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フレデリック・ワイズマン監督『ボクシング・ジム』

2019-04-01 05:26:00 | ノンジャンル
 アテネフランセ文化センターで上映されていた、フレデリック・ワイズマン監督・製作・編集・音響の2010年作品『ボクシング・ジム』を観てきました。『フレデリック・ワイズマンのすべて』の作品紹介から転載(一部改変)させていただくと、

「テキサス州オースティンは、全米最大規模のテキサス大学オースティン校をはじめ、多くの大学がある大学都市であり、1998年には「フォーチュン」誌の「ビジネス都市」第一位に選ばれ、急成長を続けるハイテク企業の街でもある。近年、全米で最も高い人口増加率を誇っている。
 映画の舞台は当地のボクシングジム。元ボクサー、リチャード・ロードが16年前に開いたロード・ジム(Lords Gym)である。そこにはプロを目指す若者だけでなく、ビジネスマン、医者、弁護士、裁判官など、ある者は体力や筋力アップを目指し、ある者はダイエットのために通う。赤ん坊連れの若い女性も、子どもも老人も各々の時間にやってきてトレーニングに励む。スポーツ好きのアマチュアたちに、プロを目指すボクサーも、引退試合を控えたプロボクサーもいて、年齢・人種・職種・性別など、様々な点で異なる人々ばかりである。女性のトレーナーもいる。トレーニングの合間に試合前の不安など自分たちが抱える問題を話し合ったりもする。世間話にはヴァージニア工科大学での銃乱射事件の話も出てくる。基礎訓練を終えたばかりの兵士が次の任務について話したりもする。トレーニングの傍らで、骨をかじる犬。サンドバックやパンチング・ボールを叩く人たち。ボールやタイヤを使ったトレーニングなど。トレーニングやスパーリングのステップはバレエの振り付けのようにも見えてくる。このジムの中には外での様々な問題を持ち込まず、黙々と無心に鍛錬する人々の姿は美しく崇高にさえ見える。
 壁はボクシング関連のポスターや写真や絵で覆われているが、その中に古代のボクシングの絵がある。ボクシングは、古代エジプト以前、6000年前にすでにあった。古代オリンピックの種目にもあった。連綿と続くこの競技が醸し出す〈闘うこと〉、その意味とは何だろうか。ロード(神)のボクシング・ジムという名称もシニカルに響く。
 ロード・ジムは、単なるトレーニング場ではない。そこで人が出会い、様々な英語、外国語が飛び交う人間のるつぼ、まさにアメリカそのものだ。

 時間を告げる金属的な音や赤い色が印象的な映画でした。