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斎藤美奈子さんのコラム・その43&前川喜平さんのコラム・その5

2019-10-17 01:03:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず10月9日に掲載された「ヨイショの時代」と題された斎藤さんのコラム。その全文を転載させていただくと、
「百田尚樹『夏の騎士』について、新潮社がツイッター上ではじめたキャンペーンが二日で頓挫した。「読書がすんだらヨイショせよ」「ほめちぎる読書感想文をツイートすると、図書カードが当たる」。なんておバカなプロモーション。
 『夏の騎士』は小学六年生の男子三人組を主役にした児童文学テイストの作品である。舞台は昭和最後の夏というから1988年。勉強も運動もダメな男子三人が秘密基地をつくって「騎士団」を結成し、中世の騎士にならってクラス一の美少女・有村由布子を守ると誓う。彼女は優等生が受験する全国模擬試験で県内百位以内に入ることを彼らに課し、三人は猛勉強をはじめるが…。
 ま、往年の人気シリーズ、那須正幹『ズッコケ三人組』の焼き直し感は否めない。人物像はどこか既視感のある話のパッチワークだし、女子の描き方にも疑問が残る。ただ、何が受けるかはわかってるよね。作者が百田尚樹でなければ、それなりに評価されただろう。
 でもね、「ヨイショせよ」といわれた途端に萎えるわけ。ヨイショとは内容や評価にかかわらず、作品をほめる、批評の対極にある行為である。それを要求するのは自殺行為だ。すでにアマゾンでは、『夏の騎士』に四百以上のレビューがつき、八割以上が星五つ。ヨイショは十分されてるやんけ。」

 また、10月16日に掲載された、「防衛と防災」と題された斎藤さんのコラム。
「大勢の人の命がいっぺんに奪われ、生活が破壊されるといえば、戦争と自然災害だ。
 戦後七十数年、ひとまず日本は(国内での)戦争は経験しないできた。その一方でこの国は、ほぼ毎年、なんらかの大災害に遭遇している。2011年の東日本大震災以降だけでも、激甚災害に指定された災害は三十件近い。その大部分は梅雨前線や台風による暴風雨と豪雨である。
 国の最大の責務が「国民の生命と財産を守ること」であるなら、国防以上に防災、他国からの攻撃よりも南の海から列島めがけてやってくる台風への備えが重要であるはずである。しかるに予算配分はどうか。19年度の防衛予算は過去最高の5兆二千六百億円。防災・減災・国土強靭(きょうじん)化対策を含む防災関係予算は一兆三千五百億円、前年度の補正予算をあわせても二兆四千億円だ。防衛予算のたった半分。これ、逆じゃありません?
 九月の台風15号に続いて東日本一帯を直撃した台風19号は「想定外の」「今まで経験したことのない」といった形容がもう通用しないことを示した。戦争は外交努力で回避もできるが、自然災害は避けられない。災害大国であることを思えば、防衛省を防災省に、自衛隊を災害救助中心の隊に再編したっていいくらいである。国際貢献も災害支援に特化させれば、それが最大の安全保障になる。」

 そして10月13日に掲載された、前川喜平さんによる「首相所信の教育政策」。
「十月四日の所信表明で安倍首相が語った教育政策を検証してみよう。
 幼児教育・保育の無償化については「小学校、中学校九年間の普通教育無償化以来、七十年ぶりの大改革です」と豪語したが、それを言うなら「民主党政権の高校無償化以来九年ぶり」だろう。
 「国難とも呼ぶべき少子化に真正面から立ち向かってまいります」と壮語したが、四年前にも同じような台詞(せりふ)を聞いた。
 2015年9月に安倍首相が打ち出した「新三本の矢」。その「第二の矢」は「希望出生率1.8の実現」だった。その時彼は「少子高齢化の問題に、私は、真正面から挑戦したいと考えています」と断言した。しかしあれから出生率は下がりっぱなし。15年は1.45だったが、18年は1.42だ。この矢は四年間、的とは逆の方向に飛んでいるのだろう。
 さらに、「一億総活躍社会の完成」に向けて「果敢に挑戦する」改革として「多様な学び」を挙げたが、具体的な中身については何も語っていない。
 最後に「教育」という言葉をもう一回、口にした。教育を改革して「新しい国創り」を進めるための「道しるべ」が憲法だというのだ。それなら、まずは今の憲法を「道しるべ」に、歴史教育や道徳教育への不当な支配をやめ、平和教育や人権教育を進めるべきだろう。」

 どの文章も大変勉強になりました。

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto