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ニコラス・ローグ監督『美しき冒険旅行』&マキノ雅弘監督『玄海遊侠伝・破れかぶれ』他

2014-07-12 12:07:00 | ノンジャンル
 ニコラス・ローグ監督・撮影の'71年作品『美しき冒険旅行』をスカパーのイマジカBSで見ました。オーストラリアの砂漠の真中に車でやって来た父が自殺し、残された姉と弟が放浪の末に、16歳で仲間を離れて生活する“WALKABOUT(放浪)”をしている先住民の青年と出会い、姉にプロポーズして断られた青年が自殺した後、姉と弟が鉱山の廃墟に至り、最後にはその放浪を懐かしむという幻想的な映画で、野性の動物が多く見られました。
 また、マキノ雅弘監督・共同脚色の'70年作品『玄海遊侠伝・破れかぶれ』もスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。明治30年に朝鮮での出稼ぎから強制送還され、北九州の若松に帰ってきた、料亭の跡取ながら石炭の仲仕として働く吉田磯吉を勝新太郎、勝の姉で料亭の女将を京マチ子、朝鮮で勝とともに働き、結核を患いながら勝の味方として戦う剣士を松方弘樹、勝が跡取の料亭の座敷きに出て、勝と相思相愛ながら勝のために身を売り、最後には自殺する女を安田道代、勝の弟分の仲仕を津川雅彦、若松を支配下に置こうとするヤクザの親分を山本麟一、その代貸を岸田森、山本のバックにつく代議士を天津敏、勝が跡取の料亭の支配人を水島道太郎が演じ、アクションが終わる前のフェイドアウト、ラストの暗闇の中での殺陣は画面に物を映さないようにするかのような意図が見えるようでしたが、勝と安田の2度にわたる濡れ場はどちらも水辺に設定され、高架の上を走る機関車も二度現れ、安田が自殺して崩れ落ちる構図は見事なものでした。
 また、ベルナルド・ベルトルッチ監督・共同脚色、デヴィッド・ボウイ主題歌の'12年作品『孤独な天使たち』もWOWOWシネマで見ました。学校のスキー教室をさぼって、自宅の地下室で過ごす14歳の少年と、彼と一緒に1週間を過ごすことになる彼の義姉の物語で、主演の少年が『時計じかけのオレンジ』のマルコム・マクダウェルにそっくりでした。
 また、マキノ雅弘監督の'67年作品『日本侠客伝・白刃の盃』もスカパーの東映チャンネルで見ました。先代(内田朝雄)から銚子の魚のトラック運送業を継ぎ、堅気になった社長を菅原謙二、先代の子分で組を継ぎ、馬車人足たちを捨て、新たにトラック運送会社を始めて菅原の会社をつぶそうと画策する男を天津敏、先代の代貸で刑務所に入っている間に妻を天津に犯され、天津に殴り込みに行くものの、逆に返り討ちされてしまう男に大木実、その自殺する妻を松尾嘉代、先代の子分で今はトラック運転手らが立ち寄る飯屋の親父ながら、大木と天津に殴り込みをかけ、やはり返り討ちされる男に伴淳三郎、菅原の許で働くトラック運転手で、天津の店で働く娘(宮園純子)に惚れ、天津にスカウトされて情報を渡してしまい、かつての同僚を死なせ、結局天津に殺される男を長門裕之、菅原の許で働くトラック助手を砂塚秀夫、病気の妻(藤純子)を連れ、銚子にやって来て、菅原に雇われ、最後に天津を殺す元侠客を高倉健が演じていて、長門と宮園の濡れ場は二度とも水辺に設定されていましたが、やはり画面を黒で塗り込めていくようなフェイドアウトが印象的な、静かな感じの残る映画でした。
 また、カトリーヌ・コルシニ監督・共同脚本の'12年作品『黒いスーツを着た男』もWOWOWシネマで見ました。数日後に社長の娘との結婚を控え、社長の店の支店長になったばかりの若者が、不法滞在の男をひき逃げで殺してしまい、その目撃者の女性を通して、被害者の妻に金を渡すことによって、全てを失っていく姿を描いた映画で、構図の映画というよりも、演出の映画であるように思いました。
 また。加藤泰監督の'58年作品『風と女と旅鴉』もスカパーの東映チャンネルで再見しました。暴れん坊の父とともに町を追放され、流れ者となった風間の銀次(中村錦之助)が、やはり流れ者の刈田の仙太郎(三國連太郎)と故郷に戻り、山賊の鬼鮫の半蔵(進藤英太郎)に対する用心棒として町に雇われ、甚兵エ(加藤嘉)の家に住み、町の有力者(殿山泰司)の娘(丘さとみ)と恋に落ちますが、自分に冷淡な町民に嫌気が差し、一旦は半蔵に味方するも、結局仙太郎を見捨てることができずに、半蔵に刃向かい、最後は1人旅に出るという物語で、既にローポジションのカメラの見事な構図の画面が多く見られ、真っ暗闇の中の殺陣が印象的でした。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto