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ジェフリー・ディーヴァー『12番目のカード』

2007-08-12 15:28:25 | ノンジャンル
 ジェフリー・ディーヴァーの'05年作品「12番目のカード」を読みました。全身マヒの犯罪学者リンカーン・ライムとその手足となって働く女性現場調査官アメリア・サックスのコンビ物の6作目です。
 16才の黒人の娘ジェニーヴァは、自分の祖先で解放奴隷で自分の農地を持ち、差別撤廃の運動を進めますが、運動資金の窃盗容疑で捕らえられたチャールズのことを博物館の図書館で調べていたところを白人の男に襲われます。その直後、図書館長も射殺されます。現場にはレイプに必要なものが入っているパックが残されており、ライムは強姦未遂事件として調査を開始します。現場から収集した微細証拠物件からポップコーンと綿飴が発見され、犯行時近くで屋台が出ていたところを調査し、犯人がレイプパックをひとそろい買ったという店がリトル・イタリー地区にあり当日屋台も出ていたということで、サックスは現場に急行し、レイプパックから匂ったジャスミンの匂いがする漢方薬屋がある建物に見当をつけ、赤外線カメラで犯人の居所に見当をつけ、踏み込もうとするが、ドアノブに高圧電流が流れていて、2人の警官が倒れる。中はもぬけの空でベッドの向こうの壁に作られた穴から脱出していた。その部屋の微細証拠物件から目薬が発見され、犯人は目が悪いこと、そして近所の聞き込みからしょっちゅう口笛を吹いていたことが分かります。犯人のトムソンは街中で追い詰められ、交差点で前に立つ女性を道路に押し出しバスにひき殺させて、皆の注目がそこへ集まっている間に逃亡します。トムソンは家族があり、恋人と娘のブリトニーと暮らしていました。トムソンは自宅近くのアジトで青酸ガス発生装置を作り、スキを見て少女が乗る車に取り付けますが、その現場を見られていたため、失敗します。そしてジェニーヴァはバイトに行くところを護衛の警官に捕まり、自分の父は自分を捨てて家を出、ドラッグ中毒の母は死に、それからは1人で地下室に住み、バイトをして自活していたことを告白します。身寄りがないことが公になると、田舎の里親にやらされたり、施設に入れられたりして、きちんとした教育を受けられなくなることを怖れたのです。ライムは殺しのやり方が死刑に準じたものであることに気付き、看守で目薬を必要とし口笛を吹く者を探し、サムソンが浮上します。サムソンは死刑執行人としてのキャリアを積んで行くうちに感情を無くしてしまいました。彼はそれを取り戻すため、新しい家族を手に入れましたが、平気で人を殺せるし、殺しを見ても何とも感じません。彼の自宅近くのアジトを家と勘違いして包囲する警察に対し、サックスは近くの家に避難を呼び掛けますが、ある家でサムソンの存在を示すものがあるものを見て、こっちが自宅だと気付きますが、サムソンは恋人の足を撃ち、そっちに気をひかせ、逃げようとします。サックスは迷いますが、サムソンを追い掛ける方を選び、最終的にサムソンを逮捕します。
 ということで、まだまだ先があるのですが、この辺までにしておきます。強姦未遂事件から宝石店の爆破事件、そして最後には思いも寄らぬ事件だったことが分かるという、ジェフリー・ディーヴァーお得意の二転三転するストーリー。ここでは省きましたが、トムソンと常に連絡を取り、少女を付け回すジャックスという男の意外な正体や、サックスの上司のセリットーの精神的な葛藤の話など、盛り沢山です。何せ500ページを超える2段組ですから、相当長い小説です。おおまかなあらすじだけでもレポート用紙9枚にもなりました。
 ただ、それだけ読みごたえもあり、最後はとても心暖まる終わり方になっています。まだ読んでない方にはオススメです。全編のあらすじは「Favorite Novels」の「ジェフリー・ディーヴァー」の項に載せておきましたので、興味のある方はどうぞ。