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ジャック・ペラン製作・総監督『WATARIDORI』

2008-06-24 21:25:12 | ノンジャンル
 6月19日に発行されたフリーペーパー「R25」に、災害時、自宅から遠くにいる人は、すぐに帰宅すると道路が混雑し危険なので、しばらく安全なところに避難してから自宅に向かう「分散帰宅」がいいそうです。頭の隅に置いておくといいかもしれません。

 さて、NHK・BS2にて、「ロシュフォールの恋人たち」で水兵役を演じるなど、ヌーヴェル・ヴァーグ世代の1人、ジャック・ペランが製作・総監督した'01年作品「WATAEIDORI」を見ました。
 様々な鳥の様々な生態を記録した映画です。幼鳥に餌をやる親鳥、水鳥の群れ、V字で飛ぶカモ、足にからまった縄を取ろうとするカモ、荷馬車で羽を休める鳥、吹雪が過ぎるのを雪の中で待つガン、水面を立って走る鳥、水面上を滑空する鳥、コンバインで殺される、巣の中のヒナ、胸を鳴らしてメスを呼ぶ面白い格好の鳥、親鳥の羽毛の中から顔を出すヒナ、崖から海へ飛び下りるウミガラスの巣立ち、人間に撃ち落とされるワタリドリ、魚群のような大群で行く先を絶えず変えながら飛び回る鳥、餌をくれるおばあさんに寄っていき、手から直接餌を食べるツルたち、翼をケガしてカニの大群に生きながら食べられてしまう渡り鳥、水辺で餌の魚を採る水鳥たち、アマゾンで捕らえられた猿やインコ、荒れる海の海面を出入りして泳ぐペンギンの群れ、目の前で他の鳥にヒナを食べられてしまうベンギン、などなど。
 そして何よりも圧巻なのは、渡り鳥が渡る姿を、すぐ近くから鳥が飛ぶのと同じ速さで移動撮影するシーンです。横から、後ろから、上から撮っているのですが、どうやって撮っているのか、まったくの謎です。渡り鳥の飛ぶ姿のシーンになると字幕が出て、「ハイイロガン 移動距離3000キロ どこ~どこ」というようにどういう場所をどの位の距離移動するのかが示されます。全部で10種類ぐらいの渡り鳥が紹介されていましたが、一番すごいのはキョクアジサシ。何と北極圏と南極圏の間を1年間で往復するのです。距離にして地球一周分の4万キロ弱。
 渡り鳥の飛ぶ姿というのは、体が完全に一直線になって羽だけを羽ばたかせて直線的に滑るように飛ぶので、滑空感をすごく感じ、またひたすら羽を動かしている姿の健気さに感動し、魅了されました。
 そして印象的なシーン。東欧を縦断するアオガンは工業地帯を横切ります。工場の煙りで汚れた大気の中を飛ぶアオガンたち。休憩で降りたところは、工場排水で汚れ切った水路で、そこで油にはまり抜けだせなくなる鳥は目の前に死が待っています。私はこのシーンと、おばあさんの手から餌をついばむツルたちのシーンを見て、この映画を断片的に以前見たことがあることに気付きました。
 BGMもすばらしく、少ないナレーションも原版ではジャック・ペラン本人がされているということで、今回見たのは吹き替え版でしたが、次回は字幕版を見てみたい気がします。
 とにかくどうやって撮影したのだろう、とそればかり考えさせられた映画でした。たまにはこんな映画もいいんじゃないでしょうか? 無心で見られる映画です。