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アラン・レネ監督『二十四時間の情事』その2

2011-08-19 05:46:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 ヒロシマの夜景。川面の光の反射を受けながら、食堂でビールの入ったコップを手に持って男と向かい合い、恋人の死後、頭を丸刈りにされて、父に地下室に閉じ込められ、自らの血の味を覚えたと語る女。時間に癒され、やがて人生に立ち戻る一方、彼との記憶が失われていくのが怖かったとも女は語ります。彼が死んだ日の記憶が甦り、彼の死の記憶へのめり込んで行く彼女にビンタを張って、彼女に正気を取り戻させる男。あの日も正気を取り戻すと、母はすぐに彼女に金を持たせてパリに旅立たせてくれたと彼女は語ります。
 「今夜のこともいずれ忘れる」と女は言いますが、男の問いかけに対し、元恋人のことは今の夫には話したことがないと女が言うと、男は喜び、彼女を抱きしめます。忘却の、そして恐怖の恋の物語として、将来、君のことを思い出すだろうと語る男。
 女は男と別れた後、ホテルの自室に戻り、男に元恋人のことを話すことによって、元恋人の死を認めてしまった自分に腹を立てる一方で、男とヒロシマに残りたいとも思い、気持ちが揺れ動きます。夜の町を徘徊する女は、故郷の街並を思い出します。
 雨が降り始め、やがて広島駅へ。男は追ってきますが、女は心の中で「こんな恋は捨てて、故郷に帰ろう」と言います。タクシーで深夜喫茶に向かう女と、それを追う男。
 そして夜が明けます。結局女はホテルの自室に男を入れてしまいますが、女は「すべて忘れる!」と絶叫した後、男に「あなたの名はヒ・ロ・シ・マ、ヒロシマ」と告げ、男も「君の名はヌベールだ」と言い、映画は終わります。

 マルグリット・デュラスの脚本がすばらしく、またジョルジュ・ドルリューとジョヴァンニ・フスコによる音楽も印象的で、総体的には、全92分のうち、女性の顔が現れるまでの冒頭の15分が特に素晴らしいと思いました。ひたすら岡田英次が女を口説き続ける場面は冗長でしたが、夜の食堂で川面のきらめきの反射が二人の姿を浮出たせるシーンや、ドライヤーやブレッソンを思わせる、映画撮影現場での看板や垂れ幕の行進を仰角で撮ったシーンなどは忘れがたい名場面だったと思います。まだ見ていない映画好きな方がいらっしゃるようでたら、必見の映画です。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/