またまた昨日の続きです。
11番目のエピソード。正義の味方となった沢蟹まけるに、取りあえずヒーローにふさわしいコスチュームを準備しようとしていた沢蟹一族は、「沢蟹まける」の商標登録もしに行こうとしますが、再び現れた例の医師がそれを邪魔しようとします。沢蟹の古老はまた臼を呼び、雨傘をさして潰されまいとする医師をまた潰してもらい、医師はほうほうの体で逃げ出します。
12番目のエピソード。「意思の力」と「行為を特徴づける手段」がちぐはぐになってしまった例が3つ述べられます。大量殺人犯の発言。テロ特殊行動班の見事な失敗ぶり。どこから見ても真犯人である男が自らの無罪を主張する発言。そして、最後、意思の力が見事に発揮された例として、ハードボイルド小説において美女に対しクールに振る舞う私立探偵の言動が語られます。
13番目のエピソード。会社を裏切った沢蟹まけるを殲滅するため、マングローブ社によって3人の怪人、イカジンジャー、ブタジンジャー、ネギジンジャーが用意されますが、やがてこの作戦の立案者である会長が既にこの作戦に飽きてしまっていることを知った責任者の牡蠣浜本部長は激しく脱力します。しかしそこへ現れた秘書室の蟻丘は、既に世界制服装置を完成させている漆腹博士をその装置ごと奪い、それを阻止せんと現れるであろう沢蟹まけるを殺す計画を本部長に話し、本部長らは音妙寺博士の妨害にもめげず、漆腹博士の誘拐と装置の強奪に成功します。しかし、その後、作戦の疲れを癒すため、湯に浸かっていると、やがて狸に化かされていたことに気付き、あったはずの博士も装置も消えているのでした。
14番目のエピソード。沢蟹まけるが戦いを始める前のオープニングナレーションを考える沢蟹一族。しかし沢蟹まけるは敵を前にすると、闘志に身を焦がされて失神してしまうことが明らかとなります。そこで一族は自分たちが合体して大きな蟹となり、悪者と戦うことに決めますが、そこへ懲りない医師がまた現れ、火炎放射器で彼らを焼き殺そうとし、また臼に潰され、ほうほうの体で逃げ出します。
15番目のエピソード。出勤指揮者に率いられた一団と駅員の一団の乱闘がまた始まろうとした時、駅長は息子である出勤指揮官に、出勤指揮官の妹であり駅長の娘でもある乙女が、駅舎の屋根の上の十字架に架けられているのを示し、妹の命が惜しければ武器を捨てて撤退しろと迫ります。出勤指揮官が降参しようとしたその瞬間、以前娘に手を差し伸べたことのある男が現れて娘を十字架から降ろし、出勤指揮官は改めて駅長に突進し、駅長は倒れます。乱闘が始まろうとしたその瞬間、また別の男が現れ、無益な戦いを止め、団結して本来戦うべき相手と戦おうと扇動すると、2つの群れは一体化します。すると駅舎の上にまた「あなたがたは試されている」と告げる掲示板が現れ、それが爆発した後、マングローブの会長が姿を現し、自らの世界制服の野望のために意思の力を捧げるように呼びかけ、それに民衆が抵抗すると、会長はホタテジンジャーに変身し、意思の力吸引装置によって無理矢理民衆の意思の力を吸収し、民衆を無力化します。かくて会長の世界制服の野望は果たされたと思いきや、会長の体から出ていた紐を音妙寺博士が引っ張ると、会長の体はこなごなに砕け散ります。そして無数の破片となった会長の体を民衆たちは拾い、自らの意思の力を取り戻して、それぞれの場所に帰っていくのでした。
豊崎由美さんが対談本『読まずに小説書けますか』の中で語っているように、単なるコミック・ノベルというだけでなく、「意思の力をめぐる哲学的考察を示し」ている部分では、至ってまともな議論がなされており、非常に興味深く読ませてもらうとともに、「まじめ」や「ふまじめ」という線引き自体があまり意味がないことを教えてくれる希有な小説でもありました。今年はこうした小説と立て続けに出会えて、また少し世界が広がったような気がしています。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
