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ロジャー・コーマン監督『ガス!』

2013-07-14 08:26:00 | ノンジャンル
 ロジャー・コーマン監督・製作の'70年作品『ガス!』をWOWOWシネマで見ました。
 稚拙なアニメ。「紳士淑女の皆さん、ここに我らの指揮官ストライク大将をご紹介します」「ありがとう、アーチャー。本日、当地アラスカの生物化学兵器実験場開設式に、ご来賓をお迎えした。“火の玉”航空会議議長にして、徹底的な報復主義者、軍産複合体の立案者たる議員をご招待できて、実に名誉なことである。ボート上院議員、どうぞ!」犬の鳴き声。「ありがとう、ストライク大将。今こそ人類への恵みの時。分け前にありつき給え。巧妙なリベートに。シャンパンは?」。大将「アーチャー、シャンパン!」ボート議員「急げ、手際の悪さを報告するぞ。酒が切れた」大将「どこにあるんだ? これは? あったぞ!」大将の手がフラスコを差し出す。ボート議員、それを持って「このめでたき日に人類の敵である下等生物を滅ぼす兵器を“聖なるチフス”と名付けよう!」フラスコを瓶に当てると、フラスコが割れ、ガスが拡がる。大将「ありがとう、議員。生物化学兵器部隊のモットーをお忘れなく。“お前は死んでも、我らは生き残る”」バックにタイトル『ガス! あるいは、世界を救うために破壊は必要だった』の字幕。ガスがアラスカから世界中に拡がっていくアニメをバックに、オープニング・タイトル。
 “ダラス”の字幕。クロスボウを持って2人の警官に追われる青年は、教会に逃げ込み、神父の姿となって警官の目を欺きます。そこへやって来た若い娘は懺悔をし、「私はマーダー博士の愛人、そしてたまに助手をしている者ですが、博士は老化細胞を活性化させるガスを発見しました。それは25歳以上の者が吸うと瞬時に老化が進み死に至るというもので、それを軍が入手してしまったのです」と言います。その娘と神父が外に出ると、ガスが漏れたのはデマだと語る副大統領の声明がラジオから流れていて、屋外には次々に担ぎこまれる老人の診察をする医者がいる一方、「テキサス州一の“三途の川斎場”のご利用を!」と宣伝する宗教家までいます。神父と娘は平和共存主義者の仲間たちと連れ立ってダラスを出発し、「天国の町まであと○○マイル」という看板に従って、進んでいきます。
 途中、ファシストの集団やならず者の集団に道を塞がれ、娘が犯されたりもしますが、それも何とか乗り越え、天国の町に着くと、そこは平和主義者たちが平和に暮らす自給自足した町でした。しかしやがてそこへ、野菜や果物に飢えたファシスト集団がやって来ます。戦わなければならなくなった、という町のリーダーに対し、別の方法があるはずだという神父。神父は町の人々全員に赤十字の服を着せて、ファシストらを迎えます。かわいい女性がいるのに惹かれて、味方を裏切るファシスト。すると神父の合図とともに雷が落ち、地中から若い女性が次々と現れ、ファシストたちはなし崩しとなり、お祭り騒ぎとなります。するとそこへやって来た幌馬車から、リンカーン、ガンジー、ケネディー、チェ・ゲバラ、キング牧師、そしてレーガンまでの被り物をした者が現れ、次々に女性が彼らを迎え、映画は終わります。

 基本的に70年代のサイケデリック・ロックに彩られた映画で、映画的な引用も多く、特に笑ったのは、銃撃戦で、俳優の名前を1人ずつ言いながら撃ち合う場面で、1人が「ワード・ボンド」と言うと、相手が「倒すには惜しい」と言って銃撃できず、最後に「ジョン・ウェイン!」と言うと、最後の相手が倒れる、という場面でした。また原題はスタンリー・キューブリックの'63年作品『博士の異常な愛情、または私はいかにして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』へのオマージュであることを付け加えておきたいと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto