつけていました。
けれども、インディアン料理の、特にベジタリアンのソースやスープには、数えきれないほどのたくさんのスパイスや豆や野菜が煮込まれています。
それなのに、彼女いわく、ちょっと気が緩んでいたのが原因だったそうです。

ところが、そのアレルギーの症状が、深刻なのだけど、いつもとは全然違うものだったので、
救急車を呼ぼうかどうか、ものすごく迷ったのだそうです。
この国で生きていると、救急車を呼ばなければならないような事態に陥っても尚、呼ぶかどうか、皆がとても迷います。
一度呼んでしまうとまず、救急車に100ドル以上、救急治療に100ドル以上、下手をしたら1000ドル以上払わなければなりせん。
保険が利かないので実費です。
なので彼女も、次々に現れる奇妙な、そして恐ろしい症状に混乱しながらも、ギリギリのギリギリまで、横で心配している義弟に、電話をかけてと言えなかったのでした。
身体中に赤い斑点ができ、気管支は締めつけられていないのだけど声が出ず、座っていることもできなくなって初めて、手話で911の電話を頼んだそうです。

もちろん、最低限の治療だけしてもらい、さっさと退院。
病院に居る時間が長くなるとその分また請求がどっと増えてしまいます。
ガンの手術で大きな傷を作っても、それでも3日で退院してくるのが常識なのもそのせいです。
みんな、まだくっついてもいない傷を抱えながら、ソロソロと家の中に戻っていきます。

とりあえず無事に、昨日彼女はここに戻ってきて、旦那に鍼を打ってもらい、そして7才の娘と夫が待つ家に帰って行きました。

運が悪ければ死ぬかもしれないような状況の中でも、救急車を呼ぶか呼ばないか、それを文字通りウンウン唸りながら考えなければならない、
そんな悲惨な医療保険が堂々とのさばっているのがここアメリカなのです。
コメント (2)
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