11番目のエピソード。正義の味方となった沢蟹まけるに、取りあえずヒーローにふさわしいコスチュームを準備しようとしていた沢蟹一族は、「沢蟹まける」の商標登録もしに行こうとしますが、再び現れた例の医師がそれを邪魔しようとします。沢蟹の古老はまた臼を呼び、雨傘をさして潰されまいとする医師をまた潰してもらい、医師はほうほうの体で逃げ出します。
12番目のエピソード。「意思の力」と「行為を特徴づける手段」がちぐはぐになってしまった例が3つ述べられます。大量殺人犯の発言。テロ特殊行動班の見事な失敗ぶり。どこから見ても真犯人である男が自らの無罪を主張する発言。そして、最後、意思の力が見事に発揮された例として、ハードボイルド小説において美女に対しクールに振る舞う私立探偵の言動が語られます。
13番目のエピソード。会社を裏切った沢蟹まけるを殲滅するため、マングローブ社によって3人の怪人、イカジンジャー、ブタジンジャー、ネギジンジャーが用意されますが、やがてこの作戦の立案者である会長が既にこの作戦に飽きてしまっていることを知った責任者の牡蠣浜本部長は激しく脱力します。しかしそこへ現れた秘書室の蟻丘は、既に世界制服装置を完成させている漆腹博士をその装置ごと奪い、それを阻止せんと現れるであろう沢蟹まけるを殺す計画を本部長に話し、本部長らは音妙寺博士の妨害にもめげず、漆腹博士の誘拐と装置の強奪に成功します。しかし、その後、作戦の疲れを癒すため、湯に浸かっていると、やがて狸に化かされていたことに気付き、あったはずの博士も装置も消えているのでした。
14番目のエピソード。沢蟹まけるが戦いを始める前のオープニングナレーションを考える沢蟹一族。しかし沢蟹まけるは敵を前にすると、闘志に身を焦がされて失神してしまうことが明らかとなります。そこで一族は自分たちが合体して大きな蟹となり、悪者と戦うことに決めますが、そこへ懲りない医師がまた現れ、火炎放射器で彼らを焼き殺そうとし、また臼に潰され、ほうほうの体で逃げ出します。
15番目のエピソード。出勤指揮者に率いられた一団と駅員の一団の乱闘がまた始まろうとした時、駅長は息子である出勤指揮官に、出勤指揮官の妹であり駅長の娘でもある乙女が、駅舎の屋根の上の十字架に架けられているのを示し、妹の命が惜しければ武器を捨てて撤退しろと迫ります。出勤指揮官が降参しようとしたその瞬間、以前娘に手を差し伸べたことのある男が現れて娘を十字架から降ろし、出勤指揮官は改めて駅長に突進し、駅長は倒れます。乱闘が始まろうとしたその瞬間、また別の男が現れ、無益な戦いを止め、団結して本来戦うべき相手と戦おうと扇動すると、2つの群れは一体化します。すると駅舎の上にまた「あなたがたは試されている」と告げる掲示板が現れ、それが爆発した後、マングローブの会長が姿を現し、自らの世界制服の野望のために意思の力を捧げるように呼びかけ、それに民衆が抵抗すると、会長はホタテジンジャーに変身し、意思の力吸引装置によって無理矢理民衆の意思の力を吸収し、民衆を無力化します。かくて会長の世界制服の野望は果たされたと思いきや、会長の体から出ていた紐を音妙寺博士が引っ張ると、会長の体はこなごなに砕け散ります。そして無数の破片となった会長の体を民衆たちは拾い、自らの意思の力を取り戻して、それぞれの場所に帰っていくのでした。
豊崎由美さんが対談本『読まずに小説書けますか』の中で語っているように、単なるコミック・ノベルというだけでなく、「意思の力をめぐる哲学的考察を示し」ている部分では、至ってまともな議論がなされており、非常に興味深く読ませてもらうとともに、「まじめ」や「ふまじめ」という線引き自体があまり意味がないことを教えてくれる希有な小説でもありました。今年はこうした小説と立て続けに出会えて、また少し世界が広がったような気がしています。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)