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上橋菜穂子『蒼路の旅人』

2008-06-17 18:38:19 | ノンジャンル
 昨日の全米オープンの結果を母に聞いたら「ボギーとパーでタイガー・ウッズが勝った」と言われ、18ホールの延長のはずなのに、変なこと言うな、と思っていたら、なんと!18ホールでも決着がつかず、サドンデスでタイガーが勝ったと知り、母の言ってたことが正しかったと分かりました。それにしても、すごい名勝負!生で見たかった!


 さて、上橋菜穂子さんの'05年の作品「蒼路の旅人」を読みました。
 今回は新ヨゴ皇国のチャグム皇太子が主人公です。南の大陸をほぼ制圧したタルシュ帝国は、北の島々からなるカンバル王国も滅ぼし、次の標的を北の大陸の小国である新ヨゴ皇国に定めます。カンバル王国から現在戦っているタルシュとの戦いに援軍を送って欲しいという親書を受け取った新ヨゴ皇国の帝は、罠である危険もあることから主力艦隊の3割程度の艦船を援軍として送る事にし、カンバル王国への誠意としてチャグム皇太子の祖父で帝の覚えが悪いチャグムを影から支えてくれていたトーサ大提督を援軍の指揮官として指名します。チャグムはむざむざと殺されにいくようなものだと帝にかみつき、怒った帝は「では、大提督と助けるために己も一緒に行くがいい」と援軍に加えられてしまいます。トーサは途中でやはり罠だったことに気付き、自分とチャグムの乗る旗艦だけで乗り込み、他の船は故国へ戻します。チャグムたちはタルシュ帝国の捕虜となり、トーサは帝から預かった艦船を敵に渡す訳にはいかない、と船に火をつけ、船と運命を共にします。チャグムたちは脱獄しますが、すぐにタルシュの密使ヒュウゴに捕まり、タルシュの都に連れていかれますが、ヨゴ皇国生まれで故国をタルシュに滅ぼされた経験を持つヒュウゴは、圧倒的な武力を持つタルシュに反抗し、多くの民を死なすよりは、大人しくタルシュの属国となるほうが犠牲が少なくて済むと言います。しかし、タルシュの都に行くまでの間に、夫や息子をタルシュに兵役でとられ、戦争で殺され嘆き悲しむ民の姿などを見ているうちに、チャグムはやはりタルシュの属国になるのは民にとって悲劇であり、北の大陸の3つの国が手を携えて、タルシュに対抗するべきだと考えるようになります。そして自分の父である帝を殺して、帝を弟に譲り、政治の実験は自分が握って臣下を説得して、タスシュの属国になる、と言ってタルシュの王子を騙し、船で故国に戻る途中で、チャグムは3つの国の一つロタ王国と手を結ぶため、海に飛び込んで危険な賭けにでるところで、この本は終わります。

 今までのシリーズと違って、これは話が途中で終わっているので、次がどうなるのか楽しみです。はでな戦闘シーンもなく、全体的にのんびりと話は進みますが、魅力的なキャラクター、特に常に民のことを考える行動力抜群で正義感あるれる15才の皇太子チャグム、16,7才にして海賊の頭領である少女セナや、謎の男ヒュウゴなどが楽しめるし、ほとんど海が舞台なので、海の風を感じる場面が多く、とても開放的な気分を味わえました。
 さあ、いかにしてチャグムは大帝国タルシュから故国を守るのでしょう、そして登場人物それぞれの運命やいかに。次作を読むのが今から楽しみです!
 なお、詳しいあらすじが知りたい方は、「Favorite Novels」の「上橋菜穂子」のコーナーに掲載しておきましたので、どうぞご覧ください。