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山田宏一『山田宏一の日本映画誌』

2009-06-21 15:09:00 | ノンジャンル
 山田宏一さんが'97年に出された「山田宏一の日本映画誌」を読みました。あとがきに書かれているように、本書は山田さんが映画評論を書き始めた1965年から現在まで、いろいろな形で日本映画について書いてきた文章のみ(インタビューや対談や座談会の類はのぞいて)を集めたものです。
 書かれている映画監督は(かっこ内は書かれている文章の数、かっこがないものは1つ)、今村昌平、黒澤明(14)、羽仁進(3)、市川崑、山田洋次(3)、森谷司郎、増村保造(4)、東陽一(2)、マキノ雅弘(3)、土本典昭、深作欣二、野田幸男、小谷承靖、佐々木昭一郎、羽田澄子、村川透、浦山桐郎、柳町光男、稲垣浩、小沼勝、小栗康平、木下恵介、小津安二郎(4)、大島渚、藤田敏八、田中登、三村晴彦、森崎東(2)、神代辰巳(2)、澤井信一郎(2)、生野慈朗、青池憲司、筒井武文、柄本明、今井正、豊田四郎、成瀬巳喜男、溝口健二、谷口千吉、伊勢真一、諏訪敦彦、荒井晴彦。これ以外にプログラム・ピクチャー讃として、「座頭市」シリーズ、にっぽんB級映画、「忍びの者」シリーズについて語った文章が収められています。
 本のために書いたのではなく、これまで書かれてきた文章をまとめた本なので、明らかに注文仕事として書かれた、あまり熱意の感じられない文章もあり、「恋の映画誌」のように狂った文章は、若尾文子や杉本美樹について書かれた文章などに限定されているように感じましたが、その一方で、未知の映画として見たい欲望をかきたたせてくれたのは、草刈正雄主演の「激突!若大将」、テレビ番組「紅い花」、明石屋さんま・大竹しのぶ主演の「いこかもどろか」(これは一時期追っていました)、ドキュメンタリー映画「ベンポスタ・子ども共和国」などでした。そしてこの本が画期的なのは、山田さんが60年代に元祖カイエ・デュ・シネマに投稿した文がフランス語の原文のまま掲載されていることです。ということで、これまで山田さんの文章を読みのがしてきた方には文句無しにオススメです。