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万田邦敏『再履修 とっても恥ずかしゼミナール』その4

2013-07-18 08:48:00 | ノンジャンル
 エドワード・ズウィック監督の'96年作品『戦火の勇気』をWOWOWシネマで見ました。湾岸戦争時、同士討ちで部下を失った中佐(デンゼル・ワシントン)が、女性初の名誉勲章候補となった大尉(メグ・ライアン)の調査を行うというストーリーで、証人により皆言うことが違う、湾岸戦争版『羅生門』といった話になっていて、卓抜した“ショット”を意識させない画面の連鎖からなっていました。
 また、エドワード・ズウィック監督・共同製作・共同脚本の'98年作品『マーシャル・ロー』もWOWOWシネマで見ました。サウジアラビアの米軍基地へのテロ攻撃に対し、その首謀者と思われるイスラム過激派の指導者をアメリカが拉致したことから、ニューヨークで爆弾テロが度重なり、それを解決するために、FBI捜査官(デンゼル・ワシントン)とCIA女性工作員が協力しますが、やがて大統領令によりニューヨークに戒厳令が敷かれ、ブルックリンのアラブ系の人々がスタジアムに拘留されることになります。しかし、最後は2人の活躍で将軍(ブルース・ウィリス)が独断でイスラム過激派の指導者を拉致していたことが明らかとなり、将軍は逮捕され、スタジアムのアラブ系の人々が解放されるという話で、目を奪う“ショット”はほとんど無いものの、“演出”によって“映画”たりうるという好例でした。

 さて、またまた昨日の続きです。
 「当時『シネマグラ』という四方田さんたちが出した同人誌がありまして、それを蓮實さんが授業で『東大でこんなの出ました』と、僕らに紹介したんですね。で『興味のある人は持ってってください』と、一冊置いて帰っちゃったので、すかさず取って読んだら、明らかに書くことに関しては、どうあがいても太刀打ち出来ない。じゃあ僕らは作ろうよ」との発言、「今回はヘンなことしないようにという気持ちでスタートしたんですけど、ただそれってすごく難しいというか苦しい。ヘンなことしたくなるんですよ」との発言、「(前略)もうひとつの驚きは、これらのゴダール映画に見られるこれまた奇妙な『細切れ』の印象でした。細切れというよりは、『切断と分断』と言ったほうが正確でしょうか。物語や登場人物の心理や音楽や台詞や、そして画面そのものまでもが至る所で切断され、分断されているという印象。これも、当時そういう言葉でその驚きに整理を付けられたわけではありませんが、切断と分断の映画というものによって、私はいわゆるスイッチが入った状態になったのだと思います。スイッチが入って、私は正しく映画に目覚めた」という発言、などなどです。
 これ以外にも、万田さんと高橋洋くんの往復書簡で、万田さんが「後藤明生」と書く場面(私の名前と一字違い、読みでも一字違い)もあり、私が大学時代に出入りしていた早大シネ研への度重なる言及も相まって、とても身近に感じられる本でした。また私は、万田さんの映画に関しては、最初にパロディアスユニティ時代の雨傘が乱舞する映画(名前は忘れてしまいました。確か、立教まで見に行った記憶があります)を見た時から、「パロディアスユニティの人たちの中では万田さんが一番才能がある」と頑に思ってきたところがあり、その思いは『接吻』を見て、より強固なものになっていました。これからも万田さんの映画は積極的に見ていきたいと思っています。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto