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ガス・ヴァン・サント監督『誘う女』

2010-04-13 18:22:00 | ノンジャンル
 ガス・ヴァン・サント監督の'95年作品「誘う女」をDVDで見ました。
 「ニューハンプシャー州 リトルホープ」の字幕。「お天気キャスター、殺人事件の容疑者に」の新聞記事と、それをセンセーショナルに報道するマスコミ。イタリア人の家族を持ち、父が大きな酒場を経営しているラリーは、店でスザーン(ニコル・キッドマン)と知り合い、そのセックスの虜になります。スザーンの両親はラリーが高卒しか出ていないのと家柄の違いを理由に結婚に反対し、ラリーの両親はイタリア人でないことでやはり反対、ラリーの姉は自意識過剰のスザーンを警戒しますが、結局二人は結婚します。幼い頃からテレビの出演者になるのが夢だったスザーンは新婚旅行先でテレビ界の大物と寝ることで売り込みのノウハウを得て、早速地元の地方テレビ局に強引に自分を売り込み、やがてお天気キャスターを任されるようになります。落ちこぼれの高校生のドキュメンタリーを撮る企画を自ら立て、ジミー、リディア、ラッセルの3人の高校生を手持ちカメラで取材するうちに、ジミーとリディアはスザーンに好意を抱くようになります。ラリーの姉はスザーンの自分勝手な行動を止めるようにラリーに進言し、彼はもうすぐ自分のものになる父の酒場で、今後は一緒に働こうとスザーンに言いますが、スザーンはそれを聞いた瞬間にラリーを殺す決心をし、ジミーらを使ってラリーを射殺させ、自分はテレビに出演することでアリバイ工作をしますが、すぐにジミーらの犯行はばれ、警察がリディアに仕込んだ盗聴器によってスザーンの言質も取られますが、裁判ではそのテープが証拠としては採用されず、1審は無罪判決が出ます。裁判所から出てきたスザーンは、多くのマスコミのマイクの前で、実はラリーはコカイン中毒で、ジミーらにもコカインを強引に売り付けていたので事件が起きたという嘘を堂々と話し、それを聞いたラリーの父は激怒して、マフィアに頼みスザーンを殺させるのでした。
 画面の構図は素晴らしく、撮影も美しいのですが、照明だけで時間の経過を表すとか、画面分割、イメージショットのスローモーションなどのテクニックには技に溺れたというような印象を受けました。全体の構成は正面のカメラに向かって話すキャスター然としたスザーンと、取材カメラにスケートリンク上で話すラリーの姉、テレビ番組に出演しているスザーンとラリーのそれぞれの両親、刑務所でのジミー、そしてリディアの証言の間に、スザーンの実際の行動が映し出されるという構成を取っていて、それはそれなりに面白い効果を上げていたと思います。しかし、登場人物に感情移入できる人物が少なく、見ているうちに息苦しくなるほどだったのである一方、高校生のジミーとリディアがリアルに描けていたことが、後の傑作「エレファント」に繋がっていくのかなあとも思いました。ニコル・キッドマンが好きな方にはオススメかも。