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高橋源一郎・山田詠美『顰蹙文学カフェ』

2009-08-25 17:37:00 | ノンジャンル
 高橋源一郎さんと山田詠美さんの対談集「顰蹙文学カフェ」を読みました。月刊誌「群像」に'05年から'08年にかけて連載されたものに、源一郎さんの前書きと詠美さんのあとがきを加えたものです。
 '04年11月18日に行われた源一郎さんと詠美さんのオープニング対談「『顰蹙』買えたら、作家は一人前」、'05年2月15日に島田雅彦さんをゲストに行われた「無視されるより、けなされたい」、'05年6月15日に中原昌也さんをゲストに行われた、小説を書くのが嫌でしょうがないと言う中原さんに、二人が小説家が天職なのだと説得し続ける「『書く』ことが恥ずかしい」、'05年10月18日に車谷長吉さんをゲストに行われた「『世捨て人』になりたかった‥‥」、'06年5月9日に古井由吉さんをゲストに行われた、文学賞についての対談「『権威』からの逃亡」、'08年1月22日に瀬戸内寂聴さんをゲストに行われた「長生きすると、顰蹙は『昇華』する」、以上6編の対談が収められています。
 どれも楽しい対談で読んでいて何度も笑ってしまい、しかも中原さんを除いて皆顰蹙を買うことを肯定的に考えているやんちゃな面が横溢していて気持ちのいいものでした。これらの対談から読んでみたいと思った本は舞城王太郎さんの本、源一郎さんが圧倒的な傑作という酒見賢一さんの「後宮小説」、詠美さんが大好きという星野智幸さんの本、やはり詠美さんが好きだと言う吉田修一さんの「パレード」、真面目に言葉遊びやってる一番おもしろい種類の小説だと詠美さんがいう、源一郎さんの「官能小説家」、源一郎さんがむちゃくちゃおもしろかったという後藤繁雄さんの「独特老人」、詠美さんがお小遣いで買ったというロレンス・ダレルの「アレキサンドリア四重奏」、車谷長吉さんの「赤目四十八瀧心中未遂」と同じく車谷さんの作品で詠美さんが精神病院に入院した友人に持っていってあげたという「飆風(ひょうふう)」、源一郎さんが最高だというトーマス・マンの「ブッデンブローク家の人々」、源一郎さんがエンターテイメントぽくってすごく好きだという古井由吉さんの「櫛の火」でした。また、この本で知ったことは、島田雅彦さんが金井美恵子さんからの攻撃を受け続けていること、源一郎さんが5回も結婚していること(最初の離婚までしか知りませんでした)でした。これほど濃密な内容の本は身近に置いておきたいような気もします。文句無しにオススメです。