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吉成真由美編『知の逆転』その1

2013-07-06 08:57:00 | ノンジャンル
 今日は27歳で亡くなったスコット・ラファロの53回忌です。ビルとの名演を2年余り分残しただけで、あの世に旅立たれたラファロのご冥福を改めてお祈り申し上げます。

 また、朝日新聞で山根貞男さんが紹介していた、三池祟史監督の'12年作品『愛と誠』をスカパーの東映チャンネルで見ました。ファンタジーとしての原作の映画化としてミュージカルの形を取ったことは成功していて、妻夫木聡の大河誠、武井咲の早乙女愛というキャスティングも素晴らしく、オレンジや黄色を基調としたポップな画面は時として鈴木清順を想起させもする過激さで、楽しませてくれました。ちなみにミュージカル場面で使われていた曲は西条秀樹の『激しい恋』、『空に太陽があるかぎり』、『あの素晴らしい愛をもう一度』、『夢は夜ひらく』、『狼少年ケンのテーマ』、『酒と泪と男と女』、『また逢う日まで』でした。

 さて先日、言語交流研究所&ヒッポファミリークラブ主催のイベントに参加する際、チョムスキーの本を読んでおきたいと思い、厚木の有隣堂で衝動買いした、吉成真由美さん編集の'12年作品『知の逆転』を読みました。吉成さんがジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソンにインタビューした内容を収めた本です。
 見出しを見て拾い読みしましたが、その中でも特に印象に残った文章を記しておきます。
 「わかっていることとしては、約5万年前、ごく小さなグループの人間が東アフリカを出て、急速に全世界に広がっていったということ。それ以来、知る限りにおいて、認識能力の進化は起こっていないのです」、「考古学上の資料によれば、約5万年から10万年くらいの周期で、重要な創造力の爆発があるといいます。ですからそれくらい前に人類学者が『大躍進』(great leap forward)と呼ぶような何かが起こったらしい。その頃、記号を使った行動や表記が始まり、天体の記録や複雑な社会構造が生まれ、考古学上の記録だけでも、人間能力の突然の進展や向上が見られるわけです。(中略)それが言語の出現だったと考えられています。(中略)カンブリア紀の生命爆発(カンブリア爆発)の頃に、生物の基本的なパターンというものが整ってからは、生物の発達というのはみなほとんど同じなのです。(中略)多様な生物は、実は1種類が非常に長い時間をかけてわずかずつ変化してきた結果であるとする論文も発表されているくらいです。しかしそれらとは違って、言語を含む人間のさまざまな能力は、非常にごく最近、突然現れたものなのです」、「音楽はどうか。わかっているのは、人間の全ての種族がある種の音楽、ダンス、アートといったものを持っているということです。ですからこれら全ては人間に特有の能力なのです」(以上、言語学者のノーム・チョムスキー)。
 「生まれてから脳は、経験によって大きく左右されます。ですから数学者の脳は音楽家の脳と異なりますし、視覚芸術家や言語芸術家の脳とも異なります。音楽家の脳とそうでない人の脳を比べると、違いは明白ですし、音楽の訓練によっても、1年で脳は大きく変化します」、「(吉成さんの「『われわれは患者の不足部分に注意を払いすぎて、保存されている能力の部分にあまりに無関心でありすぎる』と指摘しておられますが、なぜ『失われた部分』ではなく『保存されている部分』のほうに注意を向けていくことが大事なのでしょう?」の問いに答えて)それは、保存されている能力に対しては、なんらかの形で働きかけることができるからです。この部分に注目してその能力をのばし、それなりの生活ができるように手を差しのべることができるから」「音楽がいかに、人間の閉じ込められた欲望や記憶を体から解放し、人間に落ち着いたまとまりというものをもたらし、人間どうしを繋ぐ役割を果たしているか、ということをしばしばおっしゃっておられますね」(これは吉成さんの質問)、「(音楽の嗜好は人によって違うが)しかし共通しているのは、リズムとテンポという音楽のビート(拍子)の部分が重要だということです。人間の神経系は、音楽のビートに思わず反応してしまいます。(中略)音楽のビートに対してこのように反応する他の霊長類はありません。チンパンジーも犬もできません」(以上、脳神経科医&作家のオリバー・サックス)(明日へ続きます‥‥)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto