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早川いくを『へんないきもの三千里』

2009-08-23 14:59:00 | ノンジャンル
 早川いくをさんの'07年作品「へんないきもの三千里」を読みました。
 意中の男子に振り向いてもらうため、兄の飼ってるガマガエルをなめるまじないをして失神した小6のユカリは、気がつくと空から落ちていて、オオナガトゲグモの巣に捕らえられ、サムライアリの奴隷となり、川に落ちてアンヒューマに食べられ、チョウの助けで海に向かう魚につかまることができますが、海ではパロロに精子をかけられ、人に食べられて血管内で生体防御システムの攻撃を受け、海に戻ってマルバギンポと一緒に、人の世界への戻り方を知ることができるという知恵者の森へと向かい、ウバザメに飲み込まれ、ギンポを殺されて一人で深海へ行き、クラセンウナギに食われ、やっと知恵者の森に到着して教えられた通りに海の湖に飛び込み、人間の世界に戻ってきます。そして生き物たちを救うため父にリゾート計画を中止してもらい、それまでは嫌いだった生き物の係りに立候補すると、意中の男子も同じ生き物係りになっているのでした。
 自然や生き物の大切さをお話を通して学んでもらうとともに、不思議な生き物をも紹介するという学習教材のような構成になっていますが、父の会社の強引なリゾート計画や母の戦略的な宝石店経営の様子や新興宗教へののめり込み振りなどの話は、子供が読んで果たして楽しめるのかどうか疑問でした(ちなみに大人の私はこの部分は飛ばし読みしました)。へんないきものの部分は今回も面白く、本物の魚としか思えない擬態をするランプシリスという貝、性細胞でふくれあがると下半身が上半身から離脱して、なぜか日時と場所を察知して乱交パーティに参加するパロロ、クラゲに乗って移動するウチワエビの幼生、ホヤなどを襲って中身だけをたいらげ、残った樽状の外壁の中に住居を構えるオオタルマワシ、巨大化した鋏脚により強烈な音響を発生させ、その衝撃波で獲物を「撃墜」するテッポウエビ、雄が自分の十数倍もある雌の腹に噛み付くと、口も内臓器官も退化させ、単なる生殖器に成り下がってしまうオニアンコウ、指をたくさん持つ多数の足と指を持たない多数の足を持ち、角二つだけで目がないウシナマコなど、寺西晃さんのイラストとともに楽しめました。いきものの紹介の部分だけならオススメです。