gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

アンソニー・マン監督『ララミーから来た男』

2010-04-21 11:22:00 | ノンジャンル
 アンソニー・マン監督の'55年作品『ララミーから来た男』をDVDで見ました。
 「撮影に協力してくれたニューメキシコ州の住民に感謝します」という字幕。連発銃を持ったアパッチに襲撃されて弟を殺されたロックハート(ジェームズ・スチュワート)は、連発銃をアパッチに売った白人を突き止め復讐するために、運び屋をやりながらある町に辿り着きます。知り合った若い女性バーバラに塩湖の塩が無料であることを聞き、ララミーへ積んで戻ろうとすると、その町を牛耳るバーブ牧場の息子デイヴが手下たちとともにやってきて、自分たちの塩を勝手に盗もうとしたと言いががりをつけ、ロックハートを馬で引きづり、馬車をすべて燃やし、その上に馬もすべて殺そうとしますが、そこへトラブルメイカーのデイブの監視役であるヴィック(アーサー・ケネディ)がやって来てデイブを連れて帰ります。ロックハートは町に戻ると、そこにやって来たデイヴを殴り倒し、止めに入ったヴィックとも乱闘となります。デイヴの父でバーブ牧場主でもあるアレック(ドナルド・クリスプ)は、ロックハートに馬車などの弁償代を上回る金を支払った上で町をすぐに出てくれと彼に頼みますが、ロックハートは拒否して町に留まり、2日以内にアパッチが連発銃を200丁手に入れるとの情報を得て、銃の隠し場所を捜しまわります。デイヴは彼を殺そうとしますが、反撃され右手に傷を負います。デイヴの手下に囲まれ捕まったロックハートはデイヴに右手を撃ち抜かれてしまいます。デイヴは連発銃を隠していた岩山の頂上にヴィックと行き、アパッチに引き渡そうとしますが、感情の行き違いからヴィックはデイヴを射殺してしまいます。アレックは犯人をロックハートと思い込み復讐に向かいますが、返り討ちされロックハートは無実を主張します。やがてアレックは帳簿上の不正を発見し、ヴィックに説明を求めますが彼の説明に納得がいかず、自ら武器の隠し場所と思われる岩山の頂上に向かいます。ヴィックはそれを止めようとしますが、アレックが聞こうとしないため、崖からアレックを突き落としてしまいます。ロックハートによって発見されたアレックは一命を取りとめ、ロックハートが探している男がヴィックであることをロックハートに教えると、ロックハートは岩の頂上でアパッチに合図を送っているヴィックを捕え、登ってくるアパッチたちに向かって銃を積んだ馬車を落として撃退し、ヴィックにその場を去らせます。ヴィックは銃をもらえなかったアパッチたちの怒りを買って射殺されます。ロックハートは無事復讐を果たし、バーバラにララミーで待っていると告げて町を去るのでした。
 以上のあらすじだけでも人間関係が錯綜していることが分かっていただけると思いますが、これ以外にもアレックの元許嫁の女牧場主とか、ロックハートを襲う謎の男(ジャック・イーラム)などのエピソードもあり、長い長い西部劇でした。また、登場人物たちは決して笑わず(笑うのは女牧場主ぐらい)まさに50年代のアメリカを象徴する重苦しさを感じた映画でもありました。蓮實先生が盛んに言う「アンソニー・マンの坂」についても意識的に見たのですが、険しい岩山へ馬で登っていくシーンや、崖から人や物が落ちるシーン、ロックハートとその仲間のチャーリーが会うのもやはり岩山の上といった感じで、確かに岩山の坂を舞台として導入することで映画的な空間が実現されていたように思います。50年代の鬱屈した雰囲気を味わいたい方には特にオススメです。