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百田尚樹『聖夜の贈り物』

2010-04-16 16:22:00 | ノンジャンル
 百田尚樹さんの'07年作品『聖夜の贈り物』を読みました。クリスマスイブを舞台にした短編集です。
 第1話「魔法の万年筆」は、恵子がホームレスに食事を与えると、そのホームレスは自分はサンタであると言って、それで書くと3つの願いが叶うという鉛筆を万年筆と呼んで恵子にくれ、恵子は身近な人の幸福を願う願いごとをすると、本当にどれもが現実となり、それが恵子の幸福につながっていくという話。
 第2話「猫」は、雅子が拾って来て飼っていた猫が、憧れの派遣先の社長が以前飼っていた猫だということが分かり、社長は雅子に正社員になってほしいと言い、また雅子に求婚する話。
 第3話「ケーキ」は、不幸な生い立ちの末期ガンの若い女性が、その意識の中で幸福な人生を一瞬の中で送り、年老いた姿で微笑みながら死んでいく話。
 第4話「タクシー」は、以前スチュワーデスだと嘘をついて付き合った生涯唯一の恋人だった男の話を私がタクシーの中で酔ってしていると、タクシーの運転手が自分がその男であり、彼も自分の身分を偽っていて、ずっと彼女を探し求めていたと告白する話。
 第5話「サンタクロース」は、最愛の両親を早く亡くし、恋人も事故で失い絶望した和子が、お腹の子供とともに自殺しようと森でさまよっていると、サンタ姿をした教会の牧師に出会い、彼のおかげで自殺を思いとどまってお腹の子とともに生きる気持ちになり、牧師が予言していたように幸せな人生を現在送っているのですが、その息子に牧師の手にあったのと同じ聖痕があるのを発見するという話です。
 登場人物にリアリティがなく、作り物めいた話ばかりで全くノレませんでした。'06年の『永遠のゼロ』、'08年の『ボックス!』が感動的な作品だっただけに、'07年のこの作品、そして'09年の『風の中のマリア』と、同じ百田さんの作品かと疑いたくなるほどの落差を感じました。嘘を絵に描いたようなクリスマス・ストーリーをお求めの方にはオススメかも。