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石井裕也監督『ハラがコレなんで』その1

2022-07-02 00:50:59 | 日記

 石井裕也監督・脚本の2011年作品『ハラがコレなんで』をWOWOWシネマで観ました。
 サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」に加筆修正させていただくと、
「妊娠9か月に入った原光子(仲里依紗)は、パチンコ屋をしている両親の原芳隆と原早苗には、カリフォルニアにいると嘘をつき、実は日本で生きていました。お腹の子の父であるアメリカ人には捨てられ、アパートで独り暮らしをしていましたが、粋に生きることがモットーの光子は、全く落ち込んではいませんでした。
 人見知りも物怖じもせず竹を割ったような性格で、少々強引な所がある光子は、アパートを引き払いました。「いい風が吹いていない時は昼寝が一番」「焦ったり、慌てたり、しみったれた顔しているのは粋じゃない」「大丈夫。風向きが変わったら、その時、ドーンといけばいいんだから」。リストラされて落ち込む男斉藤(近藤芳正)になけなしの小銭を恵むと、公園のベンチで光子はドーンと昼寝しました。「ほら、風向き変わった。よし!行くかな」目を覚ました光子は突然、立ち上がって歩き出しました。空に浮かぶ雲を追い、風の吹くままに移動を開始しました。そして、光子はかつて住んでいた長屋へと辿り着きました。
 そこはベテランのタクシー運転手も知らない場所でした。「さびれたな~ここも」「なんで帰ってきた?」「とりあえずお金借りるわ」15年ぶりに長屋に住む清と会った光子は、高齢な清(稲川実代子)からタクシー代を借りました。そして、光子はあるさびれた定食屋へ入りました。旨いが客あしらいが悪く全く客がいないこの店は、子供の頃プロポーズされた幼馴染の児玉陽一(中村蒼)と彼の叔父・児玉次郎(石橋凌)が経営する定食屋でした。
 バブルがはじけた15年前、光子の家族は夜逃げ同然でこの長屋へやって来ました。長屋の床下には戦時中の不発弾がまだ眠っており、まさに時代に取り残された長屋でした。そんな長屋を当時仕切っていたのは大家の清でした。「金がねえ人間に残されてるのは、人情と粋だけだからな!」江戸っ子気質の清の方針で、時代に取り残された長屋の住民たちは喧嘩をしながらも、とにかく互いに助け合って生活していました。そんな住人たちに光子たちは大歓迎し、迎え入れられたのでした。
 そして今、長屋のほとんどは蛻の殻となっていました。大家の清も高齢のため、足を悪くして、ほとんど床に就いていました。根無し草の浮雲のような子供だった光子の人生は、そのほとんどが流れで決まっていました。江戸っ子気質の清の多大な影響で、粋か粋でないかが、光子の生きる指針となりました。再び彼女は清の長屋に居候させもらいながら、ここで出産することにしました。
 実は、陽一と叔父の次郎も同じ長屋の住人でした。陽一も清の影響を受け、自然と子供の頃から江戸っ子気質の粋な生き方を真似ていました。寡黙で不器用ですが心の優しい次郎は、喫茶店のママに恋をしていましたが、とにかく奥手でなかなか告白できないでいました。そんな二人は仕事が終わると、毎日交代で清の介護をしていたのでした。
 光子「粋だね~。あんた!なんか困ったことあったら何でも言ってね!」陽一「困ってるのはお前だろ。この金、全部やる。それから産まれてくる子供の面倒は俺がみる。詳しいことはわかんないけど、俺はお前に好きだと言ったから…」「粋だね!好きだなんて言葉、雹より軽い時代にね!」陽一の貯金通帳を見た光子は続けました。「はあ~!これじゃメダカの面倒さえみれないよ!そりゃそうだよね!店汚いし、定員不愛想だし。OK!私があの店、面倒みる!大丈夫だから!みんなたいへんだ!よし!今日はもう雨だから寝よう!」。陽一の心意気に猛烈に感動した光子は、さっさと清の布団に潜り込みました。
 「今までも、これからも私の人生に安定期なんてないんですよ」翌日、光子はお腹の子の定期検診へ行き、なかなか光子が安定期に入らないと言った医師に呟きました。そして光子は定食屋へ行きました。無言で光子は店を出ると、一人、また一人と客を連れ込み始めました。陽一と次郎は唖然としました。こうして1日目が終わりました。

(明日へ続きます……)