オリヴィア・ニュートン=ジョンのライヴを見て、さっそく彼女のベスト・アルバムを入手し聞いたところ、彼女がイギリスのレーベルでデビューし、そのキャリアの大半をジョン・ファーラーというプロデューサー兼ソングライターとともに築いたことを知りました。また『フィジカル』で一皮むけたのが、あの80年代に入ってすぐだったことも再認識しました。
さて、昨日の続きです。
最後の歴史については、ゴダールが1940年代から60年代初めにかけて自らに影響を与えた映画について語った『映画史』を、女性という切り口から語るという試みがなされていて、アンリ・ラングロワの盟友だったメリー・メールソン、ロッテルダム映画祭の運営を支えるなどしたモニカ・テゲラールの名前から始まり、ハリウッドのメジャーな撮影所が危機に陥った頃、それまでのスターの地位を捨て、自ら監督として独立プロでB級映画を撮り始めたアイダ・ルピノ、商品化された女性の典型としての『ギルダ』におけるリタ・ヘイワース、『バンド・ワゴン』において感動的なダンスを見せるシド・チャリシー、ゴダールが19世紀の病であるヒステリーとの類似を見た『東への道』におけるリリアン・ギッシュ、『無防備都市』のアンナ・マニアーニらについて語られ、ロッテ・アイスラーに教えられて時代に遅れて見ることができたムルナウの『サンライズ』の市街電車、アルドリッチの『カリフォルニア・ドールズ』の女性の身体性、『捜索者』でのナタリー・ウッドなどにも言及した後、『映画史』のラストに現れる黄色いバラ、そこから想起されるチャップリン、そしてやはり『映画史』のラストに現れる、オーソン・ウェルズとも結婚したことのあるシュザンヌ・クルーティエの映像を謎として提示して、講演は終わります。
今まで様々な場で先生が断片的に語られていたことが、とても整理されて語られているので、映画に対する見方という点で大変勉強にはなったのですが、一方、ゴダールもかくやと思われる相変わらずの強弁ぶりは、読んでいて思わず笑ってしまうほどでした。中でもイングリッド・バーグマンに向けられた「悪意」は相当なもので、先生を前にしてはバーグマン為す術なしといった感じでしたが、私は先生が敢えて無視していると思われる『ヨーロッパ1948』など忘れがたい映画もバーグマンにはあったことを付け加えておきたいと思います。
私は東京大学に通っていた頃、先生と数々の確執を生み、その際、先生には大変ご迷惑をおかけしてしまったのですが、今冷静になって先生の本を読んでみると、私が一見してスゴイと感じ、すぐにDVDに焼き付けて保存した『サンライズ』における市街電車や、溝口の『鶴八鶴次郎』などに先生が触れられていることで、改めて先生との縁を感じたりもした本でした。この本で言及されていた、ジャン=ピエール・リモザンの『NOVO』や溝口健二の『マリヤのお雪』、アイダ・ルピノの『重婚者』は、今後機会があれば是非見てみたいと思います。59ページに掲載されている『マリヤのお雪』のラストシーンのショットを見るためだけにでも手に入れる価値がある、そんな素晴らしい本でした。
さて私事で恐縮ですが、本日から1泊2日の予定で西伊豆へ行ってきます。ということで、明日はこちらのアップはお休みさせていただきます。もし読まれている方がいらっしゃいましたら、ご了解のほど、宜しくお願いいたします。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
さて、昨日の続きです。
最後の歴史については、ゴダールが1940年代から60年代初めにかけて自らに影響を与えた映画について語った『映画史』を、女性という切り口から語るという試みがなされていて、アンリ・ラングロワの盟友だったメリー・メールソン、ロッテルダム映画祭の運営を支えるなどしたモニカ・テゲラールの名前から始まり、ハリウッドのメジャーな撮影所が危機に陥った頃、それまでのスターの地位を捨て、自ら監督として独立プロでB級映画を撮り始めたアイダ・ルピノ、商品化された女性の典型としての『ギルダ』におけるリタ・ヘイワース、『バンド・ワゴン』において感動的なダンスを見せるシド・チャリシー、ゴダールが19世紀の病であるヒステリーとの類似を見た『東への道』におけるリリアン・ギッシュ、『無防備都市』のアンナ・マニアーニらについて語られ、ロッテ・アイスラーに教えられて時代に遅れて見ることができたムルナウの『サンライズ』の市街電車、アルドリッチの『カリフォルニア・ドールズ』の女性の身体性、『捜索者』でのナタリー・ウッドなどにも言及した後、『映画史』のラストに現れる黄色いバラ、そこから想起されるチャップリン、そしてやはり『映画史』のラストに現れる、オーソン・ウェルズとも結婚したことのあるシュザンヌ・クルーティエの映像を謎として提示して、講演は終わります。
今まで様々な場で先生が断片的に語られていたことが、とても整理されて語られているので、映画に対する見方という点で大変勉強にはなったのですが、一方、ゴダールもかくやと思われる相変わらずの強弁ぶりは、読んでいて思わず笑ってしまうほどでした。中でもイングリッド・バーグマンに向けられた「悪意」は相当なもので、先生を前にしてはバーグマン為す術なしといった感じでしたが、私は先生が敢えて無視していると思われる『ヨーロッパ1948』など忘れがたい映画もバーグマンにはあったことを付け加えておきたいと思います。
私は東京大学に通っていた頃、先生と数々の確執を生み、その際、先生には大変ご迷惑をおかけしてしまったのですが、今冷静になって先生の本を読んでみると、私が一見してスゴイと感じ、すぐにDVDに焼き付けて保存した『サンライズ』における市街電車や、溝口の『鶴八鶴次郎』などに先生が触れられていることで、改めて先生との縁を感じたりもした本でした。この本で言及されていた、ジャン=ピエール・リモザンの『NOVO』や溝口健二の『マリヤのお雪』、アイダ・ルピノの『重婚者』は、今後機会があれば是非見てみたいと思います。59ページに掲載されている『マリヤのお雪』のラストシーンのショットを見るためだけにでも手に入れる価値がある、そんな素晴らしい本でした。
さて私事で恐縮ですが、本日から1泊2日の予定で西伊豆へ行ってきます。ということで、明日はこちらのアップはお休みさせていただきます。もし読まれている方がいらっしゃいましたら、ご了解のほど、宜しくお願いいたします。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)