昨日の朝日新聞の夕刊に、盲ろうの人が博士号を取ったという記事が載っていました。目も見えず、耳も聞こえない人が「博士」になることは国内初で、世界でもきわめて稀だと言います。そんな彼の心を軌跡を負った記事を引用しようと思います。
「福島さん(45)は神戸市生まれ。3歳で右目を、9歳で左目を失明。さらに14歳で右耳の聴力を、18歳ですべての音を奪われた。
人とコニュミケーションできないことに、何よりもうちのめされた。救ったのが、母令子さん(74)が思いついた『指点字』だった。
点字は六つの点の組み合わせで50音などを表す。点字のタイプライターは両手の人指し指、中指、薬指の6本を使って打つ。令子さんは、同じように息子の6本の指先に打って言葉を伝えた。この方法を生かした『指点字通訳』で、福島さんは人とのコミュニケーションを取り戻した。(中略)
(盲ろうになって)無音漆黒の世界にたった1人、孤独と絶望のふちに沈んだ。盲学校では教師や友人が『指点字』で話しかけてくれたが、友人がいなくなると集団の中に独りぼっち。さらに深い孤独と絶望を味わった。
ある日、喫茶店で先輩が第三者の発言を指点字でそのまま『通訳』し、周囲の様子もラジオの実況のように伝えた。目の前がパッと開け、この世に戻ってきた気がした。
(博士)論文で最も伝えたかったのは『コミュニケーションにいのちを救われたということ」。盲ろうとは『コミュニケーションで大切な“感覚的情報の文脈”の喪失。相手の表情や声の調子などの“感覚的情報”がないと“文脈”もわからない。通訳という支援によってそれを取り戻し、再生する過程を伝えたかった』という。(後略)」
最後の部分は、私がヘルパー2級の資格を取る際にも、教えられたことです。人間の人へのものの伝え方は、声の出し方や、その時の表情、仕種などによる情報が5割以上を占め、実際に言った言葉の内容が相手に伝わる情報量は3割にも達しないと言うことでした。実際に今、介護の現場で働いていても、耳のほとんど聞こえない方に情報を伝えるには、言う言葉ももちろん大事ですが、そのことをどういった表情で、どういった仕種で伝えるかによって、言葉は聞き取れなくてもこちらの意思が向こうに伝わることがとても多くあります。耳の聞こえない人に対しては、まず笑顔。それによってこちらが心の壁を作ってないことを伝え、相手の方にも心の壁を作る必要がないことを伝えると、それ以降のコミュニケーションがスムーズになります。
先日、感動的な場面に出会いました。耳の遠い利用者の方に歩きながら話しかけた利用者の方がいらっしゃり、それ自体は別に珍しいことではないのですが、耳の遠い方はわざわざ席を立って近くまで来て下さり、「私は耳が遠くて、何をおっしゃってるのか、分からないの。ごめんなさいね。」と笑顔で謝っていたのです。私は何て優しい方なのだろう、とちょっとジーンとしてしまいました。こうした優しい方に囲まれて、仕事ができる私は幸せ者だな、と思ったりもしました。
コニュニケーションは本当に大事です。福島さんも言っているように、人の命を左右するものです。何を言うかではなく、どのように言うか、どういう気持ちをこめて言うか、に常に気をつけて、人を傷つけることなく生きていきたいものですね。
「福島さん(45)は神戸市生まれ。3歳で右目を、9歳で左目を失明。さらに14歳で右耳の聴力を、18歳ですべての音を奪われた。
人とコニュミケーションできないことに、何よりもうちのめされた。救ったのが、母令子さん(74)が思いついた『指点字』だった。
点字は六つの点の組み合わせで50音などを表す。点字のタイプライターは両手の人指し指、中指、薬指の6本を使って打つ。令子さんは、同じように息子の6本の指先に打って言葉を伝えた。この方法を生かした『指点字通訳』で、福島さんは人とのコミュニケーションを取り戻した。(中略)
(盲ろうになって)無音漆黒の世界にたった1人、孤独と絶望のふちに沈んだ。盲学校では教師や友人が『指点字』で話しかけてくれたが、友人がいなくなると集団の中に独りぼっち。さらに深い孤独と絶望を味わった。
ある日、喫茶店で先輩が第三者の発言を指点字でそのまま『通訳』し、周囲の様子もラジオの実況のように伝えた。目の前がパッと開け、この世に戻ってきた気がした。
(博士)論文で最も伝えたかったのは『コミュニケーションにいのちを救われたということ」。盲ろうとは『コミュニケーションで大切な“感覚的情報の文脈”の喪失。相手の表情や声の調子などの“感覚的情報”がないと“文脈”もわからない。通訳という支援によってそれを取り戻し、再生する過程を伝えたかった』という。(後略)」
最後の部分は、私がヘルパー2級の資格を取る際にも、教えられたことです。人間の人へのものの伝え方は、声の出し方や、その時の表情、仕種などによる情報が5割以上を占め、実際に言った言葉の内容が相手に伝わる情報量は3割にも達しないと言うことでした。実際に今、介護の現場で働いていても、耳のほとんど聞こえない方に情報を伝えるには、言う言葉ももちろん大事ですが、そのことをどういった表情で、どういった仕種で伝えるかによって、言葉は聞き取れなくてもこちらの意思が向こうに伝わることがとても多くあります。耳の聞こえない人に対しては、まず笑顔。それによってこちらが心の壁を作ってないことを伝え、相手の方にも心の壁を作る必要がないことを伝えると、それ以降のコミュニケーションがスムーズになります。
先日、感動的な場面に出会いました。耳の遠い利用者の方に歩きながら話しかけた利用者の方がいらっしゃり、それ自体は別に珍しいことではないのですが、耳の遠い方はわざわざ席を立って近くまで来て下さり、「私は耳が遠くて、何をおっしゃってるのか、分からないの。ごめんなさいね。」と笑顔で謝っていたのです。私は何て優しい方なのだろう、とちょっとジーンとしてしまいました。こうした優しい方に囲まれて、仕事ができる私は幸せ者だな、と思ったりもしました。
コニュニケーションは本当に大事です。福島さんも言っているように、人の命を左右するものです。何を言うかではなく、どのように言うか、どういう気持ちをこめて言うか、に常に気をつけて、人を傷つけることなく生きていきたいものですね。