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写真と資料で見る成瀬巳喜男映画の世界

2019-04-07 18:50:00 | ノンジャンル
 国立映画アーカイブが2005年に開催した「生誕百年特集 映画監督 成瀬巳喜男」のパンフレットに載った文章と写真をここに再録しておきたいと思います。

「豊田四郎監督に続いて、「生誕百年特集」の第3弾として今号と次号で特集するのは、成瀬巳喜男監督である。
 哀歓に満ちた女性の生き様に眼差しを注ぎ続け、“女性映画”の名手とも呼ばれた成瀬監督は、饒舌な台詞を排し、登場人物たちの視線のやりとりや小さな身ぶりの積み重ねによって情感あふれるドラマを練り上げてゆく独自の演出法で知られる。その手法は、ナンセンス喜劇を中心とした無声作品に携わった松竹蒲田撮影所、そこから移籍して野心的な演出を志したP.C.L.(後に東宝)の各時代を経由して培われた。やがて撮影監督の玉井正夫、美術監督の中古智といった東宝撮影所の名スタッフたちの協力を得て、個々の作品に映画芸術の一つの到達点ともいえる輝きを与えることになる。映画が繊細な光と影の芸術であることを改めて教えてくれるこれらの作品群は、いまや世界的な評価を得るに至っている。
 フィルムセンターは、1979年8月に当時としては最大規模の回顧特集を開催したが、それから四半世紀以上の歳月を経た生誕百年の本年、新たに収蔵されたプリントを加え、61作品でこの偉大な映画監督を回顧する。
 今号では、成瀬監督の作品にまつわるスチル写真や撮影時のスナップ写真、プレス資料を通じて、その作品世界を味わっていただけるような構成とした。(協力:川喜多記念映画文化財団)」