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フレデリック・ワイズマン監督『セントラル・パーク』

2019-04-03 18:23:00 | ノンジャンル
 アテネフランセ文化センターで、フレデリック・ワイズマン監督・製作・編集の1989年作品『セントラル・パーク』を観ました。パンフレット『フレデリック・ワイズマンのすべて』から、転載(一部改変)させていただくと、

 セントラルパークの記録。セントラルパークは19世紀の半ば、ニューヨークのマンハッタン島中央に造営された公園で、東西0.8キロ、南北4キロの広大な敷地面積を持つ。園内の丘陵や自生しているように見える植物は、すべて人工的に造園されたもので、大規模な管理を必要とする。1970年代には荒廃が進み、犯罪が多発したが、1980年にNPO団体としてセントラルパーク管理委員会が設立され、ニューヨーク市公園管理局との契約の下にボランティアや寄付を募り再建にあたった。ワイズマンが撮影したのは、1988年の5月と6月。作品の中で語られている通り、すでに再建事業の成果が顕著に表れていた時期にあたる。5週間で記録した約80時間にのぼるフッテージが約3時間に編集された。
 マンハッタン島に朝日が昇る。超高層ビル群に囲まれたセントラルパークに光がさす。ドラッグで酩酊したまま座り込む男に、警備員が話かける。公園に様々な人々が集まってくる。生徒たちの前で旧約聖書の冒頭「はじめに言葉があった」を引きながら、朗読についての熱弁を振るう眼鏡の教師。画を描く女性。噴水で遊ぶ子供たち。結婚式で男と女がスピーチを読み上げる。先ほど朗読論を語っていた教師に率いられた一団は、今度は芝居の稽古をしている。ピクニック・コンサート会場ではロック・ギタリストがブルースを奏でる。その音楽が響くなか、寝転がって思い思いの格好で日光浴をする人々の姿が映される。恐竜祭り。プエルトリカンたちによる音楽の演奏。日が暮れると、野外ステージではカンツォーネ。電灯の下、清掃員たちがゴミを集める。また朝が来る。新聞紙やダンボールの上で寝ていた人々が追い出される。コートでバスケットに興じる青年たち。西アフリカの民族舞踊。麻薬使用者が留置所に入れられる。
 やがてカメラは公園を管理する活動を映していく。職員が近隣の住民たちに寄付金を募る。テニスコートの前のクラブハウス立て替え案をめぐって住民たちが意見を戦わせる。その傍らではゲイ&レスビアンのパレードが華やかに催されている。
 約3時間の映像を通して見ることで、公園の豊かで多面的な像が浮かび上がる。ニューヨークという街の抱える軋轢や問題点もまたそこに含まれるが、ここでのまなざしは〈批判的〉というよりもむしろ〈観照的〉であり、とりわけ公園に存在する多様な要素を、音響の流れに合わせて同時偏在的に捉えるシークエンスにそのようなまなざしのあり方が顕著である。

 見ていてとても楽しい映画でした。